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ライブドア特需!

昨日は、朝のフジテレビ「とくダネ!」にライブドア事件の解説で出演、その後、テレ朝の「スーパーJチャンネル」、「報道ステーション」のビデオインタビューを撮りました。一日に3本もテレビに出るというのは初めてです。B級評論家の商売としては、ライブドア特需、です。

昨日朝時点では、情報が不足していて、事件の構図が正確に分からなかったのですが、今日になって、地検の捜査容疑絡みの部分は、大体明らかになったように思います。今回の事件は、ネタ元が官庁ではないので、メディア毎の取材の良し悪しの差が大きく出ている印象です。ここまでの所、オンライン版の記事も含めて、読売が的確な情報を早く掴んでいる印象です。投資ファンドを通じた利益の環流、粉飾決算の指示の事実、などを早いタイミングで、関係者に取材した上で書いています。私としても大いに助かりました。

これに対して、朝日は感覚的に半日分以上遅れている感じです。今回の家宅捜索は、もともと、ライブドアの内部者の通報があって可能になったのでしょうが、ネタ元そのものないしこれに近いところを掴まえることが出来たどうかで、大きな差が付いている感じです。近年、記者の不祥事が多い朝日新聞ですが、取材力自体が落ちているのではないかと少し心配です。

事件の今後ですが、粉飾決算の事実があり、それで利益を取っていることが裏付けられれば(ほぼそうなりそうですが)、実際の関与の軽重に関わりなく、堀江氏がライブドアの社長を続けることは無理だろうと私は思います。一昨日のガサ入れの成果に加えて、ライブドアの将来性が大きく失われたことで、捜査に協力する元社員や現社員が今後出てくるでしょうから、容疑もライブドア本体の問題も含めて拡大する公算が大きいと思います。

今後の同社の経営としては、生き残ることが出来る事業と、それ以外のものを見分けて、踏みとどまることが出来る状態を早く作り、現経営陣が手を引き、別の主体に委ねることが適切であるように思います。

時価総額にこだわりすぎて、「株価を作る」誘惑を堪えきれなかったことが堀江氏の弱点であり、以前にこのブログに書いた、「株価が高過ぎる時の経営者行動」が、違法行為にまでつながったケースです。もちろん、経済学的には、「大きなエージェンシーコストが発生した」ということです。事件については、まだ新しい事実が出てくる可能性がありますが、経済的な問題は、この点に尽きていると思います。

社会的には、投資ソサイエティーがもっと会社や株価を厳しく見るようにならなければダメでしょう。現状では、適切な株価形成を行うより他にこの種の不正とその後のショックを防ぐ本質的な手立てはありません。投資の世界に辛口の情報が少なすぎることが、ライブドアのイケイケどんどんの時価総額拡大につながった側面があります。たとえば、分割株を理論値以上に買い上げることは「バカ!」なのだ、という社会的投資教育が、もっと露骨な軽蔑を通じて行われることが重要でしょう。

何れにしても、2000年に破裂したネットバブルの時と同様、経営思想としての「時価総額経営」の落とし穴が顕在化しました。
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