「信太郎人情始末帖」シリーズ第3弾「狐釣り」は昨日読了。
「闇の筋書き」 信太郎の元許婚だったおすずが自害することになった押し込み強盗の主犯格が牢屋ぶりをしでかし、囚われる元になった信太郎に復讐をせんとする。信太郎はその狙いを実家美濃屋を襲うと推測する。
ここで、信太郎とおぬいの間に子供が出来たことが父親に知れ、また千代太のことも知られることに。千代太は信太郎と男と男の約束で信太郎の一番目の子供になったと美濃屋の番頭仁吉に鼻高々と告げたのだ。
「きさらぎ十日の客」 信太郎の住む万平店を訪ねてきた恰幅のいいお客・・・父親かと思う。そんな時元吉に好きな人が出来た。以前火事場で助けた人だった。
そのお袖の旦那は医者だが2年も前から行方知れずだった。
元吉の恋の手助けをしていた信太郎を訪ねてきたのはおすずの父親だった。
おすずの四十九日、一周忌、三回忌とおすずの墓に参る信太郎を知って、またおぬいとの間に子が出来たことを知って「信太郎さん、潮時だよ。その人と子供をつれて、美濃屋さんへお帰り。それが言いたくて、やってきたのだ」
おすずさんのお父さんも出来た人なんだ。
「第十四番 末吉」 おぬいが信太郎の子を出産。信太郎は義兄の庄二郎に頼んで父親の卯兵衛に名付け親を願った。父は「みち」と命名・・・美濃屋の『み』と千歳屋の『ち』をとって名付けた。
そんな卯兵衛が引いたおみくじは「末吉」。ただ最後にこう書いてあった。
『病人、本復むずかし、養生大切』
寿命があるうちに信太郎が美濃屋に戻る道筋だけはつけておかねばと、卯兵衛は千代太の人となりを確かめたくて会いに行く。
「狐釣り」 信太郎がおぬいと割りない仲になった元を作った加納屋栄吉は身代を妾腹に譲るつもりの父親に毒を少しずつ飲ませながら・・・親殺し。
それに加担したのが元吉が思いを寄せるお袖の主人仙安。
お袖と一緒になりたい元吉は仙安の行方を捜して聞き込みをしていたら、栄吉の親の死に様とその後の様子から毒殺を疑い、栄吉を疑い・・・
突然元吉が家の前で刺された!
「死一倍」 「狐釣り」から引き続いて金貸し五百蔵が親が死んで店を継いだら借金の倍返しを現実のものとするために毒の調合が出来る仙安を仲間に引き込み悪事を働いていたのが露見。そのさなかお袖は元吉が刺されたことを苦に毒をあおる。
信太郎とおぬい、元吉とお袖、おゆみと辰之助、3つの恋。
ただ、元吉には哀しい結末が・・・
信太郎のまわりで起こった事件を解き明かしながら、その一方で信太郎とおぬいの人生が語られ、元吉、貞五郎、おゆみ、庄二郎の人生が語られる。
読み応えがあります。信太郎に惚れてます。