多文化共生のすすめ

Toward a Multicultural Japan

外国人集住都市会議

2005年11月14日 | Weblog
11月11日に三重県四日市市で、外国人集住都市会議が開催された。今回のテーマは、「多文化共生社会をめざして-未来を担う子どもたちのために」であった。全国から、行政やNPO関係者など600名近い参加者があった。外国人集住都市会議は2001年5月に静岡県浜松市や愛知県豊田市など、東海地方を中心に13市町(現在、17市町)が集まって結成された。以来、参加都市の担当課レベルで、数ヶ月に一回、定期的に会合を開いている。

一方、参加都市の首長が集まり、国の関係者も参加する首長会議は、これまで3回開かれ、「浜松宣言及び提言」(2001年10月)、「14都市共同アピール」(2002年11月)、「豊田宣言及び部会報告」(2004年11月)を発表している。

また、2003年11月には、豊田市で「外国人青少年の教育と就職問題」をテーマにシンポジウムが開かれており、今回の会議はその第2弾といえる。

前回の豊田シンポジウムの講演やパネルディスカッションでは、テーマが教育と就労の両分野に拡散し、あまり議論を深めることができなかった。一方、今回のパネルディスカッションではテーマが教育に絞られ、会場の一般参加者も加わって、国や地域レベルでの取り組みについて、突っ込んだ議論ができたといえよう。

今回の会議の特徴として、初めて、外国人当事者やNPO関係者が参加し、意見を発表する機会をもったことが挙げられる。第2部の前半には、ブラジル人中学生、ペルー人大学院生、そしてブラジル人保護者が自らの体験を語り、後半のパネルディスカッションでは、豊田市のNPO代表や可児市役所のブラジル人職員が、行政関係者と並んで、議論に参加したことに大きな意義があるといえよう。

また、パネルディスカッションの後半では、会場からの質問を質問用紙で受け付けたところ、60人近い参加者から質問が提出され、一般参加者の問題意識の高さが伺われた。これまで、国と自治体のやり取りを傍観するだけであったNPO関係者にとって、初めて意見表明が可能となった場でもあった。質問内容では、外国人の就学の義務化、不就学外国人の実態調査の進め方、外国人学校の位置づけに関するものが多かった。

もう一つ、重要なのは、第1部での豊田宣言及び部会報告以降のコミュニティ、就労、教育の動向に関する報告を受けて、第3部で、豊田会議の部会報告の諸提言を、規制改革・民間開放推進会議に提出することが決定されたことである。同会議では、「規制改革要望集中受付期間」を設け、全国で実施すべき規制改革・民間開放に関する提案・要望を集中的に受け付け、その実現に向けて関係府省庁と協議し、実施可能なものは、政府の対応方針として決定する。今回の受付期間は10月17日から11月16日までであった。この結果、外国人集住都市会議の諸提言に対して、2ヶ月以内に関係省庁から実施可能かどうかの回答が出されることになった。同会議では、「外国人移入・在留ワーキンググループ」を設け、外国人集住都市会議のコーディネータである井口関西学院大学教授も委員に加わっている。同会議の今後の動向に注目したい。

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