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奥秩父や奥多摩周辺の山と花の風景を楽しんでいるデジカメ日記です

それはそれは長かった、冬の権現岳

2013年02月10日 | さんぽ


2013年2月9日(土) 晴れ

天女山入口から権現岳を往復
(天女山入口→天女山→前三ツ頭→三ツ頭→権現岳→三ツ頭→前三ツ頭→天女山→天女山入口)

赤岳と比べると冬の権現岳は圧倒的に入山者が少ない。それは登山口である天女山入口の駐車場が狭い為であろうか。車5~6台のスペースがやっとだ。権現岳は雪も多くこれまでに2回チャレンジしているが一回目は前三ツ頭まで、2回目は三ツ頭までで断念している。いずれも山行日が土曜日であったが、トレースもなくラッセルを強いられてのお話だ。フカフカの新雪にはワカンも効果なかったのを記憶している。そこで権現岳の山頂へ立つ為の作戦を考えた。その内容はこうだ。まず第一に入山日は日曜日とする。それは土曜日に登山者の方にたくさんトレースを踏んで頂き、翌日に楽々山頂をゲットしたいと考えていた。第二に天気である。冬は風が一番気になるところで、西高東低の気圧配置から移動性高気圧に覆われる時が狙い目だと思っていた。とにかくドカドカ踏み跡をつけてもらうこととお天気だ。この季節になると常に頭のどこかにリベンジしたいという気持ちがあった。しかし、今日から三連休、早く山へ行きたい、歩きたい。そんなせっかちな性格から日曜日は待ちきれず、連休初日に権現岳へ出かけた。

<天ノ河原から>
天女山入口へ着いたのは朝5時頃。夜が明けるには時間がまだ早すぎる。車の中で横になり休んだ。既に狭い駐車場は満タンだ。しばらくして外へ出てみたがそれほど寒くなかった。風もなく、ヘッデンを点けて早速身支度開始する。新たに車が2台やって来て、登山口は急に慌ただしくなった。装備を軽くする為、ワカンは車において行く。そしてダブルストックでゲートを越えた。天女山を目指すが夜が明けてきたのは天ノ河原に到着してからであった。丁度、金峰山の山腹から太陽が昇ってきた。



<前三ツ頭が見えてきた>
前を歩いていた男性は天ノ河原で朝食を食べるということで、ガスコンロを取り出していた。この辺りはトレースバッチリ。安心して先を急ぐ。



<やはり深い>
途中、3~4人のテント泊の方が後片付けをしていた。後ろから抜いて行った男性はここでスノーシューを履いている。よく見ればこの先に今日のトレースはない。一瞬、気持ちに不安がよぎる。今日も途中で断念するのか…、と。後悔してもしょうがない。行けるところまで行くしかない。そう決めてラッセル開始だ。まだ雪は浅く、膝下であるが踏み抜くと股まで落ち込んでしまう。これが度々だと体力の消耗も早い。



<やっと尾根に乗る>
スノーシューの方はスピードが違う。さっさと抜かれてしまった。もっとも今日の作戦は他にもあった。ゆっくり歩いて後ろから来る方にしっかりとトレースを踏んでもらうつもりでいる。これで先頭はスノーシューの男性となった。しばらくすると後ろからまた男性がやって来た。しめしめと思い、交代しながらラッセルする。しかし、この方もツボ足だがこのままだと日が暮れてしまう感じなので先に進ませてもらう。



<南アルプスの面々>
尾根に乗る手前では雪の量も増えてきた。やはり踏み抜きながら登るはめに…。場所によっては腰まで沈んでしまう有様だ。しかし、新雪の下はモナカ状態なのであろう。体重をストックへ分散すればスノーシューの踏み跡が拾えた。するとまた後ろから男性がやってきた。凄いスピードでだ。細身の体にランニングシューズのような靴にツボ足だ。その方は足で2~3回踏み固め登って行く。右足も左足も雪面をチョンチョンとしながらだ。今年はこれで権現岳は3回目だと言っていた。あんたいくつかね、私は64だが…、との言葉にはショックだった。



<稜線から金峰山>
これで先頭は二人、スノーシューの方と64歳の元気なおじさんだ。その後を追うように頑張るがいっこうに二人の姿は見えない。しかし、助かった。これでトレースはバッチリ、お天気もいい。稜線は幾分雪も少ない。ただサングラスを忘れてしまったことが気がかりである。まぶしくて目を細めるようだ。



<前三ツ頭から>
ラッセルが一番辛かったところはここ、前三ツ頭へ出る直前である。もがけど、もがけど、前に進まず焦りだす。半分は泣きべその始末だった。あと数十m先が前三ツ頭かと思うと手が出て藁をもつかむ心境であった。



<金峰山もいい眺め>
前三ツ頭に出てホットするのもつかの間、先を急ぐ。歩きながら、後ろを振り返り、展望を楽しんだ。



<南アルプスもいい眺め>
甲斐駒、仙丈、鋸岳、それにひときわ高い北岳、いい眺めだ。お腹が空いてきた。見晴らしのいいところで食べたいが、穏やかだと言っても風はやはり冷たい。この先の樹林帯へ入ったら、どこか場所のいいところで食べよう。そう決めて歩いた。しかし、結局は我慢しきれず風を受けない場所で立ち食いをする。寒さで硬くなった赤飯のおにぎりを頬張り、白湯で流し込んだ。



<三ツ頭の肩から編笠を望む>



<南尾根への分岐>
前回はここでワカンに履き替え、この先で断念した。冬の夏道は当てにならない。ここから尾根を歩く。



<三ツ頭から>
出た。やっと出てきた。ここまで来れば赤岳、阿弥陀、そして権現が出現する。この風景を眺めたく登ってきた。この先、進むかどうするか迷っている。念願の権現岳が見えているが悩んだ。今、時間は丁度12時。無雪期ならいざ知らず、トレースがあるとはいえ下山のことを考えていた。



<さらに近づいて権現と赤岳>
悩んだ結論は1時までに山頂へ到達できなかった場合、その時点で下山しようと。タイムリミット13時と決める。単独であるという不安はあったが。とにかく行けるところまで行くことにした。それにこの安定したいい天気なら、多少は下山が遅くなっても大丈夫だと予想していた。



<振り返って三ツ頭>
このあたりは雪庇が多い。風も穏やかでトレースははっきりしている。先頭を行く二人に感謝だ。そして、その二人が下山してきた。もう少しだからと励まされ背中を見送った



<左へ巻いて行く>
問題はここだろう。夏道なら鎖が掛けられている場所だ。トレースを追うが安全なルートを確認しながら前に進む。左へ巻いた岩場がやはり一番足元が不安定な場所だった。踏み外せば滑落である。幸いにして前任者の足跡が風に飛ばされず残っていたので助かった。焦らず一歩一歩進むことに集中する。



<山頂岩峰下の桧峰神社>
やっと着きました。権現岳。この岩峰を回りこんだ場所が山頂だ。もう到達したのも同じである。ここに来てやっと安堵感に慕った。



<阿弥陀、中岳、赤岳>
権現岳の山頂から展望を楽しんだら早々に下山しよう。休憩している暇はない。時間はタイムリミットいっぱいだ。



<奥秩父山塊>
いい眺めだ。お天気も最高だし。今日はほんとうにラッキーであった。トレースといい。お天気といい。この日をおいて権現岳はなかった思うほどだ。感謝せねば…。



<編笠と南アルプスの甲斐駒、仙丈、鋸岳>



<権現岳山頂から富士山>



<編笠山からギボシ>
今日は本当にいい天気だ。中央アルプス、御嶽山、乗鞍、それに北アルプスまでが遠望できる。



<蓼科山も展望>
こちらもいい天気である。蓼科山までが良く見渡せる。これで下山開始としよう。権現岳から冬景色を堪能した。早くあそこを通過して安心したい。右斜面だから右のストックを長く、左は短めにして…。なんていつも考えない事まで考えるようになってしまった。



<金峰山、茅ヶ岳>
例の急斜面は落ち着いて通過するように心がけた。雪が締まっていればいが、グズグズだ。一歩の踏み出しを慎重にすればさほどでもない。しかし、緊張し過ぎて足がもつれてしまった。トレースの歩幅に合わせて進むが踏み跡の足型と左右逆になってしまった。



<三ツ頭へ>
滑落せず無事通過してホットする。この先は気持ちにも余裕が出てきた。すると何か食べたくなった。



<樹間から赤岳>



<振り返って権現岳>



<三ツ頭へ戻って>
このあと、山頂へ向かう方が三人やってきた。いずれもテント装備をしているようだ。確かに日帰りでは遅い時間になってしまっている。今日の入山者は日帰り組が5人。そのうち二人は三ツ頭で下りたようだ。



<奥秩父もいい眺め>
下山中、続々とテント組がやって来た。続々と言っても数人だが、あれほど苦戦した場所もしっかり踏まれて歩き易くなっていた。やはりたくさんの方に踏まれるとラッセルも必要ないようだ。



<甲斐駒、仙丈、北岳が良く見える>
だいぶ下山してきたが、前三ツ頭から見える南アルプスも霞んでしまった。水も切らしてしまう。冬だからと意識はしていなかったが、2リットルが空っぽだ。喉が渇いたので最後の一滴を飲む。そのあとパンを食べたがなんだかパサパサしていた。それでも美味く感じる。



<富士山を展望しながら下山>
暗くなる前に下山できればいいと、特に慌てる必要もなかった。山頂から眺められた雪景色の余韻に浸り、歩き続ける。アイゼンを取り外せばいいが、その手間を嫌って結局はそのまま下山してしまった。良かった、まだ明るい。穏やかな天気に恵まれ山頂まで行くことが出来た。あとはのんびり安全運転で帰るのみだ。これで、しばらくは権現の残像が楽しめる。


2 コメント

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祝登頂!&せっかちさん(笑 ()
2013-02-13 20:45:35
登頂おめでとうございます♪
頑張った甲斐があるほどの眺望が素敵。
この季節は厳しいので、春になったら登ろうかなぁ~

トレース期待なのに日曜日に出掛けてしまうなんて…
なんだかその気持ちわかって笑ってしまいました(失礼)。
山を沢山歩いている人ってせっかちな人が多い気が…
そう思ってしまうのは私だけでしょうか?

三連休は色々楽しいお山を考えていたのですが、金曜の夜から高熱が出てしまいました。
結局家から一歩も出ることなく過ぎてしまうと言うていたらくでした(T_T)
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彩さん、風邪引いたの? (あんぱん)
2013-02-15 04:16:34
彩さん、おはよ~(^^)
先週の三連休はだいぶ春の陽気になりましたが、こう暖かくなるとお花もそろそろ、って感じでしょうかね。でも、今週はまた寒くなって、雪もチラホラ。蠟梅も咲いて確実に春は近づいているようですが、早く春になってほしいなぁ~、って思っている今日この頃なんですよ。年寄は寒さがこたえますからね(笑)

彩さん、高熱って、風邪引いてしまったの?。毎週毎週山へ行っていたあの彩さんが…、って驚いています。しっかり治して、またかわいい花をたくさん見せて下さいね。待ってまぁ~す。
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