後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

「中国よりもアメリカが世界一の覇権国になる5つの理由」

2021年03月01日 | 日記・エッセイ・コラム
この2,3日、「アメリカが中国の覇権主義を恐れる3つの理由」という連載記事を3回掲載しました。
3つの記事の結論は中国がアメリカを抜いて世界一の覇権国になることは絶対にないということでした。

今日はこのままアメリカが世界一の覇権国になっている5つの理由を書きます。日本にとって、それが最善でないにしてもより良い状態です。
その5つの理由はアメリカは次のことを達成したからです。
(1)民主主義と個人の尊厳の確立
(2)黒人差別の撤廃と黒人大統領の選出
(3)ソ連共産主義に勝ち民主主義を守る
(4)世界の覇権は握るが他国の主権を尊重する
(5)世界一の科学技術を創造
それでは上記の(1)から(5)について少し説明いたします。

(1)民主主義と個人の尊厳の確立
まず1776年のアメリカの独立宣言を読んでみましょう。(https://ja.wikipedia.org/wiki/民主主義 )
「われわれは、以下の事実を自明のことと考えている。つまりすべての人は生まれながらにして平等であり、すべての人は神より侵されざるべき権利を与えられている・・・その権利を保障するものとして、政府が国民のあいだに打ち立てられ、統治されるものの同意がその正当な力の根源となる。」
この民主主義と個人の尊厳の重要性を明記した内容はアメリカ憲法も同じです。こんな国は欧米でも世界中でも初めてでした。
人民主権を強調し、「すべての主権の根源は、本質的に国民にある」と明記したフランス革命後の憲法は1793年に制定されました。アメリカ独立宣言 の17年も後だったのです。
さてアメリカの個人の尊厳とはどういうことなのでしょうか?
私どもは1960年からオハイオ州に住んでいた体験から、「個人の尊厳」を具体的に説明します。
道路で会った知らないアメリカ人が例外無く挨拶してくれるのです。結婚したばかりの家内に聞くと重い買いもの荷物を持って歩いていると知らないアメリカ人が助けてくれるのです。当時の日本ではありえないことでした。
日本では知っている人に会ったら挨拶します。アメリカでは知っている人も知らない人も平等に大切にします。個人の尊厳を大切にするのです。
私が留学していた大学の先生たちや同級生にも親切にしてくれます。その親切の精神が日本の場合と少し違うようなのです。日本では親しい人に親切にします。アメリカ人は親しくない同級生もこちらが困っているとごく自然に助けてくれます。親しい人も親しくない人も平等なのです。嗚呼、これが平等というものかと納得します。

(2)黒人差別の撤廃と黒人大統領の選出
2009年にはアメリカ史上初の黒人のオバマ氏が大統領に選出され8年間もアメリカ大統領の座についたのです。
1960年代の悲しい黒人差別の実態を見た私にとってはアメリカの人種差別撤廃と黒人大統領の選出は感無量の出来事でした。
キング牧師の黒人差別撤廃運動を知るとアメリカの黒人差別が消えてしまった経緯が理解できます。
キング牧師は1929年に生まれ、1968年4月4日に暗殺されました。アフリカ系アメリカ人公民権運動の指導者でした。
「I Have a Dream」(私には夢がある)で知られる有名な演説を行った人物で、1964年にノーベル平和賞を受賞しました。
キングの提唱した運動の特徴は徹底した「非暴力主義」でした。インド独立の父、マハトマ・ガンディーに啓蒙され一切抵抗しない非暴力を貫いたのです。
私はテレビで何度もキング牧師の演説の冒頭部分を聞きました。何度聞いても胸が熱くなります。
キング牧師の運動の結果、アメリカ国内の世論も盛り上がり、ついにリンドン・B・ジョンソン政権下の1964年7月2日に公民権法(Civil Rights Act)が制定されたのです。それは建国以来200年間はじめてアメリカの法律よる人種差別が終わりを告げるものでした。
キング牧師は1968年4月4日にメンフィス市内で撃たれて死亡したのです。39歳の若さでした。
その後、何度も渡米した私は見ました。白人と黒人が一緒に公園でバーベキューをして楽しそうにしている場面を。白人と黒人の若者が一緒になってダンスパーティをしている場面を。レストランで同じテーブルに坐り楽しげに食事をしている場面を。

(3)ソ連共産主義に勝ち民主主義を守る
民主主義のアメリカと共産主義のソ連との冷戦は1945年から1991年迄続きました。
1991年にソ連が崩壊し民主主義が勝利しました。冷戦で勝利した原因はアメリカの先端軍事技術がソ連より優位に立っていたこととソ連の経済が苦境にあったことの2つと言われています。
ヨーロッパで米軍主導のNATO軍がソ連圏と対峙し西側を守っていました。一方アジアでは米軍が軍事行動を展開し朝鮮戦争とベトナム戦争を主導しました。
朝鮮戦争は1950年6月25日から 1953年7月27日まで続行され、アメリカ軍 の戦死者と失踪者の合計は5万4千人でした。
ベトナム戦争 は1965年11月 から 1975年4月30日 迄でした。アメリカ側の被害は戦死者が5万8千人で戦傷者が30万人でした。この様にアメリカは血を流して民主主義を守ったのです。
ベトナム戦争は1973年のパリ和平協定が出来1975年に完全に終了します。
ベトナム戦争の結果、中国は改革開放し市場経済化を実施しアメリカと平和な関係になります。
ソ連は遂に1991年に崩壊したのです。アメリカは共産主義の勝利したのです。それは「アメリカの輝き」です。
しかし朝鮮戦争とベトナム戦争で何百万人のアジア人の血も流れたのです。それは悲惨な殺戮でした。嗚呼。

(4)世界の覇権は握るが他国の主権を尊重する
現在アメリカは今や世界の超大国として君臨しています。航空空母艦を10隻以上も保有し軍事力では中国、ロシアを圧倒しています。世界中に軍事基地を保有しています。こんな超大国は人類史の中で初めてのことです。かつてのローマ帝国やジンギスカンのモンゴル帝国よりもはるかに強大です。
戦後75年間にわたって日本はこのアメリカを手本にして来ました。アメリカの民主主義を理想として導入してきたのです。アメリカは日本にとって理想社会でした。
日本が受け入れた便利なアメリカ文明の例を書きます。
コンビニが全国の津々浦々にあります。その数、7万店舗以上になると言います。スーパーもマックやケンタやスタバのようなファストフードの店もきめ細かく普及しています。郊外の大型量販店もアメリカ発祥です。
この狭い日本の国内旅行に飛行機を使うのもアメリカの風習です。その上、その旅客機はほとんど全てがアメリカ製なのです。 こうしてキーボードを叩いているパーソナル・コンピューターもアメリカ発祥のアメリカ文明の産物です。アメリカ文明が押し寄せて来て日本を飲み込んでいるのです。以上が覇権国、アメリカの影響の実態なのです。
しかしアメリカは世界の覇権は握るが他国の主権を尊重しているのです。

(5)世界一の科学技術を創造
アメリカの科学と技術の独創性は世界一です。そして基礎科学の研究においてもその実用的な価値が重要視されています。
日本の基礎研究では実用的貢献が無視される傾向が強いのです。机上の空論が多いのです。日本には学問というものは実用の役に立たないという考え方があるのです。これはアメリカの大学で4年間研究生活をした私の体験です。
アメリカの科学の特徴は実用性を重視し工業技術に直結していることです。
その良い一例が月へ6回も人間が着陸したアポロ計画です。アポロ計画は、アメリカ航空宇宙局(NASA)による人類初の月への有人宇宙飛行計画でした。1961年から1972年にかけて実施され、全6回の有人月面着陸に成功したのです。
特に月面着陸は人類が初めて有人宇宙船により地球以外の天体に到達した事業でした。これは宇宙開発史において画期的な出来事であっただけではなく、人類史における科学技術の偉大な業績です。
記事が長くなるのでこのへんで止めます。

今日は中国よりもアメリカが世界一の覇権国になる5つの理由を説明しました。
今日の挿絵代わりの写真はアメリカのワシントンDCの風景と、初めて月面に立ったアメリカ宇宙飛行士の写真と、私が留学したオハイオ州立大学の風景です。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)









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