後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

急激に変化し始めた国際関係(1)シリアでの米露戦争

2018年04月16日 | 日記・エッセイ・コラム
今年になってから北朝鮮の外交が協調路線に急変し、中国と北朝鮮が蜜月関係に戻りました。やがてトランプ大統領と金正恩朝鮮労働党委員長が会談し核開発放棄が決まる方向に動き出しました。
一方、中東紛争ではシリアのアサド政権をめぐるアメリカとロシアの代理戦争の激化が起きています。今年の中東紛争の焦点になる情勢です。
今年はロシア陣営とNATO陣営の新たな冷戦構造が厳しくなり、一方のアジアでは北朝鮮とアメリカの何らかの合意が出来、少し平和になる情勢です。この変化に乗じて中国と北朝鮮は以前の友好関係を取り戻したのです。
このように今年は国際情勢が急激に変化し、従来とは非常に違った方向に動き出したのです。
中国の強大化も複雑な国際関係の原因になっています、
このような変化の中で日本はどのような外交を進めるべきでしょうか?
一般的に外交問題に正解を考えることは難しいものですが、少し考えるべき問題を提起したいと思います。そこで、「急激に変化し始めた国際関係」という連載でいろいろな角度から考えてみたいと思います。

今日はシリアにおけるロシアとアメリカの代理戦争を取り上げて考えたいと思います。
そこで最初に、アメリカがミサイル105発をシリア化学兵器施設3拠点に打ち込んだことに関する朝日新聞デジタル記事の抜粋を示します。

・・・・ トランプ米政権は13日、シリアでアサド政権が化学兵器を使用したと断定し、報復として米軍が英仏との共同作戦で化学兵器関連施設3拠点をミサイル攻撃し、破壊したと発表した。米国防総省は14日に会見を開き「全てのミサイルが目標に到達した」と強調。一方、アサド政権を支援するロシア軍に損害が出ないよう攻撃対象は慎重に選ばれたが、ロシアは強く反発しており、米ロの緊張が高まるのは避けられない。

 化学兵器使用疑惑に絡むトランプ政権によるシリアへの攻撃は昨年4月に続き2回目。トランプ大統領は14日朝、ツイッターに「これ以上の結果はない。作戦完遂!」とつづった。
国防総省によると、発射されたミサイルは昨年の攻撃の約2倍の105発(米85発、英仏20発)。地中海東部などに展開する米艦船や原子力潜水艦から巡航ミサイル「トマホーク」を発射。B1戦略爆撃機からも空中発射ミサイルで攻撃した。英仏の戦闘機や艦船もミサイル攻撃に加わった。

 攻撃の標的は、(1)首都ダマスカス近郊の化学・生物兵器に関する研究や開発、製造、試験を担う施設(76発着弾)(2)主にサリンが保管されているとみられる中部ホムス西郊の化学兵器貯蔵施設(22発着弾)(3)ホムスにある化学兵器の装備貯蔵施設と、重要な戦略指揮所が含まれた施設(7発着弾)、の3拠点という。

トランプ氏は、アサド政権の後ろ盾であるロシアとイランを名指しし、「罪なき人々の大量殺害に関係したいのか」と批判。「ならず者国家や人殺しの独裁者を支援することで成功する国はない」と断じた。
 米ロは2013年にシリアの化学兵器廃棄で合意した。トランプ氏は「今日の行動はロシアが約束を守れなかったことの直接的な結果だ」と批判した。その上で「ロシアは暗い道を進み続けるのか、平和と安定の力になる文明国家の仲間入りをするのか決めなければならない」とした。
 また、ロシアのプーチン大統領は声明を出し、「今回の緊張激化は、国際関係のすべてのシステムに破壊的な影響を及ぼしている。歴史がすべてを判断するが、すでに米国にはユーゴスラビア、イラク、リビアと血塗られた懲罰に対する重い責任が課されている」と述べた。(ワシントン=杉山正、土佐茂生)、(朝日新聞デジタル 2018年04月15日 06時05分)・・・・

上のニュースを見るとアメリカは正確に目標施設を爆破するミサイルを何百発もシリアの周辺に配置しているようです。
それなら何故アサド大統領の住んでいる家を攻撃しないのでしょうか?
イラク戦争の場合のようにシリアを占領して大統領を逮捕、処刑しないのでしょうか?

理由はシリアにはロシアのフメイミム空軍基地があり常時30-35機程度の戦闘機や戦闘爆撃機と、これとは別に戦闘ヘリコプター部隊や無人偵察機部隊などが展開しているのです。
その上、 タルトゥース港にはロシアの海軍基地があり、その基地からミサイル巡洋艦など艦艇計11隻が4月11日に出港し、アメリカのミサイル攻撃から退避したのです。
この海軍基地はロシア海軍の地中海の拠点で、シリア内戦でイスラム過激派組織などに巡航ミサイル攻撃を加える際に利用していたのです。

明快に書けばシリアはロシア空軍と海軍が地中海に戦争が起きた場合の最も重要な軍事基地なのです。そのシリアをアメリカが占領すればロシアとの全面戦争になってまうのです。シリアのロシアの空軍と海軍基地はソ連時代からの長い歴史があり一朝一夕に無くすことは不可能なのです。そしてロシアはイランやトルコとも関係が深く、大雑把に言えば中東の全ての紛争の裏にはロシアの軍事力が関係しているのです。

それを熟知しているアメリカの中東政策は弱くなるのです。特にロシアは中国とも関係が深いのです。アメリカがあまり攻撃の規模を拡大するとロシアと中国を敵に回した戦争になってしまうのです。

あまり長くなるので今回はこれでお終いにします。
今日の挿し絵代わりの写真は先日撮ってきた車山と霧ヶ峰のビーナスラインの風景です。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたしす。後藤和弘(藤山杜人)









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