無知の知

ほたるぶくろの日記

ウイルスと進化

2010-01-09 00:31:08 | 生命科学

この年明けは本当に不思議なことにトラブルが次から次へと発生し、根性を試されているかのようでした。
ともかく明るくこなすべし!ということで今週はずっとどたばたいたしました。そしてやっと今日、ほぼ解決しました。いろいろありますね~。

ところで今週のNatureに面白い論文がありました。ヒトをはじめ様々な動物のゲノムには過去に組み込まれたレトロウイルスの断片が残っていることが知られています。これはゲノムの中の「化石」であります。古代の進化の過程で組み込まれ、その後不活性化し、膨大なゲノム情報の中に埋もれ、現在に残されたと考えられています。今回、あらたにボルナウイルスの断片が組み込まれていることがわかったというものです。霊長類での組み込みは遺伝子の変異から約4,000万年前に組み込まれたものと考えられるようです。ホモ・サピエンスが誕生したのは500万年前と言われていますからその遥か以前の組み込みが、いまだにゲノムの中に痕跡として残っているということになります。

なにが面白いか、といいますと、こうして外来性の遺伝子が入り込むことがこれまでに何回もあって、それがマクロの進化(大進化)へとつながっている可能性があるかもしれないと考えられるからです。

遺伝子の水平伝播にはウイルス感染が今のところ一番可能性のある仮説だと考えられています。そして、これからもある種のウイルスがやってきてわれわれは進化するのかもしれません。