今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

テロリストになる知性

2016年07月05日 | 時事

今回のダッカのテロリストたちも、それなりに裕福で学歴もちゃんとしていた。

そういえば、かつてのオウム真理教や極左過激派のテロリストも、遡って帝政ロシア末期のテロリスト、あるいは幕末に”攘夷”を叫んだテロリストたちも、生活と知性に余裕がある者たちだった(共通している属性は”青年男子”である点)。
彼らの暴力を個人的な欲求不満で説明しようとするには無理がある。
欲求不満だけなら、はるかに強い人たちがわんさかいる。

彼らは思想の先兵になっている。
その思想の価値観に反した者の存在を許せないのである。
彼らの倫理基準では、殺すに値する者なのである。

彼らの生活上のそして知的な”余裕”こそが、パタン化された行動様式すなわち”システム1”であくせく日々を送らずに、リアルな生活から自立(遊離)した思考(システム2)を可能とする。
ただし思考は思考の連鎖の中に深く入り込ませ、言語固有のカテゴリ性(悉無律)によって論理運用が単純化され、極端な結論を導く傾向をもつ。
これがシステム2の妄想的思考だ。

彼らの才ある頭脳は、論理の恣意的な連鎖でしかない思考に弄ばれていく。
この思考は価値観を備えた”思想”となって、倫理観をも支配する。
自分の知性に自信がある者は、知的作業であるこの思考をこそ自らの指針とする。
このようなシステム2(思想)に殉じることが人間の最高位の心の営みであると思われてきたのだ。

それが間違いであることが、最近ようやく学問的に表現できるようになってきた(もっとも分かりやすいのは、認知行動療法が指摘する「認知・思考の歪み」)。
私はそれを「システム3」と名づけている(本ブログでも過去に言及しており、ググれば検索できる)。
システム2を超克できるシステム3は現生人類がすでに獲得している潜在能力なのだが、
残念ながら、発現には特殊な訓練を要するため、日常生活や学校では身につかない(現生人類にはちと早過ぎる能力ということか)。

人類はしばらくはシステム2の暴走に振り回させるだろう。


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