今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

私が「温暖化」に楽観的な理由

2018年03月01日 | お天気

「地球温暖化」といわれている現象は、より広義の「気候変動」という文脈で解釈されるようになってきた。
ここ十年・百年単位の傾向に縛られることなく、より大きなスケール(千年・万年単位)で気温の変化をとらえる視点に切り替わっている。
その視点でみると、気候変動は必ずしも温暖化だけでなく、その逆の可能性も見えてくる。

そもそもわれわれ人類、いや生物にとって、迎える変動だったら温暖化と寒冷化とどちらが ましであろうか。
わかりやすく言えば、中緯度にある日本(秋田で北緯40度)が赤道化するのと極地化するのとどちらがましなのか。

それを判断するには両地方の生物の生態をみればいい。
赤道直下の熱帯は、動植物が高密度に棲息し、しかも多様性に満ちあふれている。
一言で言えば、豊かな生態系を形成している。
一方、氷に覆われた極地はほとんど死の世界だ(その地域に特化して適応したシロクマ、アザラシ、ペンギンくらい)。
それは当然で、物理レベルで温度が高い方が分子の活動が活発で、温度が低いほどそれは分子活動が停止する絶対零度に近づくからだ。
われわれ人類に近い大型霊長類はすべて熱帯に生息しており、人類の祖先もアフリカ出身。 
すなわち熱帯はわれわれの故郷。 

その意味で地球が温暖化することは生存の脅威にはならず、むしろその逆現象である寒冷化する方がはるかに恐ろしい。
温暖化は海進によって陸地面積が多少縮小するが、人が生活できる空間を問題にした場合、その損失面積は、寒冷化による氷床の拡大に比べれば微々たるもの。 
それは陸地が北半球の高緯度に偏在しているためである。 
温暖化によって、太平洋上の幾つかの小島が水没する代わり、シベリア、カナダ北部、アラスカ、グリーンランドが居住可能になる(もしかしたら南極大陸も?)。 
それに対し寒冷化は、ロシアはもちろんヨーロッパ・北アメリカの大半を氷床で覆い、そこに生活していた人々は陸地の少ない低緯度地域に凝集せざるをえない。

ところが、その低緯度地帯に別の試練がくる。 
寒冷化は、地球上の水分を氷として固定化する。
そして気温の低下によって海水の蒸発も減るので、大気中の水分が激減する。
そのため地上には雲が発生しなくなり雨が降らず、陸地の乾燥化が進む。
氷床化から免れた低緯度陸地は砂漠化が進行することになる。
われわれにとって一番恐ろしい気象災害は、台風でも豪雨でもない。旱魃だ。
かくして地球全体に広まってしまった人類は地球規模で居住地と食料生産地を失う(宇宙に出るしかなくなる)。 

だから気候変動で恐ろしいのは、断じて寒冷化だ。

ここで中川 毅氏の『人類と気候の10万年史—過去に何が起きたのか、これから何が起こるか』(講談社 2017)からの情報を以下に紹介する。

氷期は10万年周期でやってきている。
この周期は地球の公転が楕円と真円が交替する周期だという。 
真円に近づくと氷期が到来するという。
そして現在の公転軌道は真円に近づいているという。 

それより一段小さい気候変動周期は2万3000年だという。
これは地軸の傾きの周期に相当する。
この周期で最近で最も寒かったのが2万年前だという。
すると残り約3000年でまたその極値を迎えることになる。
ということは、千年・万年単位でみると地球は寒冷化に向っていることになる!

ところが、人類が農耕を始めた8000年前から寒冷化が進んでいないという。
人類の活動(農耕・牧畜によるメタンガスの放出など)が気候に影響を与えたらしい。

そういえば、数億年レベルの話だが、サンゴも植物も自らの生存のために地球の大気環境を変えてきた。
地球は対太陽との関係では本来はもっと低温になるはずなのだが、これらの生物活動などで生じたガスによって大気の”温室効果”が発生し、生物にとって寒すぎない環境が実現した。
この大きな流れの視野で、ここ100年の人工的温暖化を考えてみよう。 

中川氏は「温室効果ガスの放出によって『とっくに来ていた』はずの氷期を回避している」可能性を指摘している。 

温室効果ガスの放出というテクノロジーは、黙っていてもやってくる寒冷化に抵抗する人類生存のための手段と価値づけることが可能なのだ。

気候変動というより広い視点に立つ事で、人類の活動による「温暖化」を悪とする一方向的思考(人工=悪、ゆえに人間による温暖化=悪)から自由になれる。

ついでにいえば、日本の財政健全化(借金財政の解決)は消費税増税しかない、という一方向的思考(財務省主導・マスコミ追従)からも自由になりたい。