山南ノート4【劇団夢桟敷】

山南ノート4冊目(2008.10.3~)
劇団夢桟敷の活動や個人のことなどのメモとして公開中。

コミュニケーション

2008-12-18 23:07:56 | モノローグ【エトセトラ】
  「表情が乏しい。会話が成立しない。」・・・そう思い始めたのはこの10年くらいである。裏返しに、「伝えたい。」という言葉を耳にするようになった。演劇を「コミュニケーション学」として捉えられるようにもなった。最近の傾向である。大学に呼ばれて講師などを務める者まで多数いる。
 
 昔から日本人は感情をむき出しにすることやボディーランゲージ(身体ごと表現すること)は苦手な民族だと言われてきた。
 狩猟の歴史が浅かったからだろうか。農耕民族である。周囲を海で囲まれた島国である。閉鎖的な環境で私たちは暮らしてきた。群れに同化することには優れている。逆に言えば排他的。強いものには従順になれるが、弱い者や小さい文化には高飛車に出る。
 
 「表情が乏しい。会話が成立しない。」はこの環境とは無縁ではないような気がする。情報過多、群れの少数化と価値観の多様化が、これまでの社会通念に亀裂を生じ始めた現象だと思っているのは私だけだろうか。個の狭い世界と社会の大きな世界のつながりが見えていない。対立回避からくる現象だ。
 
 コミュニケーションをとるための居場所や方法が見つからない若者が増えてきている。逆手にとって、演劇の意味を考えてみる。
 稽古場は異文化を製造する工場のようなものだ。常に「新しさ」を無意識に求めている。・・・劇団笠戸丸ではコミュニケーションから大切にしていこう。
 今日の稽古では表情の出し方などから入った。「もっともっと!」「10倍出せ!」が飛び交う。はじけてきた者が出てきた。悩まなくなるとはじけるもの。これより停滞は許されない段階に入った。年末までが同じ方向へ固まる勝負どころである。