救急車に乗ってしまいました
『もしあのまま、意識を失ったままたおれていたら、
あの気温の中で、冷たいコンクリートの床の上に倒れていたら、
倒れたまま低体温となり、時間経過によっては、
不整脈を起こして死に至ってた。自力で119番出来て良かった。』
私が職場で意識不明になり、倒れた現場に、
勤務日だった夫・星君(仮名)が駆けつけてくれました。
その現場を見て、救急救命士である夫・星君(仮名)から言われた言葉です。
九死に一生を得るとは、こういう事を言うのでしょうか。
夫・星君(仮名)、そして、夫・星君(仮名)と一緒に、
駆けつけてくださった、救急隊の皆様、
命が助かった事、本当に感謝しています。
有難うございました。
検査や分析をする私の課は、
課として1つの部屋が有りますが、
そこに、1日じっと居る事は有ません。
課長から課員まで、それぞれ担当する仕事が有り、
その部屋から、各自が色んな場所に出向きます。
特に私の移動範囲、行動範囲は課で一番広く、
『万歩計付けてみよか?』なんて
皆で冗談を言って笑っていました。
私の担当する仕事のひとつに、
『受け入れた原料をまず一番最初に検査する』
と言う仕事が有ります。
あらゆる菌を持ち込まない為にも、
その場所は、事務所や工場、
そして、課の部屋から離れた場所にあり、
毎日、数時間そこで一人で黙々と、検査をしています。
課の部屋で、みんなが一緒になる朝礼の時、
『あそこで倒れても発見が遅れるなぁ』なんて、
冗談で話していたのですが、
まさか、本当にそうなるとは思ってもいませんでした。
最近寒さも厳しくなり、朝は8.5℃
午後からも最高で12℃にしかならない、
皆がいる場所から、ずいぶん離れた場所、
原料受け入れ検査室(仮称)で、
一人黙々と検査をしていた私。
最近まで、その部屋には内線さえ有りませんでした。
左胸に激痛が走りました。
息を吸おうとすると、痛みが増し、
肺を広げる事も出来ず、
呼吸が出来ない状態になりました。
息が吸えない。胸が痛い。
心臓止まるの?死んでしまうんやろか。
恐怖心がいっぱいでした。
苦しくて苦しくて、
でも、息をしようとすると胸に激痛が走り、
呼吸が出来ない。
動く事も出来ず、しばらくしゃがんでいると、
痛みが少し治まり、息が出来るようになりました。
『狭心症?』『心筋梗塞?』
どうしても不安だったので、
勤務中の夫・星君(仮名)に電話をして、
状況を説明しました。
救急救命士である夫・星君(仮名)から
『心電図取ってみないとわからないけど、
短時間やし、その心配は無いと思うで。』と言われ少し安心し、
『とにかく早く検査を済ませて、暖かい課の部屋に戻るわ。』
と、電話を切りました。
私自身の仕事中に、これまた仕事中である夫に電話するなんて事、
これまで1度も有りません。
でも今考えてみれば、虫の知らせと言うか、
この1本の電話が、功を奏したのだと思いました。
1時間後に、また同じ症状に襲われたのです。
今度は、さっきとは違い、痛みが治まりません。
吸おうとすると痛みが増す為、
呼吸をすることも出来ません。
会社の電話は外線につながらず、
119番が出来ませんでした。
ここで死んでしまうんかな・・・・。
そんな思いが脳裏に渦巻く中で、
たまたま原料受け入れ検査室(仮称)まで
持って行っていた自分の携帯で
119番にかける事が出来ました。
精一杯、会社名と場所を言っていたつもりですが、
119番の人には解ってもらえず、
『もしもし?どこですか?』と言う声が返ってきます。
何度か会社名を言ってみましたが、
返って来るのは『どこですか?』と言う返事。
とっさに、『星(仮名)の家内です!主人を呼んで!』と
言いました。
それでも『もしもし?もしもし?』と言っているので、
電話を切り、もがきながら夫・星君(仮名)の携帯に電話しました。
でも、気づかないのか、呼び出し音が、
私の耳にむなしく響くだけでした。
このまま死ぬのかな・・・・。
『お父さん(普段は主人をお父さんと呼んでいるので)』助けて・・・・。』
声にならない声をあげ、涙がぽろぽろこぼれました。
ふと気づくと、夫・星君(仮名)の顔が有りました。
夫・星君(仮名)の顔が見えた瞬間、
これで助かる・・・・。と言う思いと同時に、
涙があふれてきて、『お父さん・・・・』と
言った事だけ覚えています。
今年の4月に、救急隊から消防隊に異動していた夫・星君(仮名)。
だから普通なら救急隊として、
夫・星君(仮名)が、来る事は無いはず・・・・。
倒れたのが私やったから、個人的に来たのかな・・・・。
そう思っていたのですが、
朦朧とした意識の中で『タンカに・・・・。』
と言う言葉が聞こえました。
タンカ?と言うことは、救急車が来たん?
救急車のサイレンを全く知らない私。
私は、その時に初めて、電話している途中で、
意識消失したんだ・・・・と自ら知る事になり、
また新たに、『意識が無かった時』が有る事に、
恐怖感を覚えました。
携帯でかけた為に、通話状態が悪く、
その上、痛みと呼吸困難で声にならなかった私・・・・。
聞き取りにくかった私の119番通報。
センターでは、受け答えする人だけでなく、
他の職員も数人、通報の声を聞いてくれているそうです。
私が119番した時に、
その声を偶然聞いてくれていた消防職員のTUさん。
私たち家族の事を良く知ってくれているTUさんが
聞き取りにくい私の声を聞き取ってくれたのです。
会社名と星(仮名)の家内です!を
聞き取ってくれたんです。
『場所は○○!○○は、星(仮名)の奥さんの勤務先や!』
TUさんのおかげで、センターから夫・星君(仮名)に
連絡が行き、今は消防隊の夫・星君(仮名)が、
救急隊の人と代わって、救急車で駆けつけてくれたのでした。
1時間前に、胸の痛みで夫・星君(仮名)に電話していた私。
その為、TUさんを通しての連絡に、
私だと確信して駆けつけてくれた夫・星君(仮名)。
原料受け入れ検査室(仮称)で、倒れた私のそばには、
携帯が開いたまま落ちていて、
119番して、そのまま気絶した事を物語っていたそうです。
検査の結果、命に別状は無いと判り、安心ました。
そして、激痛で人は気絶する事が有るという事を、
初めて知りました。
ただ、倒れた原因は、死に直結しなくても、
もし、あのまま誰にも気づかれず
気を失ったまま、倒れたままだったら、
寒い部屋の中でどうなっていただろうと怖くなります。
夫・星君(仮名)の話では、発見された私が、
『お父さん・・・・』と言った後、
安心したのか、私は傾眠状態に入ってしまったそうです。
今でも、所々、記憶がとんでいて、ただただ夫・星君(仮名)が
来てくれた事に、感謝しています。
救急車で運ばれた時に、
看護師さんが私の体の冷たさに驚いていた事にも、
私自身が驚きました。
暖かい服装はしていたつもりですが、
体は冷え切っていたようです。
寒い部屋で、何時間も冷たい水を絶え間なく触っている検査。
考えてみれば、8.5℃ですもの、
冷蔵庫内での作業と一緒ですよね。
言ってみれば、冷蔵庫の中に、
1日に延べ4~5時間居るのです。
しかも、冷たい水を、冷蔵庫の中で、
絶え間なく1~2時間触っているのです。
たった一人で・・・・。
離れた部屋、閉鎖されたような環境、極度の寒さ、
色んな悪条件がストレスとなり、
今回のような事になってしまったようです。
私からの119番を聞き取って下さり、
夫・星君(仮名)に連絡してくださったTUさん、
救急隊の皆様、本当にお世話になりました。
有難うございました。