政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

腐っていた議院内閣制・衆院解散より自民解散!

2008-10-03 08:38:42 | 自民党
てっきり農水省だけかと思ったら、まさか全省庁がそうだったとは!
こんなことまでしている自民党はもう存在させる意味がない。
こんな奴らに盲従している役人はクビにしろ!

「野党の資料要求、事前提示を」 自民が全省庁に要請 (asahi.com 10/2)

自民党国会対策委員会が全省庁に対し、民主党など野党から資料要求があった場合は事前に自民党側に提示するよう求めていたことが2日、明らかになった。内閣総務官室が自民党国対の要請を取り次ぎ、すでに実施していた省もある。野党側は「事前検閲だ」と反発。国会議員の調査活動が自民党の都合で狭められる懸念も出ている。

 内閣総務官室によると、自民党の村田吉隆国対副委員長が9月12日、各省庁の官房長に「民主党の国対委員長に、各府省の事務負担軽減の観点から資料要求のあり方などについてのルール作りを申し入れている。既存の資料を除き資料要求の実態を把握するため、事前に個別に自民党国対に相談して欲しい」と要請。内閣総務官室が各省庁の国会担当者に指示したという。


国家公務員は不偏不党、国民全体の奉仕者という建前そのものを否定したことになる。
中央省庁の中心ともいえる内閣府が自民党のコントロールを受けている。
内閣の指示ではなく、自民党国対の指示で動いていた。
これでは内閣府はまるで自民党事務局、自民党職員ではないか!

「事務負担軽減の観点から」というが、それは自民党国対の仕事ではなかろう。自民国対の仕事の中心は野党対策である。当然これは野党対策であると、誰が見ても分かり切ったことではないか。
「実態把握のため」なら事後でも十分のはず。
なぜ、”事前”に、”自民党国対筆頭副委員長”に”相談する”必要があるのか。

これを受け、農水省が9月12日付で「野党からの資料要求には、各省庁限りの判断で資料を提出することは厳に慎み、自民党の国対筆頭副委員長に相談すること」という文書を作成し、省内に通知していたことがすでに明らかになっている。

「各省庁限りの判断で資料を提出することは厳に慎み」ということは、村田の許可がない限り、野党に一切の資料提出を禁止する、ということである。
各省庁が何故こんな事まで村田に相談(お伺い)をしなければならないのか!
自民党は政権与党とはいえ、一政党に過ぎない。その点では民主党も社民党も同じである。 (当初、筆頭副委員長を小坂憲次と勘違いしていましたので訂正いたしました)

 財務省の杉本和行事務次官は2日の記者会見で、事実関係を認めたうえで「議院内閣制なので、国会対策などで政府と与党が連絡を取ることは特に問題はない」と強調。村田氏は1日、記者団に「ルールづくりのために実態把握が必要なのでご相談くださいと申し上げた。資料を止めたことは全くない」と語った。

「議院内閣制なので、国会対策などで政府と与党が連絡を取ることは特に問題がない」という発言には大いに問題がある。
「議院内閣制なので内閣と与党が連絡を取る」、というのなら正しい。しかし「議院内閣制なので、省庁(役人)と与党が連絡を取る」というのは成り立たない理屈だろう。
つまりこの事務次官は内閣=政府=省庁という言葉のすり替えを行っている。
長期間の政権与党としての自民党の驕りと、長いものにはまかれろ、という役人の保身術がこんな腐った関係を作り出している。

国会議員による資料要求は憲法に基づく国政調査権の発動とは異なり、あくまで任意の請求。しかし、ねじれ国会で、各省庁とも野党の要求を無視できなくなり、「居酒屋タクシー」や「消された年金」などが民主党の資料要求で明らかになっている。

 野党の資料要求についての自民党国対との協議は、以前から一般的に行われていたとみられ、杉本次官は2日の会見で「従来から必要に応じて与党の国対と相談している。相当昔からやっている話で、改めて今回(要請が)あったと理解している」と語った。

 民主党の菅直人代表代行は2日の記者会見で「与党が直接、役所の資料の管理までコントロールするのは民主主義を破壊する行為だ」と批判。同党は6日から始まる衆院予算委員会でも追及する方針。

 内閣総務官室は内閣の事務部局として国会との連絡に当たり、内閣が予算案や法案を国会に提出する際の窓口。


あらためて言う。
実態把握が目的ならば、事後の報告で十分である。
しかし、本当はそれさえも越権行為、権力の濫用である。行政の私物化である。

もう自民党はいらない!



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経済対策を口実に解散を延ばすな!

2008-10-02 15:32:40 | 麻生太郎
ここにきて解散日程がにわかに不透明になってきた。
中山国交相の暴言、続々出てくる閣僚の政治資金不祥事。
一向に上がる気配のない内閣支持率。
総裁選の盛り上がりの勢いで解散・総選挙へ、という麻生・自民党のもくろみはもはや見る影もない。
臨時国会冒頭解散から補正予算成立直後、それが二次補正から新テロ特措法や消費者庁まで審議する、とずるずる引き延ばそうという動きがあからさまになってきた。
しかし、解散引き延ばしが必ずしも自民党に有利に働くかといえば、そうとも言えない。
どうせ、失言・暴言や金銭不祥事などこれからもぞろぞろでてくることだろう。
こうなると、あり地獄に落ちた猿。底なし沼にはまりこんだロバ。
足掻けば足掻くほど深みに引きずり込まれる。
解散は早いほど傷は浅くて済むのだが、なかなか踏み切れまい。
理由の第一は、麻生は、自分には人気があるとまだ錯覚している。
第二に、自分は論戦に強いと錯覚している。
第三に、国民は愚かであると錯覚している。
というようなことで、流れの変わるのを待つのが懸命な戦術だと錯覚はどこまでも続く。

この経済混乱のさなか、補正予算の成立を最優先させる、という麻生の言い分は、一見正しいように思わせるが、中身はとても緊急経済対策と呼べるようなものではない。
やれば、少しは役に立つかな、という程度。
まあ、竹槍でミサイルに立ち向かうようなものだ。
補正予算を盾にとって、解散時期を自分たちの都合に合わせようというのは、国民をバカにしたやり方ではないか。

経済対策は確かに必要だ。しかし、解散を延ばして経済対策を議論したとして、解散という冷たい風に首筋を撫でられている国会議員たちに落ち着いた、腰の据わった議論が出来るはずはない。
解散・総選挙の陰におびえて浮き足だっている国会にまともな対策が打ち出せるはずはなかろう。

とにかく補正予算だけは成立させてすぐに解散・総選挙を行うこと。早ければ早いほど次の対策が打ち出しやすい。
今回の経済危機は世界的な広がりをもっており、それだけに拙速な対策・小規模な対策などでは何の役にも立たない。
これは新内閣がじっくりと取り組むべき性質のものである。

『解散より経済対策を』、と叫ぶ麻生の詐術に乗せられてはいけない!




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官僚を使いこなす麻生内閣?

2008-10-02 06:56:51 | 麻生太郎
曲がっていても口は重宝なもの。
それにしても、よくこんなもっともらしいことが言えるもんだ。

省益を捨てよ・自分の仕事を探せ… 官僚に「麻生四訓」 (asahi.com 10/1)

麻生首相は29日の事務次官会議で、(1)スピーディーを旨とせよ(2)悪い情報ほどすぐあげよ(3)省益を捨て、国益に徹せよ(4)「これは自分の仕事ではない」と決して言ってはいけない。むしろ自分の仕事を探せ――の4項目を指示した。

 中曽根内閣の後藤田正晴官房長官が86年、「省益を忘れ、国益を思え」「悪い、本当の事実を報告せよ」「自分の仕事でないというなかれ」などと訓示した「後藤田五訓」が念頭にあったとみられ、「麻生四訓」として改めて霞が関に号令をかけた形だ。


言は人なり。後藤田正晴が言うから重みがある。
麻生が言っても役人どもは屁のカッパ。
こんな号令一つで役人が変わると思っているなら、麻生も相当におめでたい男である。

首相は会議で、「各大臣には『官僚を使いこなせないやつは国民の代表として立つ資格がない』と言ってある」と発言。所信表明演説でも「官僚は敵ではない」と述べており、「官僚性悪説」に基づく霞が関改革とは一線を画す姿勢を鮮明にした。

『官僚を使いこなせないやつは国民の代表として立つ資格がない』
麻生がこんな事を言うからすぐにこんな奴がでてくる。

「野党へ資料、自民の許可を」 事故米で農水省が文書 (asahi.com 10/1)

民主党は30日、農林水産省が事故米の不正転売問題で野党から資料提出を求められた際、自民党の国会対策委員会の許可を得るよう、省内に文書で通知していたことを明らかにした。農水省も文書作成を認め、「自民党から野党に資料要求のルールづくりを申し入れたことが背景にあり、問題はない」(総務課)としている。

 文書は9月12日付で、表には「自民党国対から内閣総務官室を通じて『別紙』の通り依頼があった」と書かれ、裏には「別紙」として「野党からの資料要求には、各省庁限りの判断で資料を提出することは厳に慎み、自民党の国対筆頭副委員長に相談すること」とあった。


つくづく農水省というところはどうしようもないところだ。
こういう非常識な申し入れをする自民党も自民党だが、これに黙って従う役人というのは、これはもう救いようがない。
誰一人、自民党の要求を拒否しようという人間も、その非常識をたしなめようという人間もいなかったのか!
麻生もこんな事を申し入れた自民党国対の連中に
『官僚を使いこなすというのは、そんな意味ではない』と教えてやらなければ。

ところで、この農水省の役人のとった態度は、麻生四訓に照らすとどういうことになるのだ?

これに関して内閣官房長官は、

官房長官、事故米問題の資料巡り事前相談は「必要」
 河村建夫官房長官は1日午前の記者会見で、事故米転売問題を巡り、自民党幹部が農林水産省に野党から資料要求された場合は事前に相談するよう指示した問題で「党国会対策委員会として実態を把握する必要がある。最低限のマネジメントとして必要だ」と述べた。そのうえで「野党からの資料要求に対し、資料を提出してはならないと考えているわけではない」と語った。(16:01) (NIKKEI NET 10/1)


この男、まともに答える気などさらさらない。
実態を把握する?
最低限のマネジメント?
まったく意味不明!
それとこれとどんな関係があるのか。
それが野党への資料提出に干渉する理由になるのか?
だいたいがこんなことを思いつく自民党国対の議員連中にもあきれるが、
こんな国民をバカにしたような弁解・擁護をする河村という官房長官にもあきれかえる。

この品性の下劣さ。
恥を知れ!

麻生に役人を使いこなすなんてことは期待しないが、せめて役人に使いこなされないように!




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カスのような補正予算を人質に取る麻生内閣

2008-10-01 11:35:29 | 麻生太郎
どうも雲行きがおかしくなって、解散日程もフラフラ。早まったり、日延べしたり。
本音は自民党にとって最も有利な投票日を選ぶことにあるが、補正予算を口実にしたまったくの自己都合のやりくり。補正予算そのものも人気取りの選挙対策。

世界経済の大混乱を口実にして、補正予算成立が喫緊の課題、という自民党の宣伝工作は今のところ一応成功しているようだ。
昨日の株価急落も追い風になった。
しかし、補正予算の中身を見てみると、緊急経済対策とはとても言えない代物だ。
どさくさ紛れのばらまき公共事業を大幅に組み込んでいる。

 ■08年度補正予算案の枠組み

【歳出】

●総合経済対策関連          18,081

 (災害復旧・防災)         (4,408)

 (中小企業向け信用保証)      (4,000)

 (高齢者医療の負担軽減)      (2,528)

 (学校等の耐震化)         (2,047)

 (農業・漁業向け物価高対策)    (1,510)

 (地方自治体のガソリン税減収穴埋め)  (656)

●国債の返済への充当          3,160

●既存経費の節減等         ▼10,599

 (国債費の浮いた分)       (▼7,013)

 (その他の経費節減)       (▼1,858)

 (予備費の減額)         (▼1,000)

   合  計            10,641

【歳入】

●税外収入                 372

●国債発行による借金          3,950

 (建設国債)           (10,270)

 (赤字国債)           (▼6,320)

●前年度剰余金             6,319

   合  計            10,641

(単位・億円、▼は減額。カッコ内は上段の主な内訳)
補正予算案を閣議決定 規模1兆円、建設国債4千億円より


緊急対策の名に辛うじて値するのは、
(中小企業向け信用保証)      (4,000)
(農業・漁業向け物価高対策)    (1,510)
の2件に過ぎない。
災害復旧は必要なら緊急経済対策とは関係なく進めなければならない項目である。
それに防災予算をくっつけるずるがしこさ。
学校の耐震化も緊急経済対策と言うには違和感がある。
高齢者医療の負担軽減というのも、評判の悪いこの制度の便乗手直し。制度そのものの見直しをぶち上げた桝添や麻生の話とは矛盾する。
しかも国債発行ときた。

建設国債を財源とするのは、公共事業と信用保証制度拡充のための出資金。補正では、赤字国債の発行額を当初予算より約6千億円減らす一方で、建設国債を約1兆円追加発行する。これにより、国の財政はさらに悪化する。

記事はこういうが、赤字国債発行が減らせるのなら、減らすのが当たり前。
建設国債を一兆円発行するというのとは別物だろう。
「赤字国債発行を当初予算より6千億円減らす」とあるが、不要な赤字国債発行を予定していたことをはしなくも示している。
建設国債も赤字国債も借金は借金。
建設国債といっても、そのお金で建設した社会資本も年月とともに劣化し、棄却される運命である。そして借金だけが残っていく。結局、赤字国債と変わるところはない。
差し引き国債発行額を3900億円としているのは数字のごまかしであり見せかけである。
国債発行額は1兆円なのである。
赤字国債6000億円減額は緊急経済対策とは関係なく進めるべきものである。

さて国債発行を堂々と打ち出してきた自民党。
国債を財源にできるのなら、民主党も財源の心配はなくなる。
しかも既存経費の節減額が1兆円もある。ちょっと数字をいじっただけで1兆円出てくるとは。
自民党もこんないい加減な予算案を出すようでは、民主党に向かって「財源の裏付けを示せ」などとは言えないだろう。

麻生は補正予算を成立させる方針に傾いているようだが、ついでにテロ特措法も便乗成立させることを目論んでいるらしい。

こんな補正予算なら総選挙が終わってからじっくり取り組んでも大した違いはなかろう。さっさと解散・総選挙を行うに如かず!




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