政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

京セラ・稲盛和夫氏は狙われているのか?

2010-05-19 06:05:16 | 小沢一郎
京セラ・稲盛和夫氏が狙われている気配がある。
氏は民主党応援の数少ない財界人である。

その稲盛氏が日本航空の会長に就任したのが今年2月1日である。

稲盛和夫
民主党を支持し、民主党幹事長小沢一郎とは新進党時代からの仲であり、前原誠司の後援者である。2010年1月に日本航空の会長として日航再建に取り組むよう、政府(鳩山首相)から要請され、2月1日から、日航の会長を無給で務める。また、2010年2月末、鳩山首相から、非常勤の内閣特別顧問に任命された。(ウィキペディアより)

京セラ 50億円申告漏れ (京都新聞 4/27)
京セラは27日、大阪国税局から海外子会社との取引をめぐり、2004年3月期から08年3月期までの5年間に約50億円の申告漏れがあったと指摘を受けた、と発表した。課税対象となる所得の海外移転を防ぐ移転価格税制に基づく更正処分で、追徴課税は地方税を含め25億7千万円としている。京セラは一部を納付したが、処分を不服として近く異議を申し立てる。
(中略)
京セラは「見解の相違で、二重課税防止のための他国・他地域との協議に向け手続きを進めたい」(広報室)としている。


単なる脱税事件にしては、京セラの不服の声が大きいようだ。
京セラ側としては納得がいかない処分なんだろう。
国税と検察は極めて親密な関係にあることは周知である。

日刊ゲンダイに次のような記事があった。

JAL暗雲 稲盛会長に辞任説 (日刊ゲンダイ2010年5月10日掲載)
JAL会長に就任して約3カ月、稲盛和夫氏(78)の心中は穏やかではないらしい。辞任もあり得るという憶測まで飛び交っているのだ。

「4月上旬のことです。国交省の前原大臣との関係が最悪だと伝わりました。国交省がまとめた『国際線の再編案』を稲盛氏が見て激怒したといいます。『だったら前原が社長をやればいい』と言い放ったといわれます。真偽は分かりませんが、こんな話が伝わるほど稲盛氏はイラついているのでしょう」(経済ジャーナリスト)

それだけではない。稲盛氏は、「グループCEO」の肩書を持ってJAL再建を主導するとみられていたが、フタを開ければ代表権のない単なる会長職だった。稲盛氏が高齢なだけに、負担をかけまいとする配慮だったのかもしれないが、結果的には、稲盛氏を「責任のない中ぶらりんな状態」(事情通)にしてしまったのだ。辞任はあるか。


まさか稲盛氏が代表権のない会長に就いていたとは知らなかった。
民主党政権がJAL再建を託して招いた経営者が代表権も持たないでいたとは!
これでは実権のないお飾り同然ではないか。
現に日本航空の役員紹介でも会長とあるだけである。

これは国交省の役人の陰謀か、前原の無神経・無知からなのか、それとも確信犯か。

こんなとき欠かせないのはマスコミの一働きである。
次はTBS。

日航、稲盛会長関係団体に優遇サービス (jnnニュース 5/12)
稲盛会長の横にある「JAL応援団」という言葉。これは、JALが「盛和塾」と呼ばれる団体向けに作ったホームページです。

 「盛和塾」とは、若手の経営者らが稲盛会長の経営哲学を学ぶために立ち上げた組織で、稲盛会長を支援するため、周囲に日航の利用を呼びかけるといいます。

 これを受けて日航は、塾生向けにマイレージの上乗せやツアー代金の割引を実施。さらに、空港でも専用カウンターでのチェックインや、ラウンジを使用できる特典がついた「サファイア」カードを発行。このカード、通常は年間5万マイル以上貯めないともらえないVIPカードです。

 「それはちょっとおかしい。不信感持ちます」「優遇はちょっとだめですね。平等にやってもらわないと」(羽田空港利用者)

 公的支援を受ける一方で、会長の関係団体に特別に設けられた優遇策。日航は「特にコメントはない」としています。


伝えているのはTBS系列だけのようだ。
一般の人への街頭インタビューで、自分たちの言いたいことを代弁させる。
これもまた彼等の常套手段である。

京セラ・稲盛氏に向けた嫌がらせだろう。
動画では、この日航応援団の目標は会員55万人となっている。
この会員に対して8%のツアー料金割引その他のサービスがけしからん、というものらしい。

日航は顧客に対してこれまでも様々な優遇策をとっているらしい。
とくに航空券の販売代理店への手数料以外の高額なキックバックはずいぶんと知れ渡っている。

たまたま古い記事だが目についたものがあるので一部を抜粋する。

日航、「ネット予約25%引き」の波紋 (NIKKEI BP NET 2000年2月8日)
(前略)
なぜ、日航はインターネット運賃の導入に踏み切ったのか。

 巷間言われているのは、販売手数料の削減だ。現在、日航の売上高に占める代理店経由の販売は9割を超え、1年間に日航が単独で支払う販売手数料は1000億円を超える。ネット経由での予約が増えれば、代理店経由の販売ウエートが低下するため、航空会社の実質的な利益が増える。

 ただ、日航の狙いは、それに限らない。むしろ、真の狙いは優良顧客の囲い込みにある。


優良顧客の囲い込みのためには25%の値引きまでしているのである。
稲盛氏が集める55万人は多分ヘビーユーザー中心の超優良顧客集団となるだろう。

JNNのニュースは後追いの報道が全くなかったのだが、仕方なくもう一度自分でやることにしたようだ。

日航、特定団体への優遇措置に批判の声 (TBS News 5/17)

こうした批判に日航の大西社長は・・・

 「大きな団体に対してそういうサービスをする部分はあると思うし、そんなに異常なことではないと思う。(Q.盛和塾は稲盛会長の私的な団体。一般的な団体と違うのでは?)一般的な団体と色合いが違う傾向はあるかもしれないが、応援していただく、それに対して何ができるか考えた結果」(日本航空 大西賢社長)

 「我々だって選ばれてはいないが、いち乗客としてJALを応援する気持ち。公平にサービスを提供してほしい」(JAL利用者)

 前原国土交通大臣は、この優遇措置について調査する方針を表明しています。


TBSは、なんとか騒ぎにしたいと躍起になっている。
しかし、日航側では当たり前のこととしてさらっと受け流している。

航空会社にとって、お客から正規運賃をとることは大分難しいことらしい。

永田町に「JAL叩き」怪文書 誰が何の目的で流したのか (Jcastニュース 2010年3月31日)
資料では、旅行代理店の種類を「大手旅行会社」と、CMを大量に出稿する「メディア系旅行会社」に分類。後者について

「以下がメディア旅行会社に提示されている09年度下期の施策内容(例)である」
として、キックバックの割合を示した表が付いている。その内容が驚くべきものだ。例えば「東京~道東(釧路、女満別など)」では、適用運賃額9900円に対して、キックバック額は8100円。また、「東京~九州」では、運賃1万3000円に対してキックバック額は7500円だ。仮にこれが本当だとすれば、JALの実質的な収入は、運賃額の2~5割ということになり、まさに「投げ売り状態」だ。


これが信用できる文書かどうか分からないが、キックバックの存在は確からしい。
これに比べるとツアー代金の8%引きがおかしいものとはとても言えないだろう。
稲盛会長は会員数55万人を目標としているのだ。
盛和会の会員は現在5500人という。
会員一人当たり100人を集めなければならない。
多少の優遇策がなければ無理であろう。
TBSはいかにも稲盛氏の関係団体への特別な優遇策と伝えるが、既存会員への優遇というより、新規会員向けのインセンティブであろう。
JALにしてみればこの程度の優遇策で優良顧客55万人が得られるとすれば、こんなありがたいことはあるまい。

国税(検察)、官僚(国交省)、マスコミ(TBS)といつもの小沢叩き・民主党叩きの一味が顔をそろえている。

稲盛氏に対するこれらの動きを見ると、その影に何らかの意思が働いているのではないか、と思えてくるのだが……。




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