政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

日本郵政・麻生と鳩山の確執・任命責任とは?

2009-06-05 15:58:16 | 麻生太郎
これまで次々と不祥事を起こした内閣のメンバーに辞表を出させ、自分の任命責任は一切取って来なかった麻生も、今度はちょっと様相が異なる。
麻生と鳩山の日本郵政をめぐる確執がもつれてきた。

今までの麻生のやり方を振り返ってみる。

中山斉彬国土交通大臣 2008年9月28日、国土交通大臣を辞任。在任期間は5日。
就任早々失言で辞任 中山成彬国交相 (毎日jp 2008年9月27日)
首相は28日夕、中山氏の発言について「甚だ不適切。国民かつ関係していた方々に心からおわびする。必然的に辞めてもらった」と述べ、陳謝した。そして「指名した段階では適任だった」としたうえで「任命責任はあったということだったと思う」と語り、自らの任命責任を認めた。


麻生は辞表を受け取り、任命責任を一応は認めたがそれでお終い。
「指名した段階では適任だった」
愚痴とも言い訳ともつかない一言を付け加えたのがせめてもの抵抗。
責任を認めたなら、その責任を取らせなければならないが、だれも追求しなかった。

次は中川昭一財務大臣。
例の泥酔会見で辞任表明会見。
しかも2回!

中川財務相が辞任表明 (msn産経ニュース 2009.2.17 )
責任をとって平成21年度予算案、予算関連法案の衆院通過後に辞任する意向を表明した。中川氏は首相に辞任の考えを伝えており、首相は後任人事に着手する。


1回目の辞任表明会見。
しかし、麻生・中川のお坊ちゃまコンビの甘い見通しとは違って、すぐ辞めろ、という声が強くて、

中川昭一財務・金融担当相辞任 (毎日jp 2/17)
17日午後7時、中川氏はこの日2回目の辞任会見に臨んだ。目は充血し、疲れ切った表情。

麻生首相、中川氏辞任で陳謝/任命責任認める (四国新聞社 2009/02/19)
首相は「閣僚に任命した責任は当然私にある」と表明。辞任までに判断が二転三転したとの指摘には「本人の意思を尊重した。健康、体調の話は政治生命にかかわる」と説明。一時続投を指示した理由を「名誉挽回の機会を与えた方が良いと思った」とも述べた。


任命責任を認めることなど痛くもかゆくもないと学習していた。
今回も辞表を受け取ってお終い。
しかし、不祥事はまだまだ続く。
財務大臣に続いて財務副大臣も。

平田財務副大臣が辞任、6億円の株売却で引責 (YOMIURI ONLINE 3/6)
自民党の平田耕一財務副大臣(60)(衆院比例東海ブロック)が今月、保有していたジャスダック上場の石こうボードメーカー「チヨダウーテ」(三重県四日市市)の株式を、自身のオーナー企業に約6億円で売却していたことが分かった。
 民主党は、閣僚や副大臣の在任中の株取引自粛などを求めた「大臣規範」に抵触するとして平田氏の辞任を要求。平田氏は26日夜、財務省で記者会見し、「国会の審議が滞れば国民に多大な迷惑をかける」と述べ、辞任する考えを表明した。
 これを受け、政府は26日夜に持ち回り閣議を開いて平田氏の辞任を認めた。


麻生はぶら下がり会見であっさり”任命責任といやぁわたしにあります”と言って、やはりそれで終わり。
任命責任慣れしている。

4人目は鴻池官房副長官。

鴻池官房副長官が辞任、女性問題報道で 後任は浅野氏  (msn産経ニュース 2009.5.13 )
鴻池祥肇官房副長官(68)=参院兵庫選挙区=は、「健康上の問題」を理由に麻生太郎首相に辞表を提出、首相は13日午前、受理した。鴻池氏は、12日夜に秘書官を通じて辞表を提出後、「間質性肺炎」のため都内の病院に入院したが、週刊誌に自身の女性問題が掲載されたことの責任を取ったとみられる。


今度もまた任命責任が持ち出される。
麻生はどういう訳か今度は抵抗する。

任命責任については、「健康上というのに関しましては、健康上というんであれば、その件に関しましては、うん、健康までちょっと任命責任になるかどうかよく分かりかねます」

もちろんそれで済むはずもない。

5月14日午後6時36分~
JRパス目的外使用「こういうことしちゃいかん」 (毎日JP)

Q:自らのご責任については。

A:任命責任ですか? その点については僕はあの、いろいろな方々の発言やら何やら、これまで辞めていかれた方々に対して任命者、任命者としてははなはだ残念、任命責任はすべてあるとずっとこれまで申し上げてきておりますんで、このことに関しても例外ではありません。


麻生はここまで任命責任は渋々認め続けてきたが、その責任は一度も取っていない。
責任を認めてもそれだけの話である。
麻生は、誰一人罷免したわけでもなく、国民に対して頭を下げてもいない。

5人目になるかも知れないのが鳩山邦夫総務大臣。
しかし、今度は、非行・不祥事ではなく、政策そのものが問題となっている。

日本郵政西川社長続投の是非が問題になると、麻生は例によって丸投げ、他人任せの無責任ぶりを見せていた。



麻生首相「総務相が適切に判断」 日本郵政社長進退で答弁 (msn産経ニュース 2009.5.21 )
6月に任期が切れる日本郵政の西川善文(よしふみ)社長の進退について、麻生太郎首相は21日の参院予算委員会で「まず鳩山邦夫総務相が適切に判断すると思う」と述べ、自らの考えについては明言を避けた。国民新党の自見庄三郎参院議員の質問に答えた。

 首相は、自見氏が「鳩山氏が西川社長の再任に反対すれば、総務相を罷免するか」と問いかけても、「鳩山氏が適切に判断する」と繰り返した。


ここまで言ったんだから、あとは鳩山の判断に任せるのが筋である。
国会の場で言ったことである。
たとえ鳩山の判断が自分の意にそまないものであるとしても、鳩山に従わなければなるまい。
しかし、そこは麻生のことである。
さっそくブレた。

日本郵政・西川社長進退問題 鳩山総務相、西川社長の続投は認可しないと明言 (6月4日6時32分配信 フジテレビ)
麻生首相は3日夜、この問題について「鳩山総務大臣の所管。株主は財務大臣。人事のあれをやるのは官房長官。その3者で話し合うということだと思いますが」と述べ、総務相と財務相、官房長官の3者が話し合う問題だとの認識を示した。


鳩山に任せたはずが、どうやら鳩山が西川拒否で突っ張りそうな気配を見せると、3人の話し合いに任せると、大幅に方向転換した。

鳩山はあくまで西川続投を拒否する姿勢を見せている。
ここまできたら自分からは辞表をだすことはあるまい。
ここで折れたら鳩山の男がすたる。

麻生は、どうしても西川を続投させたいと思えば、鳩山を罷免するほかはない。
しかし、「鳩山氏が適切に判断する」と繰り返してきた麻生には、鳩山を罷免する名分がない。

西川を続投させたければ、鳩山を罷免し、西川続投を宣言し、今度こそ任命責任をとって総辞職するほかない。
当然、自民党は政権を野党に渡して下野する。
どうせすぐ総選挙である。
野党の内閣も選挙管理内閣になる。

それが嫌なら、鳩山罷免、西山続投を宣言した上で解散・総選挙で国民の意思を問え。
一度ぐらいは任命責任というものを取ってみろ。

しかし麻生に、中川財務大臣も鴻池官房副長官も罷免しないでいて、失策を犯したわけでもない鳩山を罷免できるわけはない。





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