政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

どこまで馬鹿か分からない麻生!

2008-12-08 08:19:45 | 麻生太郎
麻生の発言についてようやく納得できたことがある。
時価会計についてのつぎの発言である。
いろいろと解釈してみたが、もう一つ腑に落ちないでいたのだが……。

(麻生の日本語・麻生に日本語通訳を!)
(ガキの屁理屈にも劣る麻生の言い訳)

麻生首相、時価会計緩和「検討してみたら」 (産経新聞 10/29)

【時価会計緩和】

 --ニューヨーク市場、そして東京市場で株価が反発した。各国連携して講じた措置、指示が効いてきたようだが、今後の対策として時価会計緩和策、日銀の利下げ検討などが報道されている。特に時価会計緩和策は、劇薬という話もあるが、総理のお考えは

 「これはもともと、株を満期まで持っている人にとっては、時価会計は手続きが大変になるだけで、おおよそあまり意味がない。導入をいわれたときから、ずっと同じことしか言ってないと思いますんで、政調会長のころに7、8年ぐらい前かな、同じことしか言っていない。時価会計に、どうしてもしなきゃいけないというアメリカの意見にそーかねーと言い続けてきた。そのアメリカがやめるという話をしているんだから、日本も時価会計にこだわる必要あるのかねー。検討してみたらとはいいました」


まさか『株に満期がある』とは、いくら麻生が馬鹿でも思ってはいないだろうから、これは麻生の言葉が足りなかったのではないか、と次のように解釈してみたのである。

『株を販売目的ではなく投資目的でいつまでも持っている企業にとっては、時価会計は手続きが大変になるだけでおよそあまり意味がない』
株を満期まで持っている人=株を販売目的ではなく投資目的でいつまでも持っている企業
販売目的とは売買利益を目的とする保有。
投資目的とは、株式持ち合いや子会社・関連会社化に伴う株式保有。

それにしてもこの解釈には無理がある、と気にかかっていたのだが……。
次の記事で納得した。

会計基準委、債券の保有区分変更を正式決定 (NIKKEI NET 12/5)

企業会計基準委員会は4日、債券の保有区分の変更を認める会計基準を正式決定した。決算期ごとの時価評価が義務付けられている「売買目的」や「その他」の区分から、時価が大幅に下がった場合にだけ評価減する「満期保有」への振り替えが可能になる。2008年10―12月期の四半期決算から適用できる。欧米では先行して同様の会計処理を認めている。

 保有区分を変更する際は、その時点の時価で貸借対照表に計上する。当初は「売買目的」で保有していた債券も、長期保有すると事前に意思決定している場合に限り、10月1日までさかのぼって「満期保有」に振り替えることができる。決議では14人の委員のうち2人が「恣意(しい)的な会計処理につながる」などとして反対した。

 同様の会計処理は欧州企業が多く利用する国際会計基準でも認められている。すでに08年7―9月期の業績開示で欧州の金融機関が相次いで保有区分を変更した。


何のことはない。
麻生は株と債権の区別がつかなかっただけだったのだ!!
想像以上の馬鹿!!
考えて損した。

しかし、今回の時価会計の緩和に関する動きにはやや問題があろう。
今回の金融危機に対処するため、欧米で時価会計の処理基準を緩和した動きに合わせ、日本企業だけが不利にならないようにする、という理屈はある程度理解できるが、そこに特定業界の利益を図る意志が見え隠れしている。

時価会計一部凍結へ(日経新聞2008/10/17)

日米欧
時価会計一部凍結へ
金融危機封じへ非常手段
 日米欧が一斉に、金融機関や企業が保有する債券や証券化商品などの金融商品を時価で評価する時価会計の適用を一部凍結する方向で動き出した。日本は民間の企業会計基準委員会(ASBJ)が十六日、時価評価の対象外になる範囲を拡大するなど会計基準を見直す検討を始めた。市場の混乱を受けて時価会計凍結を検討する米国や、見直し策を打ち出した欧州に追随する。世界的な金融危機を封じ込めるため緊急措置に踏み切る。
(中略)
事態が急展開したのは十五日夜の中川昭一財務・金融担当相と金融界トップとの会談だ。全国地方銀行協会会長で横浜銀行の小川是頭取らが「時価会計の停止を検討してほしい」と要望したことが決め手となった。
 信託協会の田辺和夫会長も十六日の記者会見で、時価会計の停止も含めた経過措置が必要だとの認識を示した。
 地域金融機関はここ数年、優良な貸出先を確保することが難しいため、効率的に資金を回すことができる有価証券の運用を増やしてきた。株式や国債だけでなく、破綻したリーマン・ブラザーズ証券などの投資銀行が売り込んだ複雑な仕組みの証券化商品も多い。


横浜銀行の小川是頭取というのは大蔵事務次官からの天下り。
こんな時には使い勝手がいい。
(横浜銀行歴代頭取は吉村成一元横浜税関長、伊原隆元大蔵省理財局長が就任以後、吉國二郎、大倉真隆、田中敬、平澤貞昭と歴代の大蔵事務次官が就任している。現頭取の小川是(おがわただし)も同様で、大蔵省退官後に日本たばこ産業会長・顧問を経て就任した。また、同時に歴代頭取は全国地方銀行協会会長を担当する慣例がある。……ウィキペディア・横浜銀行より)

要は銀行業界の要望で動きが加速されたということである。

金融庁長官「時価会計基準の緩和は逆作用」 (NIKKEI NET 12/4)

金融庁の佐藤隆文長官は3日、企業会計基準委員会(ASBJ)など世界の会計基準設定組織が東京で開いた円卓会議であいさつし「一部の金融機関から(時価を基礎とする)会計基準を緩和すべきだとの意見があるが、(混乱を回避する狙いとは)逆に作用する」と述べた。金融危機を増幅するとして時価会計の一部停止や緩和を求める声が広がることをけん制した形だ。

 佐藤長官は「我々が会計に期待するものは単純で、企業の財政状態を公正、正確に示すもの。損失が発生すれば迅速かつ正確に開示すべきだ」と述べた。その上で、金融機関などが困難な状況を打開するには、自ら不良資産の切り離しや自己資本の積み増しなどに動く必要性を指摘した。


こちらが正論であろう。
緊急事態だから、という理屈もあるが、株は不透明感を嫌う。公表される財務内容に信頼が持てなければ、株価に逆効果になるということは十分にあり得る。
経済が正論通りに動くとは限らないが、少なくとも株と債権の区別もつかないような男が口出しすべきことではない!

ちなみに先の”時価会計一部凍結へ(日経新聞2008/10/17)”にはちゃんと書いてある。


株式には債券などとは違って「満期保有」という考え方がなく、対象外となる見通し。




暫定税率廃止!天下り禁止!議員世襲禁止!


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