私は2020年12月13日の最終日に見に行った。今年は戦後75年であり、大企画。私が見たのは「那覇市民ギャラリー」での全体から見たら一部の企画。それでも大画面の展開があり、総じてダイナミックな展開になっていた。見覚えのある作品もあれば、初見の作が多数。
「戦後75年 平和と鎮魂」を謳っており、沖縄発のみならず、韓国・台湾からもある。やはり人骨が出てくる。沖縄戦ばかりか韓国の済州島の4/3事件の際の大虐殺のもの。変わり果てた形は殆ど同じ。人間の醜さを凝縮している。しかし骨は凄い。何十年間も残っているのだから。無念な死をどういかすのか、私たちのこれからが問われている。それは作家のみならず、見る人に。
沖縄にも基地があり、この基地が日本と米国をひとつながりにしてみせている。ここをびしっと、示すような作品が欲しい。今回の中では、石垣克子さんの海から見た沖縄の森が興味深かった。森が壊され剥がされている。花城太さんの写真はドローンで撮った連作だが、なんとも言えなかった。辺野古の護岸建設の、埋め立ての惨状が克明に写されている。このお二人の絵と写真は発想に共通するものを感じる。山と海の繋がりを見て、壊すなとの強烈なメッセージ。小橋川共男さんの高江は着実な撮り口でさすが。4年経っても、あのときの怒りを彷彿とさせてくれる。弾圧が酷いだけに留まらないところがいい。普久原朝日さんは若手。県民投票の記録写真が中心だが、はっとするものをもっている。頑張ってもらいたい。
台湾、韓国・済州島の作品は、あたりまえだが、またちがう。自分の不勉強を恥じる。アジアの近隣でのことに目を頭を向けなければならないと思い知らされた。
高良憲義さんと照屋勇賢(在米国)さんの共作はデカイ画面だ。基地のフェンスがすっきりと断ち切られている。CG技術らしい。確かにCGならば、簡単に粉砕できる。しかしおもしろいのは、写真的には簡単に可能だということと、現実の巨大なギャップ。だからこそこれを見て、ほぼ誰もが立ち止まる。だからこそ、いつの日にかと考える。

部分:撮影可とあり、部分を撮った。ライティングの関係でどこかが光ってしまう。全体像は不可。せっかく影ができているのだから、こいつを大きく取り入れた。これは、本作と全く違うよ。撮影:山本英夫
総じて、芸術がもちうる破壊力を味わったと言えるだろう。もっと破壊力を、もっと突破力をなのだろう。総じて、何も知らない人に見てもらいたい作品だった。ことについて知っているか否かよりも、制作者に寄り添う力があれば、見る人に様々な段階があれども刺激的なものをつくれるのだろう。多数の宿題を戴いた芸術祭2020ー沖縄だった。
なお会場によってまだ開催中のものもある。以下のサイトをみてください。