大きなリスクオフになっている相場だが、それは表面的な現象だ。では、この相場の駆動力となっているのは何か?
それは世界的なドル高である。
ドル円やユーロドルではドル安なのではっきりしないが、その他のほとんどの通貨ではドル高だ。前から見ている新興国通貨、ランド、リンギット、ルーブル、レアル、等々、大きくドル高になっている。よく見るドルインデクスは、ユーロや円のシェアが大きいためこれをきれいには反映していないが、この実状が一番よくわかるのが、FRBの出している貿易加重ドルインデクス(広域版)というものだ。FRBのサイトで見ることができるので、改めて、このブログのPC版の左のブックマーク一覧にも入れておいた。これは新興国も含めた幅広い通貨に対する貿易高加重のドルインデクスであり、現状をよく反映している。maxの時間軸で見ていただくとわかるが、2014年から急激になったドル高は現在進行中だが、2008年のリーマン時をはるかにこえて、2002年のドル高の129に迫る大規模なものである。
このチャートで灰色になっている部分は米国のリセッション時期であるが、このドルインデクスが上昇するとリセッションになるのがよくわかる。通常のドルインデクスよりもその関係が明瞭になるのであり、おそらく、今年後半、米国はリセッションに再度入って行くものと思われる。ダウもインデクスの上昇の頂点で大きく下落する(直前の高値の半分くらいになる)のであり、だいたい次のような関係になっている。
2002年 ドルインデクス頂点 129
2002年 ダウ大底 7500ドル
2009年 ドルインデクス頂点 114
2009年 ダウ大底 6000ドル
2016年? ドルインデクス頂点 130?
2016年? ダウ大底 10000ドル以下?
このドル高は、一種のサイクルであり、その生成の根本原因はわからないが、基本的には、バブルの形成と消失を繰り返しているように見えるのである。そして、このドル高こそ、現在のリスクオフの駆動力であるのは明白である。CRB指数の月足チャートを見ると、やはりドルインデクスの上昇と反比例した動きになっている。現在もドルインデクスは上昇中であるが、前回の頂点が129であったところを見ると、まずは今年に130程度まで上がるところがひとつのメドではないだろうか。このあたりを注目していきたいと思っている。
ちなみにドル円は、ドルインデクスの頂点が過ぎたあたりから数年が円高期のピークとなる。具体的には、過去は、2004年から2005年、2010年から2012年。今回は今年から来年前半あたりだろうか。
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戻り売りに戻りなしと言った状況で、儲けてはいるんですが、入り切れず少し悔しいです^^;
以前のやまはさんの記事で
>>ダウの下げは最終的にはかなりきつくなる予想をしている
とありますが、やまはさんは、ダウには手を出さないのでしょうか?
また、自分は今年1100ドルぐらいまで下げるんじゃないかと思っていますが、
やまはさんはどのような見立てでいらっしゃいますか。
今日の記事を拝見して、私が考えていた方向とぴったりでしたので驚きました。私も今年の秋まで日経は上がり、その後、ベアトレンドになると考えています。ファンダメンタルからも、大統領選挙もありますし、秋までは、悲観的に考えていません。しかし、そのあと、イールドカーブが逆転したら、その後は、リーマンショックぐらいの下げがくると考えています。ある意味でそれを楽しみにしているのですが。。。どうなるでしょうか。。
JPモルガンの佐々木さんは年末110円程度の円高を予想していました。
国内の貿易黒字や人民元安などが理由ということです。
ホリコキャピタルの堀古さんもドル円買われ過ぎで同じく下落を示唆していました。ただ、堀古さんはイールドカーブが逆転するまでは米株には強気で、まだ何年かは上げるとの見立てでした。
ドル円は怪しそうですが株は急には落ちないかもしれませんね。
今回の記事では円高のピークは来年初め頃とあります。
今回の記事が今の見解でしょうか。
株はそんなに得意ではないので、とりあえず見ているという程度です。ダウも1万ドル割れくらいかな?という程度で、とてもトレードはできません。
勉強中さん
私も株の下落がどの程度になるかはどうも不確定です。意外に早く下げそうな気もしますが、そのあたりは今後見ていきます。
arb4さん
そうですか。たしかにネットでもそのお二人は円高派ですね。米株がまだ数年高いというのはあまり賛成できないのですが。
あべしさん
ちょっと舌足らずでしたね、すみません。今回のはドルインデクスから見たもので、それからすると今年から来年初め頃に円高ピークを迎えると読めます。ただ、サイクルからは数年かけてダブルボトムと考えます。両方あわせると、とりあえず今年から来年のどこかでひとつのドル円ボトム(110円?)をつけ、そこから数年後にもう一回大きなボトム(100円程度?)をつけるというあたりが想定できそうです。その後2021年以降に円安。
いずれにせよ、いろいろな要素からの予想ですので、厳密にこれこれの年はどうだ、というようなものではありません。ただ、ぜんぜんおかしくて矛盾しているようならご指摘下さい。誤植や勘違いもありえますので。m(_ _)m
やはり主軸はもはやすでに米株なんでしょうね
つくづくshibor優秀すぎますね
確かに株があれだけ操作されていると、金利の方が観察しやすいですね。ありがとうございます。
しかし、朝方のランド円の7円のストップ狙いの売りはすごかったですね。どこかのファンドなんでしょうけど、日本の休日を狙いすまして来るのはよくある手法ではありますが。
やけにボラが想定よりでかくなったなあと思ってたらやっぱりまだ介入してるんだね。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O0RVYP6K50YM01.html
169割れで撤退
今週は戻りを売る週になりそう。
予定どうり116円台で半分は利確しましたが、追撃売りのターゲット迷いますね。
118円後半から119円前半まで売り上がるつもりですが、はてさて。。。
いい情報ありがとうございます。
Unknownさん
ポンドは上下が大きいのでそういうのもありですね。
Jobimさん
どこまで戻るのか興味深いですね。なかなか上は重いようですが。
しかし新興国通貨を入れたドル指数はリーマン時を遥かに超えてるのですね!
上値重そうなので、予定より下ですが追撃売り。
ロンドン勢に期待します!
株ももう一発ダメ底出してほしいです…
とりあえず、割と早めのレジスタンスでドル円は落ちてきました。
やはり今回は米株主導の下げになりそうな気配ですね。
どこで、日本株と方向が分かれるかが、株トレードをしている方には気になるところです。おっしゃるように、日経も、まだセリングクライマクスがないので、ここで下げ止まりはないでしょう。
それほどたいしたことにはならないと思っています。FRBの失敗で、アメリカの不況が長引く、というような雰囲気でとらえています。
http://jp.reuters.com/article/usa-stocks-bear-idJPKCN0UW0KC
米経済がリセッション入りする懸念は投資家の間に広がってきているようですね。米国の株式市場は金融相場から業績相場へと変わる過渡期で、今は更なる上昇相場の中間反落という見方もありますが(不安の壁を登る?)、このストーリーについて、やまはさんは、どう思われますか?
さらなる上昇相場は考えにくいです。リセッション入り間際だと思います。
先の回答と合わせると、これから米国はデフレ系のリセッションに入る。ただし、恐慌というような程度の激しいものとは思わない、
というあたりでしょうか。
リスクオフの主因はわからないです。いろいろ言われますが、決定的な原因がわかりません。やはり、米ドルの動きを中心とした景気循環(バブルの形成と破裂)がもとになっているのかと思います。それは避けられないもので、時がくればリスクオフとなるのだと思います。
今回のは、前回のリーマンショックのバブル崩壊を、中央銀行の介在で一部、あとに持ち越したもので、サブプライム・リーマンと続くショックの流れにある、バブル崩壊だと思っています。
株価は中暴落程度じゃないかと。したがって金も行って2000ドルでしょう。理由はこれと言ってないのですが、やはり前回のリーマンが100年に一度のブラックスワンであって、今回のはその余波だと思うからです。おっしゃるようにLIBORは安定してますし。前回とは違います。
年初から続くリスクオフの大きな要因の一つとされる原油価格の大幅下落。エネルギー資源関連企業を巻き込んだジャンク債(ハイイールド債)市場の異変が健全な債券(社債)へ波及するリスクを孕んでいるとも言われる中、サウジの戦略は機能しているのでしょうが(生産コストは5ドルくらいだそうですが)、米シェール企業が操業停止に追い込まれる(息の根を止める)価格にまで下落しないと本格的に反発しない(供給過剰から供給不足となった後に反発する)というのをよく見聞きします。原油価格が底打ちすれば、世界の株式市場も反発し安定する、という見方もあるようです。
詳しい情報ありがとうございます。原油関係は情報が少ないので助かります。
ひとつ以前書かれた記事で気になった点があったのでお聞きしたいのですが、今回のリセッションはリーマンショックと異なりドルが余っている状況だと書かれていたと思いますが、今後はドルの減価ともに金や銀だけでなく、原油も反転する可能性もあるでしょうか?
金は通貨ですので、ドル安がすぐに影響しますが、原油はむずかしいでしょう。当面は上げても40ドルというところで想定したらいいのではないでしょうか。
OVX(VIXの原油版)的には底が近い可能性もあるようですが、ここから更に原油価格が暴落するようだと、年初からの世界的なリスクオフは継続して、(賃金の上昇圧力も強いため)FRBは難しい舵取りを迫られることになるんでしょうが、(メキシコも危なそうですが)産油国も米シェール企業と同様に、原油価格の大幅な下落に耐えるのは大変なんですよね。エネルギー関連融資、特に高利回り融資への懸念のある欧州の金融不安が落ちつき、原油価格が上昇に転じたとしても、供給過剰はそう簡単には解消されないとか(そのため上値目処40ドル?)。
OPECが機能しなくなったことで原油価格の形成は投機家の手に委ねられるようになったと言われますが、これだけエネルギー資源価格が下がっても需要(特に先進国の消費)が増えない(価格が下がれば需要が増えるという経済学の理屈通りに現実はなっていない)というのは、ミクロ的には色々あれどマクロ的には、長期停滞論が事実(ファクト)によって裏付けられている、というふうにも言えるんでしょうね。
日本の場合は、緊縮財政政策、特に消費税の増税によるところが大きいんでしょうが(消費の二極化などとも言われますが)、いわゆるゼロ金利にしても(慣れていったとは言え)、まあちょっと異常(資本主義の死?)ということなんですよね(本質的には)。デフレ期にインフレ対策を行うとどうなるかというのはわかりそうなものですが、最近ようやく低金利を利用したインフラ支出拡大などをOECDが呼びかけ出したようです(G20でも協調して財政出動について何か出してくれるといいのですが)。デフレギャップですか、不足している(増えない)という需要を積極財政で何とかしようとしなければ、世界は本当に揃って恐慌経済になるかも知れませんね。
確かに原油はサプライ側の理屈ばかりで、なぜ売れないかがあまり問題になってませんね。そのあたり、経済紙もいいかげんです。^^
スロー・トレードですか、世界経済は既に停滞もしくはリセッション入りとの見方もある中、李克強指数として知られる電力消費量・鉄道貨物輸送量で見ると、実は中国だけでなく日米欧もリセッション入りなんだそうですね。先のOECDと同様に今ではIMFもインフラ投資(需要拡大のための財政出動)の重要性を説いているそうですが、世界経済を牽引していると言われる米国経済の直近の現状としては、まだ設備稼働率が急落していないことに加えて、消費者のローン負担は低く、賃金が上昇傾向にあり、失業率も低いなどなど、米国経済がリセッション入りするような兆候は殆ど感じられないと言います。これは、言い換えれば、労働市場が回復していく過程で賃金が上昇し、消費が増えて需要が回復し、インフレ率が上昇していく、というふうに広く考えられている(主流派経済学的にも)、ということなんですよね。
景気の後退局面では、実質賃金が上昇しても消費や投資は落ち込む、ということが言われているようで(株的には金融株の上がらない上昇相場は間違っているとか)、遅行指標と言われる雇用関連が好調であっても、米経済がピークアウトする懸念が払拭できない中(完全雇用の段階に達すると雇用の増加は止まって賃金が増加していくとか)、世界的なリスクオフが続くようだと米利上げは無理だとの見方は多く、先のNY連銀のダドリー総裁の発言は、外為市場への口先介入(ドル高を冷やすため)という話もありましたが(米国はドル高抑制、特に新興国対策を考え始めているとか)、直近の米国債の動きからは、イールドカーブのフラット化から利上げが遠のいていると見れる(経済成長への信頼感の後退を示している)ことに加えて、ドル高を通じて世界的な景気後退が米国の内需にも影響を及ぼす(シェール企業のある地域は不況とか)、といった見方もあるようです。
ただ懸念はあれど、当面(2~3年?)は米経済はリセッション入りしないというのが、今の市場のコンセンサスになっているようです。追加利上げ観測も出るくらいで、例えば、1月の米消費者物価指数は大幅な伸びとなり、同じく米小売統計からは、消費支出の増加で景気回復力が裏付けられ、好調な労働市場が支出を下支えし、賃金上昇の動きから今後の支出増も見込まれる、ということも言われ(第4四半期の米GDPは上方修正また1月の米個人支出は大幅増となり所得の伸びもしっかりしている等)、今のところ健全な過程にあると見れるとか。貿易加重ドル指数が示唆する米経済のリセッション。これからも米国経済は力強く成長し、それが米国株を高くする、というストーリーは(米利上げはその証?)、時間の審判を経て将来どう評価されるのか。懸念だけで済めばいいのですが。
年初からのリスクオフの発端となった中国。対外貿易統計で(4分の3が資源という)輸入が大幅マイナスなのにGDPがプラス成長というのは、まあちょっとあり得ないんだそうですね(カイル・バスも何か予言しているみたいですが随分前から仕掛けていたジム・チェイノスの中国売りは成功したんでしょうか?)。一時期は毎日が米雇用統計などと言われたくらい、中国で人民元の基準値が発表される時間帯と中国の株式市場が開く時間帯は注意を要しますが、オフショア市場では猛烈な投機アタック(人民元の売り浴びせ)が変わらず行われているといいます。
経済対策の王道の一つである通貨安、人民元の切り下げに当局が慎重になっているのは、中国は対外債務(ドル建ての借金の問題)が大きいからだと言われていて、外貨準備は輸入の3ヶ月分を切ってくると通貨がメルトダウンする危険が高まるそうですが、この外貨準備を取り崩すなどして通貨防衛(ドル売り元買い介入)しているため、今のペースでいくと後4~5ヶ月ほどでIMFが想定する必要最低ラインに達すると見られています。又この外貨準備の勘定が合わない(張子の虎?)という話もあるようで(中国よりも日本の方が米国債の持ち高を減らしているようですが)、日銀と中国人民銀行が通貨スワップ協定の締結に向けて交渉しているという話も前に出てました(資本規制の話も)。あと中国の債務問題は(規模的には)米国のサブプライム問題に匹敵するという指摘もあります。
今や世界最大の産金国となった中国は、なぜか金準備をせっせと増やしているようですが(中国ではガソリンなどを公定価格にしたそうですが)、中国発の通貨危機も懸念されているみたいです。ただ、いくら統計データに問題があっても、過去に経済的な危機に陥った国々とは違って、中国は対外純資産が世界第二位である、この事が勘案されていない、という話もありました。
FRBの超過準備の付利は0.5%に上がって貨幣乗数(信用乗数)も右肩上がりということですが、FRBと日銀の金融政策は似て非なるものなのか(例えばFRBやECBは別に物価を上昇させることを意図しているわけではない等)、QEの最大の目的は、いわゆるアニマルスピリットを引き出すことなんでしょうか。日本のQEとマイナス金利導入は相互に矛盾する政策だといった話もありますが(QEは日銀の当座預金の残高を増やすことで市中のマネーサプライ(マネーストック)を増やそうとする政策、マイナス金利導入は当座預金が増えないようにする政策)、米国はマイナス金利を導入できないために何回もQEを行った、というふうにも見られているようです(シャドー・レートですか、アトランタ連銀の計測では、2014年中盤から実質的な金融引き締めが開始されていて、そこから様々な市場の最終下落が始まったとか)。
過去に例をみない異常とも言える世界的な超低金利によって、イールドスプレッドなどの指標はワークしなくなったのかも知れませんが、日足のチャートで見る米株価指数や原油などは、ダブルボトムを形成して上昇するような感じに見えたそうですね。米国の経済指標における先行指数系は傾向として弱めのものが多いといった話もありますが、世界経済における深刻な需要不足は、全ては中国のバブル崩壊に起因するんでしょうかね。
年初からリスクオフとなった大きな要因の一つとされる米金融政策の転換(昨年12月の米利上げ)。日米は内需拡大(需要創出)の方向で、普通に財政出動することは可能ということですが、政治的に難しいこともあって(日本では国の借金問題が、米国では債務上限問題が、それぞれネック)、実際に後がないところまで追い詰められてからでないと、世界的な動き(本腰を入れて取り組む)にはならないような気もします。
数日で終わった黒田バズーカに続き、わずか数時間で終わったドラギ・マジック。株式相場的には往って来いになりましたが、これらの出来事は中央銀行が実体経済に与える間接効果の限界を教えてくれたのだといいます。今後の重要な動きが始まる起点になるかも知れないとのことでした。
最近のゴールドマン・サックスの曲げが酷いといった話もあるようですが、このJPモルガンのストラテジストの経済モデルでは、来年の米経済のリセッション入りの確率が1/3、2年以内2/3、3年以内ほぼ100%との予想が出ているようで(反発局面では全て株を売っているとか)、もはや中央銀行には実弾が残されていないため、実際に景気後退局面となった暁には、米国株は30%ほど下落する、という見方をしているようですね(レイ・ダリオの経済モデルでは今どうなんですかね)。
同じくJPモルガンの佐々木さんによると、米国がリセッションとなる確率は、2017年からが50%、2018年からが75%。また、過去のパターンからすると、米国でリセッションが始まる一年くらい前に米国株は必ずピークアウトするということで、去年(昨年)の5月が米株のピークだとすると、計算上、今年後半にはリセッション入りすることになるんだそうです。社債市場がボロボロで、ハイイールド債の米国債に対するスプレッドが8~9%くらいになっており、過去の例(クレジットスプレッド)からすると既にリセッション入りとか。
本当に株価が大暴落となる時というのは、楽観論が支配的な時のようですが、市場は(が)常に間違っている、と言ったのは、確かジョージ・ソロスだったでしょうか。米経済は1年以内に100%の確率でリセッション入りすると言明したジム・ロジャーズは(3月10日大暴落説についてはそんなことは言っていないと否定したもようです)、中国よろしく米GDP統計や米国の繁栄は偽りで(給与税は既に横ばい状態とか)、政府以外の人たちはそのことを知っているのでドナルド・トランプが支持されている、と言っていたようです。
誰が大統領になっても米国は国内回帰に向かうのでしょうが、日本では色物扱いされていますが、実は大多数の米国人の本音を代弁しているというドナルド・トランプが(右VS左の選挙戦ではなく上VS下の戦いになっているとか)、本当にアメリカ大統領になると、世界経済またマーケットはパニックになる、という話もあるようです(米国の保守層からすると安部総理も鳩山元首相と同じという評価とか)。政治的な問題から米国経済に異変が生じるリスクも結構ありそうな感じですよね。
(謎の非公式会合はあったもようですが上海合意はあったのか)世界から円安を牽制されたG20。実は以前から財政出動の話が出てはいるようなんですが(レイ・ダリオやビル・グロースも財政赤字の拡大を伴う財政出動に訴えるべきだと言ってるようですが)、各国とも国内の事情(都合)を優先するため(まあ当たり前ですが)、協調して一緒にやろう(取り組もう)ということには(現時点では)ちょっとなりそうにないような感じなので、そうすると(そうなると)、結局、最後はどうなるか、ということですよね。
世界経済には長期停滞(セキュラー・スタグネーション)という構造的な問題があるかどうかはさておき、世界全体の生産が弱くなってくると世界のGDPも当然スローダウンするということで(IMFによると世界全体のGDPは2014~2015年で約4兆ドル縮小)、貿易加重ドル指数が示唆していたように、早ければ今年後半(遅くても1~3年以内)に、世界のGDPの25%を占める米経済がリセッション入りとなると、それが世界全体を巻き込んて、やがては世界同時恐慌経済となる、といったシナリオは(ボー・ポルニー、ハリー・デント、エゴン・フォン・グレヤーズ、御三方の大暴落予測ではないですが)、現実的な範囲の話として成り立つのかも知れませんね(つまり今から3年間は十分な注意を要すると)。
モルガン・スタンレーによると、グローバル・リセッションとなる確率は30%だそうですが、直近の米国の小売売上高が大幅に下方修正され、堅調と思われていた米国の個人消費に対する懸念が出てきたもようで、米国の成長率見通しの下方修正を受けて、世界各国の経済成長見通しも同様に下方修正がなされているようです(但し、米GDPの10~12月確定値は消費が伸びて上方修正。一方、企業利益は2008年以来の大幅減)。また、積極的に(借金をして)株を買っているのは企業だけで(前回の自社株買いのピークは2007年で今はその水準に近づきつつあるとか)、米大手金融機関の顧客の売買状況を見ると、個人投資家や機関投資家だけでなくHFも売り姿勢、という話もありました。
本当のところはわかりませんが、企業が最後の買い手となっているのが現状なら、自社株買いの力が尽きる時に何かが起きる可能性は十分ありますよね。社債を発行して借り入れた資金は、生産財への投資に回すのが、本来の企業の(投資)行動原理なんでしょうが、それが財テク(?)に走っているとなると、これはいつか来た道、となるような感じがしないでもありません。ポートフォリオ・リバランス効果の問題もあり、神の見えざる手ではありませんが、どうなるかは神のみぞ知る、といったところでしょうか。
これから決算シーズンに入っていきますが、買い圧力となる米国株の空売り残高は、ある試算によると1兆ドルを超えるんだそうですね。世界の株価指数が2月にボトムをつけて、リスクオンとなっていったにも関わらず、なぜか米国債が買われて、米10年債利回り(長期金利)が低下傾向にある、というのが、ずっと気になっていたのですが、IMFが中国の経済に何か警告を発していたようで、中国発の問題と欧州発の問題が、世界に飛び火する形で、世界全体がデフレに覆われる、というような話もあり、やはり今後1~3年間は十分な注意を要すると、あらためて思いました。
時期的には米大統領選挙が終わった翌年にリスクがある(アノマリー的には米株が軟調になる)ようで、正確性の高い2つの経済モデル、イェール大レイ・フェア教授とエモリ―大アラン・アブラモウィッツ教授の予測モデルでは、共和党の勝利が予想されており、トランプが米大統領になると、世界経済は不安定になるでしょうし、そこに米経済のリセッションが重なると、これは結構ヤバイことになるような感じがします。ただ、今は、FRBによるインフレの演出ですか、景気の拡大の方を心配しなくてはならない(景気が上振れるリスクがある)、という見方もあり(過少な引き締めでバブル発生&崩壊というパターン)、未来の状態を正確に推定する方法は経済学にはない、ということですから、その辺りはよく観察して慎重に見極めていく以外になさそうです。
おもしろい情報が多いですね。レイ・フェア教授、アブラモウィッツ教授の予想というのは過去のものは検索でひっかかるのですが、今年の分は見つかりません。よかったら出典(英文でも可)をお教えください。興味があります。
先のG20の上海合意で通貨安戦争に敗戦ですか、消費者物価の動きに先行するというドル円レートの急速な下落が(一旦のピークは日銀会合前後?)、FRBによるインフレの演出や日銀の手詰まり感からきている、とはちょっと思えないところもありますが(中国人民銀行は3月もゴールドの持ち分を増やしSDR建ての数字を公開したことで外貨準備も少し増えたようですが)、2月に起こった欧州の金融不安など、金融政策が限界に近いと思われているECBには、金融債の買い取り、例えば倒産の噂が絶えないドイツ銀行が発行した社債を買い取る等、とっておきの手(ウルトラC)があるようですね(日本においては日銀による地方債の買い取りという手があるとか)。
中央銀行の動きを読むには、インフレ率がどうなるかを予想することも大切なようですが(指標としてはBEIもありますが)、“Don't fight the Fed”という格言の通り、米金融政策が上手くいって、米国の景気が不況になることなくインフレとなり(米国の消費者物価はFRBのインフレ目標を既に達成)、米国内はインフレでドルの価値が毀損するも、ドル安によって新興国が息を吹き返し、中国の財政出動である程度は需要が回復して、欧州も一息つき、しばらくの間、世界経済はおかしくならない、ということも、一応は考えられるみたいです(米国はインフレ下での不況、いわゆるスタグフレーションになることも考えられるようですが)。コロンビア大学のインターナショナル・ハウスで、ジャネット・イエレン現FRB議長をはじめ、歴代FRB議長(ベン・バーナンキ、アラン・グリーンスパン、ポール・ボルカー)が集まって、討論会が開催されましたが、そこでは、今はバブル経済(状態)ではない、という見方が示されたようです(尚ビル・グロースは2016年中の金利見通しからユーロや円が安くなると見ているようです)。
追伸:
あと出典の件なんですが、それについては、この下記の記事をご覧ください。
http://thehill.com/policy/finance/275084-models-predict-gop-white-house-even-with-trump
出典ありがとうございます。この記事は他で見ることができないものでした。感謝です。情報広いですね。