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在職老齢年金の仕組み

2009年11月09日 | 労務
在職老齢年金とは、在職中である厚生年金保険の被保険者に対して支払われる年金のことです。そして、60歳台前半の在職老齢年金(60歳以上65歳未満)と、60歳台後半の在職老齢年金(65歳以上70歳未満)があります。これらの年金は支払われる報酬によって、一部または全部が支給停止するなどの調整が行われます。

具体的には、基本月額(年金額を12等分した年金月額)、と総報酬月額相当額(標準報酬月額と年金の受給対象となる月以前1年間の標準賞与額の総額を12で除した額が総報酬月額相当額になります。)

今回は、60歳で定年退職した直後について、レポートします。

【60歳台前半の在職老齢年金】
●基本月額+総報酬月額相当額≦28万円の場合、年金は全額支給されます。
●基本月額+総報酬月額相当額>28万円の場合、次のような計算で支給されます。

基本月額が28万円以下で総報酬月額相当額が48万円以下の場合
基本月額-(総報酬月額相当額+基本月額-28万円)×2分の1

例えば、基本月額が10万円(年金額が120万円なら12月で除した額10万円)で、標準報酬月額が20万円の場合、
10万円-(20万円+10万円-28万円)×2分の1=9万円(年金の支給額)となります。

基本月額が28万円以下で総報酬月額相当額が48万円超の場合
基本月額-(48万円+基本月額-28万円)×2分の1-(総報酬月額相当額-48万円)

ほかにも、基本月額が28万円超で総報酬月額相当額が48万円以下の場合と基本月額が28万円超で総報酬月額相当額が48万円超の場合の計算式はありますが、こちらは、該当する人が少数なので、省略します。

60歳定年後の勤務の形態は、継続雇用制度(再雇用)制度が多く(全国で約90%)、報酬面では賞与を支給しない場合が、比較的あります。

年金は支払われる報酬によって、減額されるわけですが、報酬は総報酬月額相当額ですので、前年の賞与を加えた額です。60歳定年後、賞与がなくとも、前年の賞与額が加算されて、支給停止額が多くなる場合があります。

年金を減額されたくないのなら、基本月額+総報酬月額相当額の合計額が28万円以内で勤務するか、厚生年金保険に加入しなければ、年金は満額支給されます。それには、自営業を行うとか、会社に勤務しない。あるいは、厚生年金の適用事業所以外の会社に勤めるか、短時間勤務として被保険者資格者にならないなどの方法があります。

一方、厚生年金保険に加入しつづければ、年金額を増やすことが出来ます。在職中に支払った保険料は退職後再計算を行い年金額に反映されます。また、厚生年金保険に加入すれば、健康保険の被保険者にもなります。被扶養者がいる場合は国民健康保険料の負担がないことや、国民年金の第3号被保険者になれるなどのメリットがあります。このようなメリットとデメリットを、事業主の方は定年退職者と相談にのりながら、ご判断ください。

著作権:山田 透


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