宝塚仁川/山田歯科エクセレンスクリニック 歯科医師・山田忠生
9-5 臨床前教育(第2回診査来院)
患者は第2回の診査来院前には、真剣に自分の口腔について考え始めており、来院すれば歯科医師の発見事項について熱心に知ろうとするであろう。しかし、発見事項について説明をする前に、(来院までに実行してきた観察事項を)患者が回答することになっている質問についての報告を患者に求めるべきである。
臨床前発見事項の提示において、歯科医師は(予想される、そして現実の)原因から始めて、歯科疾患の進行をそのさまざまな破壊の局面を通して明らかにし、最後には患者の口腔内のこの時点で明らかな最終段階へ到達することになる。それがどこであっても、2つの破壊過程の間のつながりを説明するべきである。最終的には患者に質問をして、このような結果の全体的な影響が患者にとって何を意味するかー主要な予後の危険性を理解しているかを確認する。
経験からすると、不幸なことに一般的な患者は歯科医師がなぜそうするのかということよりも、何をしようとしているのかに関心をもっている。このような態度は好ましいものではなく、患者が自分の状態の原因を理解しなければ、治療計画の価値を十分に評価できないであろう。このような患者の態度を叱ることや、診断の説明を無視するような歯科医師は、極めて思慮が浅いといえる。
診査後に、4か所にインレーが必要で、その費用が200ドルであると告げるような歯科医師は少ない。必然的に患者はインレーが50ドルであるということのみを考えるようになり、その4か所において、(1)歯と歯の間の適正な接触が失われており、そのために機能が損なわれていること、(2)歯肉がただれて、炎症を起こしていること、(3)治療の目的が修正にとどまらず、他の状態も治療して、将来の不測の事態を防ぐことであるということなど理解しない。