山脇内科小児科医院

医療・医学情報

寝不足と糖尿病

2009-05-27 11:02:05 | Weblog
夜間の質のよい眠りが2型糖尿病発症リスクを低下させることがわかった。週の労働日に年間1晩あたり平均6時間未満の睡眠しかとっていない人では、6-8時間の睡眠を取っている人に比べ、2型糖尿病発症リスクが5倍近く高くなっていたという。対象は、6年間の睡眠習慣を追跡した1,455例。追跡開始時の睡眠時間が空腹時血糖に与える影響について検討した。追跡開始時に空腹時血糖値が100 mg/dL未満だったにもかかわらず、6年後に100mg/dL以上125 mg/dL以下へと上昇していたのは91例。この91例と、100 mg/dL未満の血糖値を6年間維持した273例を比較した。睡眠時間は、自己申告に基づいて、週日の睡眠時間が1)6時間未満の短時間群、2)8時間以上の長時間群、3)6-8時間の中程度群―に分類。短時間群では、中程度群に比べ、空腹時血糖異常を来すリスクが4.56倍高いことが判明した。中程度群と長時間群とでは空腹時血糖値に有意差は認められなかった。これは、不適切な睡眠と健康への有害作用の関連を裏付ける結果である。睡眠は、生活サイクルを通じた在宅健康指導の一環として、臨床現場で評価していく必要がある。睡眠と疾患という複雑な分野の研究がさらに進展することが望まれる。

遺伝子解析

2009-05-26 13:29:01 | Weblog
米国とメキシコで広がっている新型インフルエンザウイルスについて、人間の免疫反応を引き起こす抗原性はほぼ同一であることが、米疾病対策センター研究チームの遺伝子解析で分かった。このことより、ワクチン製造の種となるウイルス株選択は容易だそうだ。また、ウイルスは豚由来と確認され、今後は豚の群れでの感染状況の監視が重要だそうだ。研究チームが両国の感染者から採取した70以上のウイルスを遺伝子解析した結果、毒性や感染力が強まる変異は起きてないことが確認された。ワクチンの効果に関係する抗原性もほぼ同一だった。一方、豚の体内にあるうちは変異が遅いが、人間に入った今後は、季節性インフルエンザ並みに頻繁に変異する可能性があり警戒が必要なようだ。ウイルスの起源については、3種の遺伝子が交雑した豚インフルエンザが北米で1998年ごろに出現。その後、ユーラシア大陸起源の豚インフルエンザウイルスが混ざって誕生したことが分かり、豚がウイルス交雑の現場となったことが再確認された。

理想の退職年齢は?

2009-05-25 07:42:13 | Weblog
経済の急激な不況に伴い、理想の退職年齢は人々の最大の関心事となっている。住宅ローン問題や株価暴落の影響による退職金の減少も懸念されている。研究者らによると、理想的な退職年齢というものはなく、高齢者でも新しいことを学び、鋭い思考力を保っていれば、雇用市場で引けを取らないことがわかっているという。米メイヨークリニック神経学教授は、健康的に年を取る秘訣は忙しくあり続けること、それも運動や身体的活動ばかりでなく、むしろ精神面、認知面で常に活動的であることが重要だという。従来の退職年齢である65歳を超えても仕事を続けたければ、自分の特質と短所を見極める必要があるという。高齢者は素早く機敏に動くことはできないかもしれないが、知恵と経験があり、過去の不況を体験している点でも若い同僚から評価される可能性がある。米スタンフォード大学精神科臨床准教授は、技術を磨き続けることで仕事の実績に差が出ると強調している。准教授は、40~69歳の非職業パイロットを対象に年齢が認知能力に及ぼす影響について検討した。その結果、60~69歳のパイロットは、最初は若いパイロットに比べて技術が劣っていたが、フライト全体の成績では差が小さくなったほか、時間とともに「回避」能力については若手よりも大きな向上がみられることがわかった。退職する平均年齢を過ぎても仕事を続けるためには、新しい言語や楽器を学ぶなど、常に新しい取り組みに自分を駆り立てることだという。仕事の技術の維持、運動や健康的な食生活が勧められており、認知面と身体面の健康はどちらも同じくらい重要なようだ。

迅速診断法の開発

2009-05-23 14:02:54 | Weblog
科学技術相は5月22日、秋から冬にかけて新型インフルエンザの流行がさらに拡大する可能性を踏まえ、迅速診断法の開発などの緊急研究を始めることを明らかにした。ウイルスの遺伝子を増幅して行う確定診断には現在、数時間かかっているが、これを1時間程度に短縮することを目指す。また、感染者の発生状況を早期に把握できる体制の構築も課題とした。国立感染症研究所、理化学研究所、東京大医科学研究所、国立国際医療センターの4機関が研究を進めるそうだ。

1957年より前に免疫

2009-05-22 13:54:57 | Weblog
米疾病対策センターは5月20日、1957年より前に生まれた人の一部に、新型インフルエンザに対する免疫がある可能性を指摘した。さまざまな年齢層から採取した血液の分析で、57年より前の世代の血清から、新型インフルエンザのH1N1型ウイルスに対する免疫反応を示唆する結果が得られたという。米疾病対策センターによると、米国の入院患者のうち50歳以上は13%で、高齢者が重症化する傾向のある季節性インフルエンザとは特徴が異なるという。1918年から19年にかけ世界的に大流行したスペイン風邪はH1N1型で、終息後もウイルスは変異を続けた。その後、H2N2型のアジア風邪が57年に大流行したが、それまでの間に、現在の新型ウイルスと関連するH1N1型に感染した世代が存在する可能性があるとしている。

メタボと死亡率

2009-05-20 12:17:51 | Weblog
厚生労働省研究班が全国の40-69歳の男女約3万人を対象に実施した大規模調査で、肥満でなくても血圧や血糖値など血液検査値に異常があれば、死亡の危険性が高まることが明らかになった。国は昨年度からメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)対策を目的に肥満に重点を置いた特定健診を始めたが、研究班は「メタボ健診だけでは、太っていなくても病気を発症する危険性がある多くの人を見逃す危険性がある」と指摘。特定健診は導入後3年で見直しされる予定で、今後の議論の大きな根拠になる可能性が高い。また、メタボと死亡率の関係について、10都府県の3万4000人を約13年追跡した。心筋梗塞など虚血性心疾患は、メタボの場合、男性で約3倍、女性で約2倍、死亡する危険性が高かったが、肥満ではない人でも血圧や血糖値などが診断基準を超えた場合、死亡の危険性はメタボの人と同様に高かった。病気の種類を問わない男性全体の死亡率もメタボの有無による違いはなかった。また、8県の2万3000人を対象に実施した分析では、虚血性心疾患の患者のうち、高血圧が原因で発症したと推測されるのは全体の5割近くに上った。一方、メタボによって発症した割合は2割未満にすぎず、メタボ対策の効果は限定的とみられる。日本人の死因の第1位であるがんの発症にもメタボの有無は関係なかった。肥満重点の対策で期待できる効果は小さく、禁煙や血圧の管理など効果が期待できる対策を推進すべきだろう。

対応の切り替えが必要

2009-05-19 14:54:59 | Weblog
あれ程厳重に水際作戦を行っていたのにもかかわらず、国内での初感染は海外渡航歴のない方であった。神戸市の開業医の機転が功を奏した。現在宮崎では新型に対する対応は兵庫、大阪に滞在もしくは旅行した方に対してのみ発熱相談センターを開設している。しかし同様に、兵庫、大阪に行っていないにもかかわらず感染している方が宮崎にもいらっしゃるかもしれない。これは外来をやっている個々の医者が見つけていくしかない。熱、咳などで外来を受診した方に簡易キットでインフルエンザの有無を確認する。A型陽性、B型陰性ならば保健所に連絡。新型感染の有無を確認。しかし、これでは効率が悪く、このまま新型の患者が増えれば宮崎にも発熱外来が地域ごとに開設されるのであろう。しかしこのまま新型が全国にまん延し、秋から季節性インフルエンザも出てきたなら、発熱外来もパンクするであろう。だとしたら、今年の秋から冬にかけては、各医療機関(病院から診療所まで)で簡易キットを使いインフルエンザをチェックし、季節性も新型も同じインフルエンザとして対応していくしかないだろう。少なくとも、妊婦や高齢者、小児を守る準備をしていかねばならないと思う。新型インフルエンザの対応として在宅やドライブスルーが考えられているようであるが、少なくともインフルエンザ感染の有無はチェックせねばならず、在宅やドライブスルーでは対応が困難であろう。逆に高血圧、高脂血症で通院中の方の薬をドライブスルーにした方がリスクが少ないかもしれない。

3分の1が発熱せず

2009-05-18 16:11:49 | Weblog
メキシコ市の病院で新型インフルエンザの感染者を調べた米国の医師が「患者のうち約3分の1に発熱がなかった」との報告をまとめた。報告によると、重症者の多くは高熱を出したが、症状が軽い患者の半数ほどは発熱がなかった。せきや倦怠感は、ほぼすべての患者が訴えた。また、患者の約12%が激しい下痢を起こしたという。発熱はインフルエンザの感染を見分ける重要な指標とされる。報告が事実なら、感染の早期発見と拡大防止が、これまで考えられていた以上に困難になる可能性がありそうだ。だとすると、関西地区に限らず自分の近くにもまん延してきていると考えた方がよさそうだ。人ごみを避け、手洗い、うがいを徹底しよう。

冬に備えよう

2009-05-17 09:06:22 | Weblog
現在感染が広がっている新型インフルエンザは、通常の季節性インフルエンザと同じように夏期には沈静化するが、秋以降に再出現する可能性が高い。米テキサス大学医学部によると、過去に発生したインフルエンザの大流行では、晩春ないし初夏に小さな流行が認められた後、冬期に大きな流行が起きており、今回のウイルスも過去にみられたパターンどおりだとすれば、冬に再流行する可能性が高いという。これまでのところ北米およびヨーロッパの国で多数の感染者が認められているが、インフルエンザは冬期のほうがはるかに拡大しやすく、南半球ではすでに秋である。中核都市で新型インフルエンザと通常のインフルエンザが同時に流行すれば、公衆衛生システムが対応しきれなくなる可能性が懸念されている。2つの異なるウイルスが変異し、新たに1つの新型株となる可能性もある。インフルエンザの拡大がいつ、どのように起こるかは、気温のほかにもウイルス自体の複製能力、宿主の感受性、人の行動パターンなどの環境によっても左右される。幸いこれまでのところウイルスは弱毒性と考えられているが、秋以降に再出現するウイルスはさらに毒性が強まる可能性もある。しかし、それまでにはワクチンをはじめ、さまざまな面で世界的に準備が整っている可能性が高い。ウイルスのゲノム配列は完全に解読されており、現時点では毒性は低いことがわかっている。

コレステロール値の季節差

2009-05-16 07:46:09 | Weblog
長い冬の後の夏の太陽の登場は、脂質濃度に好ましい影響を及ぼすと思われることが新しい分析から明らかになった。治療中のコレステロール値は、治療薬の強度にかかわりなく夏のほうが冬よりも有意に低かった。また、善玉コレステロール値は夏のほうが冬よりも有意に高かった。よって、夏の間のコレステロール値が治療目標をわずかに下回るにすぎない場合、冬には治療目標値を上回る可能性が高く、治療の強化を検討する必要があるかもしれない。以前から心筋虚血性疾患の発現率は冬のほうが夏よりも高いことが明らかになっており、冬と夏のコレステロールの差は比較的小さい(約6 mg/dL)が、この季節差は、臨床的に有意である可能性が示唆された。