山脇内科小児科医院

医療・医学情報

一無、二少、三多

2009-06-27 15:46:59 | Weblog
日本人の健康習慣には、「一無(無煙)、二少(少食・少酒)、三多(多動・多休・多接)」が最適。東京慈恵会医科大総合健診・予防医学センターが7年間、人間ドックを受けた約9500人を追跡調査したところ、日本生活習慣病予防協会の提唱する健康習慣「一無、二少、三多」が、従来の健康習慣と比べてメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の発症をより効果的に減らすことが分かった。「無煙」はたばこのない生活。「少食・少酒」は、食事量と飲酒量は少なめの腹8分。「多動・多休・多接」の多動は身体をできるだけ動かすことで、多休は休息・睡眠を十分とり、心身ともにリフレッシュ。「睡眠時間」の規定はせず、休憩や仕事をしない休日を十分取る。多接は趣味などで多くの人や物と接し、ストレスを発散すること。調査では、ブレスロー氏の「7つの健康習慣」、森本氏の「8つの健康習慣」、池田氏の「一無・二少・三多」がメタボ予防にどの程度の効果があるか検証された。その結果、女性では3つの健康習慣で、いずれも多く実践しているほどメタボ発症の抑制がみられた。特に池田氏の習慣では、少実践群と多実践群での発症の差異が顕著だった。ところが、男性はブレスロー、森本両氏の健康習慣で、中実践群より多実践群のほうがメタボ発症率が高かった。両氏の健康習慣をより多く実践してもメタボ発症の抑制効果はなく、むしろ増加するという思いがけない結果となった。これに対し、池田氏の健康習慣だけが実践数に比例してメタボ発症の抑制が見られ、きれいな右肩下がりの下降線を描いた。ブレスロー氏の健康習慣で気になる点は「定期的に激しい運動をする」こと。激しくないと効果がないのか。また、「飲酒量は4本以下まで」としているが、日本人で4本はかなり多い。森本氏の健康習慣では「睡眠時間7~8時間」という規定は必ずしも妥当ではなかった。一方、池田氏はストレスとは謳っていないが、「多接」で悩みを1人で抱え込まないことでメンタルトラブルの予防には有効だった。

肥満パラドックス

2009-06-25 17:57:57 | Weblog
余分な脂肪は心疾患の発症の原因となるが、同時に症状の悪化を抑える可能性があることが、これまでの心臓研究でわかった。この現象を「肥満パラドックス」と呼ぶ。肥満は心疾患リスクおよび死亡リスクを大幅に増大させるが、高血圧、冠動脈の閉塞、末梢動脈障害をいったん発症すると、肥満の患者は痩せた患者よりも経過が良好である。このパラドックスは数年前から報告されているが、肥満の心疾患患者は減量する必要はないというような誤った解釈をしないよう正しく認識せねばならない。肥満は糖尿病や高血圧など多数の危険因子をもたらすとともに、それ自体が独立した危険因子でもある。心疾患の患者で最も経過がよいのは体重を減らそうとしている肥満者であり、肥満がよいというわけではない。このパラドックスにはいくつかの理由が考えられる。一つは、肥満の人は疲労感や呼吸困難などの症状のために早期に医師の診察を受け、疾患を早期に治療することができるのではないか。また、体重のある人ほど疾患と闘うエネルギーの蓄えが大きいからではないか。さらに、肥満の人はそもそも肥満でなければ心疾患を発症しなかったはずだが、やせた人が心疾患に罹患するのは別の理由があるため、重症になる可能性が高いからではないか、などである。

ヨーグルト

2009-06-24 17:21:00 | Weblog
日本人に不足しがちなカルシウムを効率的に取るには、ヨーグルトが有効。たんぱく質やカルシウムを豊富に含む牛乳の栄養成分を受け継いでおり、牛乳を乳酸菌で発酵させているため消化吸収も良くなっている。カルシウムの一部は、水に溶けやすい乳酸カルシウムになっていて、吸収率が高まっている。たんぱく質の一部も、分子の小さいアミノ酸やペプチドに分解されている。しかも半固形状のため、胃にとどまる時間が液体より長く、それだけ消化されやすい。このため、高齢者や妊産婦、子供には、特にお薦めだ。牛乳を飲んだらおなかがゴロゴロするという人がいるが、その原因となる乳糖も3割程度は分解されているためおおむね安心だ。乳酸菌の効能の中で整腸作用はよく知られているが、腸内でビフィズス菌などの善玉菌の増殖を助け、悪玉菌が増えるのを抑える。腸内環境が整えば便通がよくなり、健康と美容にも役立つ。最近注目されているのは、がんやインフルエンザの予防・抑制効果。特定の乳酸菌が、がん細胞などを殺すNK細胞を活性化させて、免疫力を強めることが証明されている。デザートの印象が強いヨーグルトだが、ブルガリアでは、料理の材料であり、調味料。普段の食事にどんどん取り入れてみてはいかがだろうか。

脱毛の原因遺伝子

2009-06-22 18:29:45 | Weblog
男性ホルモンが関与せず、性別に関係なく起きる脱毛や薄毛の原因遺伝子を、国立遺伝学研究所が突き止めた。この遺伝子が正しく働かないと毛髪表面にあるうろこ状の組織「キューティクル」に異常が生じ、頭皮から抜けてしまうらしい。キューティクルの維持が、脱毛を食い止める治療につながる可能性がある。研究では「Sox21」という遺伝子を持たないマウスを作成して観察。すると、誕生後に全身にいったん生えそろった毛が、生後11日目からまず頭部で抜け始め、約1週間で全身から完全に抜け落ちた。その後、再び新しい毛が生えるものの20日前後で脱毛。発毛と脱毛を繰り返した。研究の結果、発毛は正常だが脱毛の周期が異常に早まったと判断。通常のマウスでは、キューティクルのうろこ状の構造が毛と頭皮の組織とをかみ合わせる”かぎ”の役割を果たしているが、Sox21のないマウスではうろこ状の構造がなく、毛がある程度伸びると抜け落ちてしまうことを突き止めた。うろこ状構造を作るのはタンパク質「ケラチン」。Sox21はケラチンを作り出す遺伝子の働きを制御しているという。

驚異的な感染力

2009-06-20 13:04:48 | Weblog
中国上海市の女性患者から採取した新型インフルエンザウイルスを世界中のウイルスの遺伝情報を集めたデータベースを基に分析した結果、人の体内で効率よく増殖する能力を獲得していたことが6月19日にわかった。新型インフルエンザウイルスは、豚と鳥、人のウイルスが混ざり合ってできているが、増殖にかかわる遺伝子は鳥由来で、鳥の体温(42度)で最も効率的に増える。ところが、上海市の女性患者から採取したウイルスは、この遺伝子が1文字分だけ変異して、人の体温(36度)で、効率的に増殖できるように変化していた。マウスの実験では、ウイルスのこの部分を変化させると、増殖力が爆発的に増え、病原性が高まることが分かっている。この増殖能力のアップが驚異的な感染力につながっているのかもしれない。また、発症前にすでにウイルスは増殖しており、潜伏期間内に他に感染させているのかもしれない。

痛風

2009-06-16 17:01:53 | Weblog
痛風はレバーや肉、魚介類などを好んで食べ、毎日、適量を超えてお酒を飲み続ける肥満傾向の成人男性に多い病気。ビールが天敵とされているが、それ以外のお酒でも飲み過ぎると危険度は同じ。このような食生活を続けていると高尿酸血症となる。「風が吹いても痛い」と言われるほどの激痛が関節に表れる痛風発作は、血液中に溶けきれずに関節内に漏れ出た尿酸の結晶が引き起こす。発作は急性の関節炎で、足の関節、特に親指の付け根によく起こる。通常は1か所の関節に限られ、特別な治療をしなくても数日で治まってしまうなどの特徴がある。しかし、発作を繰り返していると、複数の関節に同時に起こったり、治るのに長期間を要するようになったりする。尿酸は、細胞の核酸を構成する「プリン体」が体内で分解されて出来きる。そのため、プリン体を多く含む食品やビールを過剰に摂取すると高尿酸血症になり、それが長年続くと痛風が発症してくる。尿酸値を下げる薬を常用して血液中の尿酸濃度を低く保っていれば、痛風発作は起きない。しかし、薬に頼る前に、痛風になりやすい食生活の見直しや適度な運動を心がけることが大切。

親の喫煙と虫歯

2009-06-15 18:04:59 | Weblog
父母など同居する家族に喫煙者がいると幼稚園児や小学生は虫歯になりやすくなったり、歯肉が黒ずんだりする傾向のあることが、岡山大学(行動小児歯科学)の調査でわかった。調査は、幼稚園児85人と小学生166人の計251人を対象にした。その結果、幼稚園児の約3割(23人)、小学生の約3割(51人)で歯肉が黒ずんでいた。このうち、約8割の幼稚園児19人、約7割の小学生37人は、父母など家族が喫煙者だった。これに対し、黒ずんでいない場合では、約3割の幼稚園児18人、約5割の小学生54人のみ、家族が喫煙していた。 また、小学生の歯肉の黒ずみ度を調べたところ、健康な歯肉の児童でも家族の5割弱に喫煙者がいたが、最も黒ずみのひどい児童らのグループでは全家族に喫煙者がいた。 また、虫歯になりやすくなっていることも示唆された。口の中の細菌の特徴から虫歯になる危険度を調べると、最も危険度の高いグループの6割は家族に喫煙者がいたが、低いグループでは4割にとどまっていた。煙からの防御反応で歯肉が黒ずむのではないかとみている。また、たばこの煙によって唾液の量などが減り、虫歯の原因となるミュータンス菌が増えた疑いがあるという。まだ、因果関係ははっきりしないが、子どもに悪影響を与えている可能性は高い。

フェーズ6

2009-06-12 18:46:55 | Weblog
世界保健機関(WHO)は11日、新型インフルエンザの警戒水準(フェーズ)を広域流行を意味する現行の「5」から最高の「6」に引き上げ、世界的大流行(パンデミック)を宣言した。インフルエンザの世界的大流行は、約100万人が死亡した1968年の「香港風邪」以来、41年ぶり。WHOは、今回はウイルスの病原性が低く、「重度」より軽く「軽微」より重い「中」程度だとの認識を示した。今後も感染が拡大するとの見通しを示す一方で「重症者や死者が突然急増することは予想しない」と表明。各国に国境閉鎖や旅行制限など過剰な反応をしないよう呼び掛けた。新型インフルエンザは当初のメキシコ、米国から欧州や日本、さらにオーストラリアなど冬季にさしかかった南半球を含む多数の国に拡大。オーストラリアは10日の主要感染国による会議で、同国ビクトリア州で北米などへの渡航者と無関係な人の間で感染が続く「地域社会レベルの持続感染」の発生を認め、大流行宣言を出す条件は出そろった。WHOは宣言に伴い、新型インフルエンザがもたらす感染者の健康被害について3段階の新たな評価基準を設定し、新型インフルエンザに有効なワクチンについて、メーカーができるだけ早く製造できるよう支援していくと言明した。ワクチンは既に主要国保健当局と世界の主要メーカーが開発の準備に入っており、7月にも生産が始まり今秋には本格的に流通する見通し。それまでは感染者の早期発見と、重症者に対する抗ウイルス剤投与が対策の中心となる。

乳・幼児の誤飲

2009-06-11 17:41:36 | Weblog
たばこ
幼児の誤飲で最も多い。丸ごと1本など大量にのみ込むと、急性のニコチン中毒で嘔吐や体の震えなどの症状が出ることがある。この場合、胃洗浄でたばこを体外へ出すが、それほど大量に食べてしまうケースは多くない。吸い殻を1本、2cmぐらいで、特別な症状がなければ、あわてなくても大丈夫。たばこが体内で吸収される2時間ほど様子を見て、症状があれば医療機関へ。なければ、後は便となって出てくる。毒性を薄めようと、水を飲ませるのは厳禁。たばこの成分は水に溶けると体内で吸収しやすくなる。灰皿の水などを誤って飲んだ時は、症状が出ないか特に要注意。

石油製品
ガソリンや灯油、ベンジン、液体蚊取り、化粧品ではマニキュアや除光液があり、この場合も、水を飲ませてはいけない。また、吐かせようとするのも危険だ。石油は一滴でも肺に入ると重い肺炎を起こすとされ、吐かせると肺に入る危険が増す。水を飲ませても、石油は薄まらず、むしろ嘔吐を誘発する刺激になる。誤飲したときは、ただちに医療機関へ。

強酸・強アルカリ製品
カビ取りやトイレ、換気扇用などの洗剤や、染毛剤など。これらを飲むと口から食道などの粘膜がただれる。水を飲ませたうえで医療機関を受診するのが望ましい。医療機関では、粘膜保護剤や胃酸を抑える薬が使用され、入院となることも多い。吐かせると、食道や口がもう一度強酸、強アルカリにさらされるので良くない。

エタノール含む製品
香水、化粧水、ヘアトニックなどに含まれ、水を飲ませて薄める。大量に飲むと急性アルコール中毒を起こし、吐いたり、体がふらふらしたりする。症状があれば、受診する。

固形物
小さなおもちゃや文房具、ピーナツなどナッツ類、もち、こんにゃくゼリーなどをのみ込み、気道をふさいでしまう場合がある。ただちに顔を下向きにして、体を支え背中をたたくなどして吐き出させる。のみ込んで胃に落ちれば、多くは便と共に出てくる。のみ込んだのが古い電池なら、受診した方が良い。

【電話対応】
☆大阪中毒110番(365日 24時間対応)072-727-2499
☆つくば中毒110番(365日 9時~21時対応)029-852-9999

脳動脈瘤

2009-06-10 18:00:29 | Weblog
脳の血管の内壁の一部が弱くなって、血圧などで外側に膨らんで瘤になった状態が動脈瘤。血管の壁が弱くなる原因には、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病のほか、喫煙、大量の飲酒、外傷がある。もし瘤が脳を圧迫するくらいにまで大きくなれば、頭痛やめまいを起こしたり、ろれつが回らなくなったりする。瘤の増大を指摘された場合、コンピューター断層撮影法(CT)などの画像診断で再検査することは大切。ただ、検査の種類によって、瘤の計測結果に差が出る。そのため計測された数値だけにとらわれず、瘤の形の変化に気をつけなければならない。何ミリ以上なら破裂しやすい、というようなデータはないものの、瘤が明らかに大きくなり、形が変われば、血管の内側にコイルを詰めて動脈を閉塞する治療法も考えられる。無症状で、脳ドックで初めて見つかった場合は通常、大きくなることなく推移する。これ以上大きくしない対処法としては、高血圧、過度のストレスなどを避け、生活習慣を整えることが大切。必要以上に心配することもストレスになるので、あまり意識せず、今まで通りの生活を送るように心がけよう。