あっという間に、こんな時間。

49歳で始めたブログから早や10年、もうじき還暦とは…。
思えば遠く来たもんだ。

祝!三島賞受賞 本谷有希子の『自分を好きになる方法『』

2014年05月26日 | 読書
寝床の枕元に毎朝この本が置かれているのを見て、夫が
「よほどこの本が好きらしいけど、お前にしては珍しいタイプの本じゃないか?」と尋ねてきました。

「タイトルで誤解されるけど、自己啓発本じゃないよ、小説だよ。すごく面白いから毎晩寝る前に読んでるんだよ。」と答える私。

そうです。
以前にも少し感想を書きましたが、あれから私はかなりこの本にハマってしまい、ほぼ毎晩というもの、6話からなるこの小説のどこか一話分を読んでから眠りについているのです。

リンデという少し変わった名前を持つ女性の、3歳から63歳までの、とある年齢の、とある一日を描いた連作。
いずれも、「心から一緒にいたいと思う誰かを求めながらも、孤独を抱えて生きる、普通の人生の普通の一日」が描かれています。

以前に読んだことのある同じ作者の『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』や『生きてるだけで、愛』のようなエキセントリックな主人公では無いようにみせて、実のところ抱えているものは他のヒロインたちのように、強烈なまでに自分を丸ごと理解してほしいと願っているリンデ。

こんな人が近くにいたら面倒臭そう…
でもこういうイヤな部分は自分の中にもあるよなぁ…
なんて思いつつ、時にはリンデに寄り添い、時にはリンデを嫌ったり、叱り飛ばしたい気持ちになったりしながら、物話の中に入り込んでしまいます。

本を買って最初に惹かれたのは、2話目のリンデ28歳、彼氏と海外旅行に行った最後の一日の話です
この話のリンデがそりゃもう自分勝手で、リンデ本人にしてみればどんな言動もきちんと理由があるのですが、やることなすことイライラする女で、彼氏も相当にイヤな男なんですが、こりゃリンデに呆れて先に部屋を出るのも無理なし、って感じのストーリー。
要するに「ウマが合わない」二人なのに、次の第3話では結婚してるんですよね、この二人が…。

その間のいきさつを想像してみるのも面白いし、第5話では離婚して中年になったリンデが、ジョウさんに一瞬夢を見てすぐに覚める辺りがまた趣が深い。

そして、最終話のリンデ。
相も変わらずどこまでも自分の良いように物事を解釈してるようで、強烈な孤独にどっぷり浸かってる…。
シンクに溜まった汚れた食器も、もう半分しか洗いません。

3歳のリンデの話だけはちょっと物足りないのですが、どこを読んでも私自身に当てはまる部分があるようで、読み返すたびに面白さが分かってくる、干しホタテ貝柱のような小説です。

34歳の若さで女性のここまでを描けるなんて、本谷有希子は凄い。

自分を好きになる方法なんて無いのは分かっているけれど、何かと折り合いをつけて納得して、あるいはしたふりをして、みんなこの世界を一人で生きている…。
そんなひっそりした気分を味わいたくて、今日も布団の中でこの本のどこかのページを読んでから寝るとします。

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