けぶる稜線

ひいらぎのとげが語る

人形

2019-06-24 09:14:21 | 小説

誰にも、わずらわされることなく
誰にも、惑わされることなく
一人で、いつものところを見ている

丹精込めて作られ着せられた袖口から、襟から
ヒラヒラとなびくスカートから
マチスの絵のような手足が伸びている

人の手を借りて、足や手の向きを変えてもらっても
一人でいつものように
いつものところを見つめている

その眼や首すじや、髪のように
誰にもわずらわさわれることなく
誰にも惑わされることなく

一人でいつものように
いつものところを見つめている
1981年12月24日
Avignon,France(仏国アヴィニョンにて)

コメント   この記事についてブログを書く
« 血と刀(カタナ) | トップ | 「人違いだよ」、初めてのロ... »

コメントを投稿

小説」カテゴリの最新記事