バラの季節

　桜はとっくに散って緑の季節だが、街はバラの季節である。数年前から庭弄りがガーデニングに様変わりし主流はバラになった。

　昔、隣の家は菊の栽培が趣味でコンクールを目指したかどうかは分からないが大輪の菊が並んでいる季節があった。いまは菊といえば仏事しか思い出さないが大昔の花束は菊が大役を果たしていたのだった。

　

　街はあちこちでバラに溢れている。名前が沢山あって、というのは品種改良が盛んなので種類が多くディズニーランドなんていうのがあったと思う。

　また所謂バラという形ではないものもある。壁に蔓状に成長するピンクのものは丸くて牡丹とか芍薬みたいだ。植物に疎いのでなんとも言えないが、バラ一辺倒というのはなんとも硬直化している。

　なんだが西欧崇拝主義が残っているようで複雑であるが、ともあれ街は綺麗である。花に目が行くのは歳を取った証拠だとは思うが。

　

　これだけ派手に咲いていると勝手に摘んでいく怪しからん輩が居そうだね。街に花が溢れて平穏に咲き終わるならまだまだ公衆道徳は健全というべきか。

　そういえば道路脇の花壇の花が根こそぎ折られたというニュースを聞いたことがある。やはり怪しからん輩は居るのだった。