♪大地一人のスカイツリー暮色♪

有料版/運命鑑定
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あの鈴木健ニって、いい人だったのか?

2013-05-01 12:19:33 | 日記

40歳以上の日本人で、

鈴木健ニを知らない人は、

少ないだろう。

 

彼は、NHKアナウンサーで、

かつて最も輝いていた日本人の一人であった。

 

『こんにちは奥さん』を初め・・・

 

歴史への招待(1978~1984、NHK)

クイズ面白ゼミナール(1981~1988、NHK)

NHK紅白歌合戦(1983~1985、NHK) - 白組司会

 

・・・・などの、司会をし、「NHKの顔」とも呼ばれた。

 

著作でも、たとえば『気くばりのすすめ』(1982年刊)は、

単行本332万部、文庫本を含むと、

400万部以上の大ベストセラーとなった。

 

この『気くばりのすすめ』は、その後、何冊も続刊が出ている。

 

以上を見ると、

彼は、多くの日本人に愛されたこと、

そして名アナウンサー、名司会者で、

いかにも、好人物・・・と思いたくなる。

 

ところが、この名司会者が、

NHK退社後、民放の『鈴木健二の人間テレビ(1989、よみうりテレビ)』

に出演したが、

番組は、なぜか、半年で終了。

 

なぜ?

 

原因は・・・

鈴木本人が、よみうりテレビのスタッフとうまくいかず、

彼らに強い不信感を募らせ、最終回収録には参加せず(最終回は総集編)、

よみうりテレビのスタッフに怒りのメッセージを送った・・・・

というエピソードがある。

 

そればかりではない。

紅白の司会の際も、

一緒に司会したタモリから、

「鈴木健二は、最も、気くばりのない人間」と酷評されている。

 

その理由?

鈴木は、とにかく自分だけが目立とうとし、

番組中に、服装を何回も変えたこと・・・

またメガネも、頻繁に変えたこと・・・・

その他、現場スタッフに、容赦のない介入をどんどん行い、

スタッフの怒りを買った・・・とも言われている。

 

ヒット大地、他人の噂は信じないので、

実際に、『気くばりのすすめ』を続刊も含めて、

4冊読んでみた。

 

感想は?

 

 

正直、「なんじゃ、これは!」

・・・と思った。

 

内容は・・・

「過去に成功した歴史上の人物などの言行」

をずらずらと並べ、

「彼らは気くばりがあったから、人生、成功したんだ」

・・・ということを、随所に書いてある本だった。

 

正直、ヒット大地、「ふざけるな!」・・・と思った。

 

じゃあ、ヒトラーはどうなんだ?え?

彼は、女性への気くばりは最高!

女性への誕生日には、こまめにプレゼントを贈っていた。

だから上流階級の女性には、評判良かったし、

若いドイツ娘たちにも、アイドルのように、超モテモテだった。

気くばりの天才ではないか!

 

戦国武将の石田三成は、どうだろう?

彼も、部下への気くばりは、天才的だった。

だが結局、敗軍の将になっている。

 

最近の例では、

鳩山由紀夫首相を見てみよう。

彼は、いろいろな人の意見をていねいに聞き、

まさに気くばりの天才であった。

 

だが他人の意見を聞くたびに、「自分の意見を変える」と言われた。

たとえば、沖縄の人にも、「米軍基地は、県外に移します。約束します」と、

最大級の気くばりを見せた。

そのせいで、日本を、混乱の泥沼に陥れている。

 

似た例に、戦前の首相、近衛文麿がいる。

日本人の誰からも愛された彼は、

日本人全員に期待され、首相になった。

 

だが気くばりの天才である彼は、八方美人の典型で、

全体主義者にも立憲主義者にも共産主義者にも、いい顔をして、

結局、日本を、戦争に追いやった。

 

あまりに気くばりの天才なので、昭和天皇にも、軽蔑されている。

 

つまり、鈴木の本は、

「気くばり肯定派にとって、都合のいい成功者の話」を集めただけなのだ。

 

考えてもみよう!

どんな極悪人だって、ヤクザだって、子分や金のくれる人に対して、

気くばりはするわけであり、

逆に、気くばりこそは、日本を破滅に追いやってきた歴史がある・・・とも言えるわけだ。

 

逆に、成功した政治家というものは、

実に冷酷な面も、多々持っている。

 

特に戦国武将は皆、冷酷だった。

秀吉も、千利休を自殺に追いやっているし、

家康だって、豊臣家に、勝手な難癖をつけ、

豊臣家を滅ぼしている。

信長も、親族を平気で殺しているし、

宗教関係者も容赦なく、大量虐殺している。

 

最近の首相でも、中曽根も小泉も、かなり冷酷だった。

中曽根は、「政界風見鶏」と言われ、

藤波孝生を初めとする多くの政治家に、冷たい仕打ちをしている。

小泉も、郵政民営化選挙の際は、野田聖子を初め、

多くの政治家に、「刺客」を送っている。

 

それが政治の世界であり、

いや、それが世の中なんだ。

 

会社でも、出世する人間は、しばしば、

力のある上司に、腰巾着のように従う人間であり、

なまじ部下に対して「善人」であると、

「あいつは、扱いやすい」ということで、

閑職に追いやられるのが常だ。

 

そのいい例が、夏目漱石の『坊ちゃん』のウラナリ先生だ。

善人の見本のようなウラナリ先生は、恋人のマドンナを、

赤シャツに奪われた挙句、

学校を追われ、左遷されるわけだ。

 

つまり、鈴木の「気くばりをすれば、人生うまくいく」は、

実際の世の中では、ウソだということがわかる。

 

少なくとも、断じて、万能薬ではない。

 

そして、いろいろな人の意見を聞くと、

「鈴木健二こそは、むしろ気くばりのできなかった人間だった」

と言うことがわかる。

 

 

そこで、ヒット大地、さらに鈴木健二の生い立ちを調べた。

すると、彼は、なんとも心の温かい人間だったことがわかる。

 

旧制弘前高等学校時代は、

寮長として学生の食糧確保に尽力した。

 

また旧制東北大学文学部美学美術史学科時代は、

弱者のためのボランティアをやった。

 

そういう弱者への善行も、かなり行っている。

 

・・・というわけで、そろそろ結論を言おう。

 

 

鈴木健二という男は・・・

「観念論としては、理想主義者であり、

またボランティアなども、積極的に行う人間だ。

しかし、もしも目の前に、自分より優れた人間や有名な人間が現れると、

『コイツには絶対負けたくない』というエゴイズムが、強烈に、

湧き上がるタイプの男なのだろう」

 

この精神を説明する心理学者がいる。

 

オーストリア出身の精神科医、心理学者のアルフレッド・アドラーだ。

 

アドラー心理学ではまず、

「個人をそれ以上分割できない存在であると考える」。

そして、人間の行動を・・・

「個人は他人への優越感を求めて行動している」と考えている。

 

まさに鈴木健二の行動と、酷似しているではないか!

 

彼のお兄さんは、有名映画監督の鈴木清順だ。

また鈴木健二がNHKにたまたま入社してからも、

彼よりも優れた外見、学歴、家柄の人は、たくさんいただろう。

とくに外見に関しては、彼は、イケメンとは程遠く、最下位の部類だ。

 

そういう男たちを目にして、

エネルギッシュな彼は、「とにかく人気のあるアナウンサーになろう」

と努力したのだろう。

 

もちろん、いい番組を作ろうとしていたことも確かだ。

日本国民を愛していたことも確かだ。

間違いない。

だが「人気さえ取れば、自分の存在意義を自覚できる」と考えたのだろう。

 

そしてそれは成功した。

 

結局、彼の本、『気くばりのすすめ』が大ヒットした理由は、

NHKアナウンサーだったからさ!

 

ヒット大地が、全く同じ内容の本を出しても、

10部も売れないだろう。

 

鈴木健二のすごいところがある。

それは読書家で、

統計上の数字を覚えるのが、超人的なところだ。

 

彼は戦争中、東京生まれなのに、

青森の弘前の高校に、入学している。

 

彼の神経は、とても細かいのだろう。

また、「自分だけの世界」を作りたいタイプの人間のようだ。

 

アナウンサー時代も、

原稿をそのまま読まず、

自分の感覚を大切にして、

アナウンスするのを心がけたのだという。

 

タモリが、「鈴木健二は、最も、気くばりのない人間」と酷評した理由や、

TVスタッフとうまくいかない理由も、そこにあるのだろう。

 

彼の言う通りにやれば、確かに番組はうまく行くだろう。

視聴率も取れるのだろう。

 

でも、それを周りの人は許さないのだろう。

 

そういう人って、世の中にはいるよね。

 

たとえば、プロ野球の広岡監督もそうだったな。

 

いつも、球団のオーナーや代表とケンカしていたよな。

 

でも、彼の残した成績は、類稀なものがあった。

 

 

こうして見てみると・・・

 

生きるってことは、難しいもんだな。

 

指導者ってのは、難しいもんだな。

 

鈴木健二を見ていると、そういうことが、つくづくわかるぜ。

 

でも、俺たち日本人は、鈴木健二には、

ある程度は、感謝すべきだろうな。

 

彼から学んだことも、たくさんあるからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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