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韓国ドラマ「夢見るサムセン」(KBS 2013年)

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 120話やっと終わりました。最終回に119話分全部詰め込んだ感じの終わり方でした。「夢見るサムセン」はこれまでのTV小説とは一風変っています。
  タイトルに”漢方医の夢”とつくのでヒューマンなドラマと思いきや、「夢見るサムセン」は一言で表すと”悪意に満ちたドラマ”でした。
 ストーリーは子供すり替えで巻き起こる物語です。ソウルで一番裕福な漢方医院に赤ちゃんが生まれましたが体が弱く、巫女に「身代わりの赤ん坊を」と言われ、使用人の赤ん坊を連れてきます。朝鮮戦争が起きて疎開する中、子供が使用人によってすり替えられます。
 漢方医院の娘なのに薬草取りの貧しい娘とすり替えられたサムセン。酷い人格の継母(イ・アヒョン)に食事を与えてもらえず、ひもじさのあまり宝物の500年ものの「山参」を食べてしまい、継父にもうとんじられながら育ちます。
 それでもたくましく育ったサムセンは一家を背負うために家政婦としてソウルへ出て、偶然にも実家の漢方医院で働きます。使用人の娘なのに、漢方医院の娘としてグモクは何不自由なくわがままに育ちました。グモクと一緒に暮らす使用人の叔父さんはグモクの本当の父親です。
 家政婦で来た娘がサムセンだと知った叔父は、毒を食事に混ぜてサムセンに罪を着せ追い出そうとします。薬草を勉強するシーンで毒草のことにも触れるので、ドラマで毒草が使われるのだなと暗示します。
 いまや薬品会社の社長になった叔父は自分の罪と娘の秘密を守ろうとして、つぎつぎに罪を犯して、真実を知ったサムセンの継父を薬殺してしまいます。悪事をあばこうとしたサムセンにも災難が降りかかります。
 サムセンと幼馴染の、薬品会社で働くドンウはサムセンが好きです。グモクはお金持ちのジソンが好きです。4人の若者たちは四画関係に発展していきます。
 最初に悪意と書きましたが、シャーロックホームズが好きなジソン少年が”砒素を使えば完全犯罪になる”といったり、いじめの仕返しに死んだねずみ入りの牛乳を飲ませるなどあって、”あれ?TV小説にしては変だぞ”と思いながら観ていました。
 登場人物で継母のイ・アヒョンが最低の人物を演じていて観ていられなかった。サムセンの幼少時代から悪意が感じられ、観ていていい気持ちにはなれないドラマでした。ストーリーが暗いだけで、回想シーンを多用し、ドラマのテンポやバランスが壊れた、駄目な脚本の典型でした。
 ”すべての物事は回りまわる。沈む月があれば昇る太陽がある。悪いこともあれば良い事もある”、サムセンが漢方医院から追い出されるとき本当の父親である漢方医がこのセリフを言います。The Byrdsの”Turn,Turn,Turn”の歌詞でもあるこのセリフ。脚本家はこの曲をイメージして物語を書いたのかなあと思います。
 グモクが真実を知ったときByrdsのレコードを壊します。その事を象徴として、ドラマの展開が一気に悪い方向へ進んで行きます。好きな曲なので新鮮ではありましたが、この曲を憎むグモクが残念でたまりませんでした。
 ソウルの医院を追い出されたサムセンは、山中で仙人のように暮らす漢方医に医術を教わり、漢方医としての道を歩みます。
 ドラマの終盤では、三流暴力映画を観ているような気分にもなりました。ラスト2話ですべてが解決し、皆良い人になり、多すぎる回想シーンにため息をつきながらも、めでたしめでたしでドラマは終了しました。つまらないと思いながら最後まで観た、初めての韓国ドラマです。
 演出も人物たちの描き方が悪いので、晴れ晴れとして観る事ができませんでした。
 
 一つ褒めるとしたらサムセンの少女時代を演じたヒョン・スンミンが好演したことです。不遇な環境の中でたくましく賢く明るく元気なサムセンを演じていました。
 KBSTV小説は1970年代を舞台に朝鮮戦争で起きたさまざまな悲劇や人間模様を描いたり、70年代の韓国や歴史を知る上でも楽しみに見ているシリーズです。「ボクヒ(ポッキ)姉さん」はとても良い作品でした。新しく始まるTV小説「ウンヒ」はどうでしょうか。
 
 採点(10点満点/1点)
 
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