矢嶋武弘の部屋

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思考の劣化こそ“現代病”ではないか?

2020年09月22日 01時46分50秒 | 社会・事件・事故

2010年2月の記事を復刻します。

先日、私は自分のあるブログ記事の中で、日本社会は成熟してきたとコメントしたのだが、ある人から「日本社会は、どんどん幼稚化してきたのでは」というコメントをいただいた。
 その時、ハッと気がついたのだが、日本人だけでなく現代人は“劣化”しているのではと思った。どういう意味かというと、現代人はものを考えるという習性が弱くなってきたのではと思ったからだ。しかし、そんなことはない、私はものをよく考えていると言う人がいたら、まず先に謝っておきたい。
世の中がコンピュータ化し機械化が進み、人々は便利な生活を享受するようになった。それは結構なことだと思うし、もう昔のような非文明的な暮しには戻れないだろう。科学技術は日進月歩だし、パソコンやら携帯電話やらコンピュータゲームなどが登場してきた。生活は確かに豊かになったし、私のような年配者もこうしてブログを楽しんでいる。
 しかし、ものを考える面ではどうだろうか。例えば、今の子供たちは文脈を正しく理解するのが苦手だし、きちんと計算するのが下手なことが立証されている(ゼロが沢山出てくると迷うらしい)。
 大人もそうだ。昔は電卓などなかったから、数字をいちいち計算したり算盤をはじいたりしていた。今は電卓ですぐに答えが出るし、何よりもスピードが求められているから、頭を使うよりも“指先”の動きが重要になっている。私も暗算がいつの間にか苦手になった(ボケもあるが)。
 
簡単な計算でさえこうだから、複雑な事柄はほとんどコンピュータ任せになる。まあ、これは科学技術が進歩したから仕方がないだろう。逆の面から見れば、ものをじっくりと考える「環境」が失われてきたのだ。また、じっくりと考える必要がなくなったと言ってよい。それと、情報量がもの凄く多くなったこともある。次々に情報が入ってくるので、人々はそれらを吟味する間もなく、その整理に大わらわといった感じである。
 そうなると、考えることよりも、いかにスピーディーに物事を処理するかが問われるわけで、考えている暇などないということになる。下世話な言い方だが「馬鹿の考え、休むに似たり」という感じになる。
 また、世の中がデジタル化したせいか、0(ゼロ)か1か、白か黒か、イエスかノーかといった“短絡的”な思考方法が主流になりつつある。例えば、白と黒の間には膨大な「灰色」があるはずだし、イエスとノーの間には様々なニュアンスがあるはずである。アナログ的思考の場合は、これらをいちいち考えて結論を出そうとするが、デジタル的思考の場合は、ともすると白か黒か、イエスかノーかという結論を迫られる。世の中は進歩しているはずなのに、短絡的な事件がいかに多発していることか!
以上、私は独断と偏見で話をしたから、異論はかなりあると思う。しかし、世の中がこうなってくると、思考そのものが疎んじられてきたのではと思ってしまう。何事もコンピュータで結論を出そうという風になっていないか。つまり、現代人は自分で考え、熟慮して決断を下すということが少なくなったのではないか。 どうすれば良いか迷った場合、コンピュータにデータを入力してその結論に従うことが当たり前になったのではないか。つまり、考えることを“放棄”しようというのだ。もっとも、その方が楽に生きられるだろう。

子供の思考能力が劣化してきたのは間違いない。しかし、現代では大人も思考能力を失いつつあるのではないか。冒頭で、ある人の言葉「日本社会は、どんどん幼稚化してきたのでは」を紹介したが、これは日本人だけでなく、今の人々に共通の“現代病”だと思う。思考の劣化・停止こそ現代病ではないのか。
 オーギュスト・ロダンの彫刻に有名な『考える人』がある。大抵の人は知っているだろう。あのブロンズ像は日本をはじめ世界の各所にレプリカがあるが、今の子供たちはあれを見てどう思うだろうか。沈思黙考する姿に「何だ、これは」とか「馬鹿の考え、休むに似たり」とでも思うのだろうか。 そうでないことを祈る。人間が考える姿は美しいと思うからだ。
 思考能力が衰えた現代人は、ちょっとした情報に踊らされやすい。マスコミのちょっとした情報に右往左往したり、付和雷同したり、一喜一憂したりする。しかも、情報は毎日 洪水のように人々に襲いかかってくる。正直言って、私も考える力が衰えたが、現代人はもっと思考能力を鍛練する必要があるのではないか。(2010年2月16日)


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