おもしろニュース拾遺

 BC級ニュースが織り成す可笑しくも愛しい『人間喜劇』。おもしろうてやがて悲しき・・・

名誉心に訴える新手の「振り込め」詐欺

2005-11-21 13:40:32 | 詐欺
 「あっ、私産経新聞の記者の某と申しますが、実は市民文化祭に出品されたお写真拝見しまして、ハイ、もうまことに素晴らしいの一語です。ええ、つきましては是非ですね、あのお写真を産経新聞の全国紙面で紹介させていただきたいと・・・」
 と、いきなりの電話。こっちはもうすっかり舞い上がってしまって自分の立っている場所が分からなくなった。「それでですね、実は掲載料が必要でして・・・ええやはりカラー印刷ということで44万円程度です。あっ、これから振込先をお教えしますので、なるべくお早く・・・・」
 こっちはすでに冷静さを失っている。ただただ「ありがとうございます」を電話口で繰り返して、「はいできるだけ早く振り込まさせていただきます」と言いながら、口座番号を震える手で書き留めるのが精一杯だった。
 さあ44万円をどう工面するか。それだけで頭が一杯だ。全国紙だぞ。こんなチャンスはもう生涯ないだろう。しかし手元不如意な今すぐには・・・と困り果てて「ご利用は計画的に」の悪魔の機関にTELしようとしたとたんに、電話が鳴った。
 「ああ産経新聞の某でございます。まだあのお振り込みをいただいてないんですが・・・あっ分かります。でも一生ものでございますから。他の方からはすでに掲載料を払い込んでいただいているので。そうですね・・よろしい今回は特別割引で22万円で結構です。」

 えっいきなり半額?そこで目が覚めた。これは話が逆でないのか。著作権はオレにある。オレはむしろ金を受け取る側だろう。

 というのが、産経新聞が<『産経新聞記者』を名乗る詐欺にご注意下さい>という社告で警告している新手の振り込め詐欺だ。新潟県は加茂市に住む男性はすんでのところで詐欺に引っかかるのを免れたらしい。

 まあハッキリ言ってこれまでの振り込め詐欺よりも「単価」が低いので、効率は悪い方だ。ただ、これまでの振り込めが、交通事故、痴漢、治療ミスという負のショックで相手を動転させるのに対し、こちらは相手の名誉心に訴えるという点で「新境地」を開拓している。写真をやる人なら自分の作品が全国紙で紹介されるのはこの上ない名誉だ。心の隙間をつかれた。

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