おもしろニュース拾遺

 BC級ニュースが織り成す可笑しくも愛しい『人間喜劇』。おもしろうてやがて悲しき・・・

「副検事」を強姦未遂で逮捕:仙台地検

2006-01-06 12:14:29 | 不祥事
 「事件は”現場”で起こってるんじゃない。仙台地検の中だけで起こってるんだ!」と怒ってる青島刑事の声が聞こえそうだ。 河北新報1月5日
 そうだ、事件を1センテンスでまとめると:仙台地検は4日、仙台地検の女性事務官に対する強姦未遂で仙台地検に告訴があり、仙台区検副検事を逮捕して、仙台地検で捜査を開始したと、仙台地検で発表した。

 猥褻メールを職務中に女性に送っていた判事のニュースを忘れる暇も与えず、今度は「正義の味方」検察のまたしても性的不祥事。今後日本の司法には「性器の味方」という新たな称号を授けたい。今回の方が悪質だが、この副検事・・・還暦ですよ。「人間下半身から衰える」というのがどれほど謬説であるか分かろうというものだ。

副検事は加害者の「味方」

 ところで副検事ってなんだ?偉いのか? エライかどうかはともかく、上に掲げた検察の階級表を見て欲しい。普通の検事の1ランク下になる。ただ検事以上と全く異なるのは、「副」はいわゆる法曹身分を持っていない。つまり司法試験に受かった人ではない。この副検事も「検察事務官を経て1984年に副検事に任官」ということだから叩き上げの事務官という感じ。

 この副検事の場合仙台区検(地検のまあ支部)に勤務していた。区検というのは簡易裁判所に対応するもので、「軽微」な事件、具体的には交通事故などの起訴・不起訴を決める。86年から検察庁の制度が「改革」され、多くの副検事が「交通部」に回され、通常の刑事事件は検事が、交通事故は副検事が担当する事実上の分業制になった。
 しかしこれは加害者に嬉しく被害者に悔しい改革だった。交通事故の起訴率が改革前の73%(通常の刑事事件と同じ)から、12%に激減したのだ。つまり副検事が扱った時点で不起訴内定という無茶苦茶な数字なのだ。

 なぜ副検事が起訴を嫌がるかというと面倒だからだ。裁判になると自分が法廷に立って立証しないといけない。司法試験を受けていない自分が、それにパスした弁護士と渡り合わねばならないことが起こりうる。それを避けたいから、当然のごとく不起訴処分となる。
 だから書類「審査」だけで遺族にはそもそも会わないという副検事も多く、会っても「示談にすりゃいいんだよ」てな対応で遺族の心を傷つける。副検事も検察の一員なので、「検察の独立」を楯に、とんでもない”不良品や欠陥品”があっても、外部の検査や監督から守られている。交通事故被害者は異口同音に「副検事は二次被害の元凶」と繰り返しているが、改善されていない。
 もちろん「エライさん」例えば、与党政治家の子弟が被害者になった場合はこれは全く扱いが違うというより、そもそも検事自身が出てくるはずだ。だから政治家がこの不備に気付くことがないのも改善されない原因だ。

 今回の副検事もだからこれまで多くの交通事故遺族を泣かしてきたことは間違いない。部下の女性の気持ちを一顧だにしない強姦魔が、見ず知らずの他人の心情を理解しようとするはずはないからだ。
 しかしこの副検事、あれほど嫌がっていた「司法試験合格者」との法廷での対決の可能性が高まった。ただ、どうも素直に罪を認めないような気がする。医師資格がないのに8年間も「診療」を行ってきた偽「名医」の話を覚えておられるだろう。「門前の小僧」でいつの間にかプロの技を身につけていた。この叩き上げの副検事も、法廷戦術や検察の弱みなどをつかんでいるかも知れぬ。今回の強姦未遂もここまで読んで、つまり「ふん若造、お前らに俺が起訴できるか」という不遜な気持ちでやったのかもしれない。

 とにかく極めて「内部的」な事件がこのように公になって逮捕に及ぶのは異例だろう。通常は「もみ消し」だ。被害者の心情を慮らないのが検察の習慣だから。結局不起訴ということにならないか、厳しく監視しなければならない。