この二人も東京在住のベルニからの紹介でやってきた。一か月の間にカトリーヌ、カナダに続き、三組のカップルが紹介されて来たことになる。
私も大変というか嬉しい日程調整であったが、ベルニが東京滞在中に来ておかなくっちゃとやってくるので、さぞ東京のベルニも宿の手配やアドバイスはもちろん、東京滞在中はベルニ宅に滞在するので、大変忙しいことであったろう。
とは言ってもこの時点で私とベルニには面識はなく、イザベルの友達と言うことでメールのやり取りだけのつながりであった。
しかし総じてこのベルニの紹介でやってきたカップルは、どことなくインテリジェンスを感じるカップルが多かった。
後楽園を観光して夕刻奈良駅に着いたこのカップルを迎えに行き、初めて見つけた時は、どちらかというと御主人もアジア人にも見え、奥さんはフランス人にしては丸ぽちゃで失礼だが田舎のおばちゃんみたいな雰囲気であった。
多分ペアルックのように二人とも赤い服を着ていたせいもあるかもしれない。
奥さんはフランス人にしては、控えめでおとなしい感じのする人であった。にこにこして、ご主人の言うことに相槌を打っているといった具合だ。
食事に関して言うと、奥さんは箸が使えなかった。中国料理などアジアのレストランも人気があるフランスでは、結構みな上手に箸を使うので、ちょっと意外だった。
そして小松菜などしゃきっとした茎が苦手でお鍋でも残していた。翌日のお好み焼きはナイフフォークを出したら、食べやすそうで、喜んでいた。最終日の手巻きずしのウナギは気に入ってくれて、とても好評だった。
四泊したのだが、カトリーヌ同様に、奈良からJRパスで京都観光にも出かけた。金閣寺は二時間見惚れていたそうだ。
着物は恥ずかしいのか遠慮され、習字のとき、「何か書いてほしい言葉がある?」と聞いたら御主人はすぐに言ったが、奥さんは長く考えて、詩の一節を書いてほしいという注文であった。
彼女はあのミッテラン大統領が建てた「国立図書館」に勤務していて、本が好きなのであろう。
お土産に持ってきてくれたのは、そこで売っている絵本のミニストーリーが書かれたマウスパッドと、昔のヨーロッパから見た世界地図のマウスパッドで、今も大事に使わせてもらっている。
パリに行った時は連絡できなくて会えなかったが、フランス人女性ではにかみやさんで、謙虚な女性と言うことで奥さんが印象に残っている。