お腹が一杯いただいた御馳走の夕食の後ぐっすり眠った翌朝、日本人の内でも私はしっかり朝食を食べると言うことに気を使ったのか、これまた沢山の朝ごはんが待っていた。
と言っても勿論ご飯とおみそ汁と言うことではなく、あちらの物ばかりだがこれがまたおいしい。奥さんご自慢の数種の手作りジャムや絞ったオレンジジュース、ヨーグルト、そしてやはり奥さん手作りのブリオッシュもいただいた。
そこでうっかりしていたが、コーヒーを飲まなかった。あれだけ昨日ムッシュが「苦労して??」買ってくれたのに、他の飲み物も沢山出たから、そっちの方が良かったからだと思う。
気がつけば三日間の滞在中一度もコーヒーを飲まなかったので、後で彼から、「せっかく買ったのに、飲まない。」とぼやきか、皮肉か、苦笑いされてしまった。
ところで、到着早々このムッシュの家の装飾にちょっと特徴がある事に気がついた。
私に提供してくれた寝室の壁にかけてある絵画や、ダイニングの暖炉の上にある彫刻のミニチュアが裸の女性像ばかりなのである。
いずれも有名な絵画や彫刻のコピーであるから、芸術作品には違いないので決して下品ではないが、こう多くてはどうも「ピンク」っぽい。
要するにこれらはこのムッシュの好みであるから、70歳を超えている彼だが、まだまだ色気があると言うことかなと思ったが、滞在中このことに触れることはなかった。
庭には飛んでくる小鳥のためのえさ場があり、白い鳥がやってきていた。彼等は、心優しいのである。
朝、ゴミ収集車がやってきたが、日本のよりかなり大きな自動車だった。
その日、彼等は私を「スミュール・アン・オーソワ」と言う14世紀建造の要塞の一部が残る、こじんまりとした街へ連れていってくれた。それは次回に書こう。