御鏡壱眞右往左往

繰言独言、謂いたい放題・・・

ど忘れといえば・・・

2007-09-05 22:55:24 | 言葉・歳時記
ど忘れの「ど」というのはどういう意味だろう、とふと考えた。
こういうばあい、似た使い方をしている例から共通する意味を探るのが手っ取り早い。
そこで、「ど」がつく言葉を捜してみると

どでかい、どえらい、ど真ん中、ど根性・・・

と、ここいらまではまあ良いのだが、

どぎつい、どケチ、ど阿呆、ど助平・・・

・・・なんだかロクでもないものばかりになってきた


まあ、こうして列記してみると
どうやらどれも「度を越した、度を過ごした」といった意味合いが共通している。
加えて、大体においてあまり良くない意味で強調的に使用されているようだ。
さらに言えば、語感からして関西、上方に由来する詞のように思われる。

以上からすると、「ど忘れ」とは「度を過ごした物忘れ」という意味に解釈される。
では辞書ではどうなっているかというと、

 「ふと忘れて、どうしても思い出せないこと。」(広辞苑)

・・・なんとなく感じが違うような気がする。

やはり単に強調する意味だけで、
たまたまイメージの良くない語に集中しただけなのだろうか。
そう思って調べていくと、
なんと吃驚、「ど根性」という詞は本来必ずしも良い意味では無かったらしい。
接頭語としての「」には

〔1〕名詞や形容詞に付いて、まさにそれに相当する意であることを強調する。
〔2〕名詞・形容詞・形容動詞などに付いて、ののしる気持ちをこめる

の二つの意味があり、「ど根性」は〔2〕の用例として挙げられている。
もともとは「悪い心根」「腐った根性」を表したものらしい。( 吃驚シタナア、モウ!
世の中、侮れないものらしい。

最初にあげた語の例では「ど真ん中」などは明らかに〔1〕の用例だし
「ど忘れ」もこちらだろう。


・・・と思っていたら、なんと
「度を持つことを忘る」から転じたもので、
原点は韓非子にあるという意見もあるそうだ・・・うーん、奥が深い。

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