そらはなないろ

俳句にしか語れないことがあるはずだ。

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

旬の一句鑑賞①

2007-09-30 08:14:05 | Weblog
髑髏みな舌うしなへり秋の風

一読、忘れがたい印象を与える句。目の前にあって、やや黄色がかった白の硬い髑髏と、やわらかく真っ赤で、なにより今はもう失われたものとしての舌。その鮮やかな対比。

舌は言葉を発する。ものを味わう。ときに、性愛の道具となる。あでやかに人の生に関わり続ける。

髑髏は、まさに死の象徴だ。死んで初めて目に映るもの。やわらかな生の中に内包されている硬い死。

「髑髏みな舌うしなへり」で十分魅力的なフレーズではあるが、やはりこれだけだと一般論という感じが強い。髑髏の目を吹きぬけていく一陣の秋の風があってこそ、眼前にリアリティーをもって髑髏が描き出されるのである。

リアリティー。それは、季語の重要な要素の一つであろう。言い換えれば皮膚感覚とも言うべきもので、秋風に髑髏が吹かれている情景が実在するかどうかということを問うものではない。

古くは、人でも何でも、生きているものは野ざらしになって死ぬものだった。はずだ。

ちなみに、作者は高橋睦郎(1937-)
コメント   この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 新作五句② 断絶 | トップ | 俳句解体① 季語という思想Ⅰ »

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事