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のれん代は誰が払うか

経営者性善説はおかしい~経済学101

にコメントを載せたのだがちょっと噛み合っていないようなので補足。理論や論理を否定しているのではなく、経済弱者(従業員)への視点が優しくないという論点だ。

モノや権利の売買は当事者間での取り決めでその価格が妥当かどうかは当事者間での問題でしかない。盗品から株式まで全てのインセンティブを織り込んで当事者間で合意したらその妥当性は外野からとやかく言ういわれは無い。当然違法の取引は別途の強制力が働く事は言うまでも無い。

なので会社を買収することが善か悪かと言う命題はナンセンスだ。

ただし買収後の処置に利益の最大化を目指す方法論がいろいろあると思う。売買自体に問題があると言うのではなく、買収後の処置が不透明であれば「買収」を嫌うと言うことだ。なので「ハゲタカファンド」の買収を嫌うのは経営者・従業員にとって当然の帰結であり、様々な(中には電波な)論説が行き交うことになる。

買収に当たっての交渉は売る人と買う人ということになる。極論すれば経営者も従業員も蚊帳の外だ。ところが買収はB/Sの値段では買えないのでプレミアム(のれん代)を払うことになる。これを誰が払うかと言うことだ。

私の経験では被買収企業がのれん代を払う。利益を上げている被買収企業でものれん代をB/Sに乗っけられれば赤字になる。のれん代は減価償却費の扱いなのだ、これは株主から押し付けられたもので経営者(当然従業員も)は拒否できない。

株主からするとのれん代を償却しないことには配当が受け取れない→のれん代未償却分が赤字である。またはROEから時価を算定するにあたり障害となる。まぁ理論上はリスクを取っているわけだ。

これは買収価格の決断は買主と売主のみが決断しているが、そのリスクはステークホルダー(経営者・従業員)と共有しているのだ。

リスクを押し付けられる経営者・従業員はたまったものではない。営業利益は叩き出しているのに決算上は法人税を払わないために赤字で、それが理由でボーナスや昇給原資が無くなる事が現実だ。(会計上のテクニックを給与原資削減の理由に使うわけだ、鬼だろ。)
もちろん株主はそのトータルバランス(やる気を削ぐ・引き出す)を考えて配分することであろう。まぁ実態は「辞められないに決まってるから昇給は抑えておけ」という判断に繋がる。

のれん代を被買収企業に押し付ける手法があって、それは買収者のリスクでもあるけれど、経営者・従業員を巻き込んだ形になっている。なので買収者をハゲタカと呼び、嫌う風潮があるのだ。

これは制度上の問題点だと思う。

 

例えて言うと、優秀なアルバイトを雇うために高賃金を提示して雇っておきながら、平均時給との差額以上を稼がなければ時給カットと言っているに等しい。雇った企業の会計上では時給を払ったことにして、赤字操作をしてバイト君はその時給をもらえないわけだ。

会社を操る権利は株主にあるのであろう、それは経営陣のチョイスや買収の売却の権利、それは当然だ。そのこと自体は批判する気は無い。もちろんのれん代を押し込むという手法も経済学的には問題ないであろう。過度にのれん代を押し付ければ優秀な従業員が辞めて会社の収益が下がれば買収者も損するからだ。

であるが直近のテクニカルな部分に従業員が反応するわけにはいかず、やはり従業員は弱者であることには変わりない。

 

究極的には「法」の問題ではない、しかしそれでは従業員的にはあんまりなんだよね。そんなやばい企業からはさっさと抜け出ろという「経済学理論」は机上の空論でしかない。

 

時給が定額制とおぼしきや出来高制であることを理解したら逃げる事は可能だけど、被買収企業の従業員はバイトでいうところの定額制から出来高制に問答無用で変えられたに等しいわけで。ルールが変わったから「不満があるなら出て行きなさい」というのは従業員にとって過酷なルールだと思うんですよ。

 

追記:Rionさんからコメントを頂戴した。至極納得の行く内容でこれから手直しに入りたいと思います。
ちょっとプライベートで一杯一杯で思うようにはならないと思いますが、、。

 

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (Rion)
2010-01-10 10:36:49
>経済弱者(従業員)への視点が優しくないという論点だ。

従業員を弱者と見るのは典型的な間違えです。従業員の保護を強めればそもそも雇用されない人が増えます。労働組合が強いと非正規社員が増えるのと同じで、本当の弱者は非正規社員と無職の人です。

また株式は直接・間接に様々な人によって保有されています。その中には貯金しているだけの高齢者もいるでしょう。

弱者は一般的な再分配によって保護したほうが公平です。

>会社を操る権利は株主にあるのであろう、それは経営陣のチョイスや買収の売却の権利、それは当然だ。そのこと自体は批判する気は無い。

では何を批判したいのでしょう。買収されたくないといのは正当な理由にはなりません。雇用を保証すれば労働意欲が落ちます。

>であるが直近のテクニカルな部分に従業員が反応するわけにはいかず、やはり従業員は弱者であることには変わりない。

従業員の交渉力をあげるには労働市場を流動化させるしかありません。現状行われている施策はどれもそれを逆行するものです。

のれん代をどうこうしようというのは適切ではありません。
 
 
 
コメント遅れて申し訳ありませんでした (wood)
2010-01-23 19:43:44
Rionさま、わざわざコメントありがとうございました。ちょっとプライベートで問題山積みで遅くなってしまいました。

会計上のテクニックとして問題ない事は理解した上でのエントリーの積もりでした。言葉足らずで申し訳ありませんでした。

B/S上でのれん代を買収企業に載せてしまうと黒字の被買収企業は税金を払うわけで、という理解でよろしいでしょうか?ということはのれん代をどこに載せるかが問題ではなく、資金の使い方に出資者が経営者にどのようなメッセージを出すかが問題であり、経営者・従業員がのれん代を稼ぐためのモチベーションをどう捉えるかという点だということで問題ないでしょうか?

結局、買収者は被買収企業が成長することを期待しているはずであり、従業員が凹んで利益を挙げられないことがリスクですよね。被買収企業の経営者・従業員をやる気を引き出す手法の問題だと感じました。アメとムチをどう使うかと。
なので会計上の問題とするのはおかしいですね、訂正します。

>従業員を弱者と見るのは典型的な間違えです。
>のれん代をどうこうしようというのは適切ではありません。

御意。手直しを検討します。
 
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