さぶりんブログ

音楽が大好きなさぶりんが、自作イラストや怪しい楽器、本や映画の感想、花と電車の追っかけ記録などをランダムに載せています。

お土産のお菓子も勉強材料

2017-07-31 23:34:01 | 身近なちょっと可愛いもの
今日は連続休暇明けということで、職場や、オペラ練に小田原城で買ったお菓子を持って行った。


小判型のお菓子で「これでよしなに」というメッセージが入っているのだが、


小袋に書かれている文字が、箱の表面より達筆すぎて、読みづらい。

何十枚も配って、ここに「これでよしなに」と書いてあるのに気付いた人は1人だけである。


そういう意味で、土産菓子で笑いを取ろうとした私の目論見は見事に外れた。

ところがこのお菓子にはとんだネタが仕込まれていた。


一箱につき、小判のレプリカが一つ入っていたのである。

最初、こんなレプリカいらないから、その分お菓子を増やしてくれればいいのに、と思った。
オペラ練の時に、声楽の師匠に「小判をオペラの小道具にどうですか」と聞いてみたら、夕鶴をやった時に買ってしまったとのこと。


ということで、どうしようかなぁこの小判と思って眺めているうちに、結構まじめに作られたレプリカなのではないか・・と思った。

私は小判の裏面の画像を注意してみたことがなく、表面と同じような草履のような模様(茣蓙目(ござめ)というらしい)なのかとばかり思っていたが、裏面はのっぺらぼうで、刻印がいくつか入っているだけであることにあらためて気付いたのである。

そもそも何小判のレプリカなんだろう・・と思って調べ始めたのだが、分からなかった。

江戸時代の小判は10種類(慶長、元禄、宝永、正徳、享保、元文、文政、天保、安政、万延)あって、金の含有量、大きさ、重さなど、全て異なるが、デザインは、ほとんど同じなのだ。このレプリカの裏面には真ん中と左下2つにしか刻印がないが、右上に刻印があるケースは、刻印で判別できるケースもある。

慶長、享保、正徳小判にはそういう刻印はないので、表の「光次」文字の書体や花押、茣蓙目等で判断するようだ。だとすると、そこらへんはラフに作っているかもしれないレプリカをあまり追及しても、どの小判をもとにしたのかはなかなか判別できないだろう。しいて言うなら慶長か享保か正徳のどれかなのかもしれないが。


あきらめてそれぞれの刻印についてもう少し調べてみたのが、この図だ。

表面の「光次」というのは後藤庄三郎のしるしである。本家は京都であり、秀吉の時代に大判などを作っていあが、橋本庄三郎は家康に抜擢され、後藤家の手代から後藤家の養子にしてもらった時、光次という名をもらったのだ。先日、門井慶喜さん著の「家康、江戸を建てる」という本を読んだが、慶長小判を作る際の家康と正三郎の苦労話が詳しく書かれていた。その際「光次」の名や花押の刻印が入っていることも書かれていたが、図や写真がなかったので、どこに入ってるのか分からなった。

でもあらめてレプリカを見ると、「光次」の名と花押がどこにどういう風に入っているかが分かり、とても感動した。
ちなみに光次が亡くなった後も、幕末に至るまで、「光次」の名前が刻み続けられるのである。

江戸時代を通じて、小判にこんな風にファーストネームが入ったなんて、なかなかすごい話である。

表面の上下に扇型のマークがある。これは五三桐という紋で、3本の直立する花序と3枚の葉から構成されている桐紋のうち、花序につく花の数が3-5-3になっているのを五三桐というそうな。ちなみに秀吉は、信長の家臣時代は「五三桐」を使い、豊臣姓に改めた時に「五七桐」を後陽成天皇より与えられ、それを使いだしたとのこと。

かくのごとく、たかがお菓子のおまけであるが、わりとちゃんとしたレプリカだったので、細かく見ることで結構勉強になった。
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