さぶりんブログ

音楽が大好きなさぶりんが、自作イラストや怪しい楽器、本や映画の感想、花と電車の追っかけ記録などをランダムに載せています。

【DVD鑑賞録】オッフェンバック/喜歌劇 《天国と地獄》

2011-12-22 23:07:53 | オペラ・バレエ鑑賞
「天国と地獄」といえばフレンチカンカン・・ラインダンス・・運動会・・・全員集合・・・カステラ・・・。物心ついた時から、「8時だよ全員集合」の定番ネタとして、毎週のように私の耳に入ってきていた。そうそうオネエさんの中に高木ブーが混じっている奴ね。私の場合「カステラ一番」より「8時だよ全員集合」のそのネタの方が思い入れがある。

家にあったレコードで、《天国と地獄》の序曲があり、それを初めて聴いたのは中1の頃だったか・・・もう興奮しちゃって。でも、それよりも興奮したのは初めて生で見た時。大学1年の時に、友人とウィーンフォルクスオーパーの日本公演の「メリー・ウィドー」を見に言った時、劇中にフレンチ・カンカンが出てきた。何でレハールの曲なのにオッフェンバックの曲が混じるのだ・・・という疑問はともかく、8時だよ全員集合の拙い踊り手のダンスしか見たことのなかった私は、鼻血が出そうになるほど興奮した。女の人達たちは足を上げているだけではなくて、スカート履いてるのに、側転をバシバシ決める。男性陣は長い脚を見せびらかすように、まっすぐ90度に上げて行進する・・・私は思わず手拍子に力が入りすぎて、イヤホンガイドを落っことしてしまった。だが、興奮しつつも一筋の冷静さが私の心に残っていた。この人達ウィーンの人達だよねって。やはり折角なら本場フランスのを見たいよ。

で、念願かなってようやく《天国と地獄》のDVDに出会ったわけであるが、予想していたのと全く違っていた。一言で言えば、ものすごくふざけている。でも、素晴らしくて新しさを感じる。

多分、悲劇より喜劇の方が表現が難しいのだ。私の薄っぺらなオペラ鑑賞経験から言うと、面白おかしいストーリーであるもの程、演出のよさが光っている。演出がよいからこそなのか、また違う演出も見てみたいと思う。このDVDもそんな気がするDVDだった。

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指揮:マルク・ミンコフスキ
演出:ローラン・ペリー
演奏:リヨン国立歌劇場管弦楽団&合唱団/グルノーブル室内管弦楽団
出演:ユリディス…ナタリー・デセイ(ソプラノ)
オルフェ…ヤン・ブロン(テノール)
プリュトン…ジャン=ポール・フシェクール(テノール)
ジュピテール…ローラン・ナウリ(バリトン)
世論…マルティーヌ・オルメダ(アルト)
収録場所:リヨン国立歌劇場 《1997年収録》
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ここまで女装の男性ダンサーが活躍するオペラ&オペレッタは初めて見た。普通の格好をしたら結構男前であろう男性ダンサー達がチュチュを着て踊る。その中には女性ダンサーも混じっているのだが、女性ダンサーもわざと中性的にオカマッポい仕草をするので、遠くから見ると全員女装男性ダンサーに見える。

例のフレンチ・カンカンの部分は地獄で踊られる踊りで、何と合唱付きなのだが、黒いスカートの男性&中性ダンサー達が実にふざけた踊りをする。ふざけて見えるけど、多分難しいのだ。単なる脚上げじゃなくて、ちょっとアクロバティックだ。想像してたのとは違ったけど、フレンチ・カンカンの部分を何回も戻して、何回も見てしまった。

それ以外にも、何から書いてよいかわからないほど、変てこりんで面白い箇所がいっぱい。私はバイオリンソロの部分が大好きなのだが、オルフェが作曲したえも言われぬ美しいメロディーを、妻のユリディスはその曲を聴くまいと、猛烈に嫌な顔をして耳栓をするのだ。舞台上に出てくるソリストは、主人公が「ああ嫌だ嫌だ」といって騒ぎまくる中、えもいわれぬ美しい音楽を奏でなければならないという、稀有なシチュエーションにおけるプレッシャーと闘わねばならない。

ユリディスの歌はふざけているようでものすごく技巧的。コロラトゥーラの連発だけでなく、High-FやHigh-Gまで綺麗に決める。ハエに変身したジュピテールと絡む猛烈にいかがわしい場面で出すHigh-Gはピッチ・音質共に最上級のものであったが、場面が場面だけに「よくやるなぁ」と舌を巻いた。

で、何故このDVDには、私が小さい頃から慣れ親しんだ序曲がないんだろう・・・と思って調べて見たら、オッフェンバックのオリジナル版には序曲はなかったのだということを初めて知った。1860年のウィーン初演(ドイツ語版)のために、カール・ビンダーが劇中曲を編曲して作ったんだね。

ストーリーもギリシャ神話のパロディーなのでハチャメチャ。とにかく一度見てみるしかない作品だと思う。
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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
見たい~~! (Fish)
2011-12-23 03:02:59
うわあ!見たい!見たい!見たい!
なぜだろう、全曲が残ってると思ってなくて、残念~とか思ってました。
予算ができたらゲットしよう♪
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これは楽しいオペラ! (いんでぃ)
2011-12-23 18:12:40
これの感想をアップしたのは去年だったかな。
これの序曲、吹奏楽時代の最初の演奏会でやったんで思い入れ強くて…と思ったら、このバージョンはその序曲無いんですよね。と同時に、あの序曲が「ハイライト」と呼ばれる理由が解りました(^^;)
感想書いた時は「オルフェウス神話もオッフェンバックにかかれば形無し」なんて書いたけど…(^^;) なんつーてもぶっ飛んだのが、序曲冒頭の曲が使われるシーンを知った時でした(^^;)
これ、他の演奏のDVDも見てみたいなぁ…と思ってます。蛇足ですが、このDVDでは、ジュピテール役とユリディス役が実の夫婦なんだそうで…なるほどという演技がありましたなぁ(^m^;
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藤本義一氏に依れば (あづまもぐら)
2011-12-23 21:03:25
正式なフレンチカンカンは、パンティを履かずに演じるものだと、数十年前に11PMで言ってました。
私だけ低レベルのコメントで済みません。
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書き忘れましたが (あづまもぐら)
2011-12-23 21:06:18
それで見えるか見えないかのギリギリの線を保つのが巧い踊りとの事です。
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Unknown (さぶりん)
2011-12-25 21:38:15
Fishさん、こんばんは!

デアゴスティーニのDVDは廉価なのでお勧めですが、かなり前に発売されたので、書店には置いておらず、在庫があれば、バックナンバーとして取り寄せるか、同社のHPから注文する方法になります。天国と地獄はこれしか見てないのでわかりませんが、演出の随所に新しさがみれるので面白いです。

いんでぃさん、こんばんは!

>このDVDでは、ジュピテール役とユリディス役が実の夫婦なんだそうで…

そうですよね、夫婦じゃない人とやってたら、やってる本人は変な気分になっちゃうか、やってない旦那もしくは奥様は猛烈に怒るだろうし・・・

あづまもぐらさん、こんばんは!

>それで見えるか見えないかのギリギリの線を保つのが

う~ん、はいてなかったら相当難しい芸当になりそうですね。このDVDでは男女ともに黒いパンツをはいてて、思いっきり黒パンツ見せまくりでした。
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