三陸ワカメのブログ

東日本大震災から11年過ぎました。お世話になった大勢の皆様へ感謝いたします。

捜索 【雑感】

2014年07月25日 | 惜日
瓦礫の中を何日も探していると、色々なことに気が付く。



 小さな村であったが、国道45号線も通っており、表に出れば車の音や道を歩く人の声、お寺の鐘、スピーカーから漁協のお知らせ、たまに山田線を走る列車の音などなどが聞こえた。しかし、震災直後は風の音、それも被災したが流出を免れた家屋のはみ出した断熱材や、はるか高みの木の上に引っかかり残った衣類が風にハタめく音ばかりである。


匂い

 一緒に探してくれた従弟は、ある場所で妙な匂いがすると言った。真冬とはいえ、既に1週間以上経過したころであり、遺体の匂いではないかと。
でも私は知っていた。そこは私も何度か入ったことのある飲み屋のトイレがあった場所である。わが村も最近下水処理場ができ水洗化が進んでいたが、そこは水洗化されていなかった。
小規模の津波の場合、トイレがあふれて村中が糞尿まみれになる事があったらしいが、今回は実にきれいにあらゆるものが流されたので、この場所以外では異臭はなかった。ちなみにできたばかりの下水処理場は破壊されたが、建屋は残っておりその屋根の上には船が乗っていた。また、処理場は機能を失ったが、下水管を通してその後も汚水は集まっていたので、後日その周辺は大変な悪臭が漂う事になった。


レントゲン写真

 我が家の前の道を挟んで坂の上側に診療所があった。新しく立て直したばかりだったのに、鉄骨ばかりになってしまった。
 不思議なことに診療器具等(他にも重たい物があったと思うが)は何一つ残っていないのに、津波の引いたと思われる方向に大量のレントゲン写真が散乱していた。何故だろう?
診療所では看護婦さんが一人亡くなったそうだ。

 
カラス

 カラスが何か肉片のようなものを咥えていた。まさかと、想像してしまう。観ていると、それを落とした。急いで駆け寄ってみたら、落ちていたのはスライスされたベーコンであった。おそらく流されて扉があいてしまった冷蔵庫の中身であろう。

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