てえへんだ、てえへんだ＝２＜NO322＞

「ご隠居。おいでやすか？」

「いやあ八っあん、どうしたいあわてて」

「いやあ、この間から、ちっと可笑しなことに
国がなっていやあしねえかと、気になっていやしたが。」

「おお、このあいだは可笑しかったな。」

「へえ、ありがとうごぜえやす。
いやあ、ここ何日かテレビやら、新聞やらで、何か
恐ろしげな、風邪が吹いているようで。」

「台風かい？」

「いいえ、台風ではござんせん。朝日新聞とやらが
てえ変なことに、なっているようでやんすね。」

「ああ、八っあんも知っていたのかい」

「へい、あれですかい、朝日新聞てえのは、からっきしダメで
やんすかい？」

「いやあ、もともとモノをはっきりと言う新聞だったな、
いい新聞だと思うがな。」

「そうでやんすか、それが、どうしたものか、
読売新聞が叩きまくっているとか、週刊誌も叩きまくっているとか
どうなっているんでやんすか？」

「ああ、内容に誤りがあったと社長が謝罪しておったな。」

「そうでやんしょ。」

「それでも、叩きまくるってえのは。ちょいと度が過ぎて
いやあしませんかね。」

「そういやあそうだね。」

「そうでやんしょ、間違いがあったかどうかは、アッシには
ちょいとわかりやせんがね、謝っている人間を潰すかのごとくに
叩きまくるのは、ちょいと、気がおかしくなっているって
思やしませんかい？」

「なるほど、八っあんの言うとおりだな。これは何かあるかも
しれんな。確かに度が過ぎているな。尋常ではないものが
ウゴメイテいているのかもしれんなあ。戦争を始めた時のようにだな。」

「さいですかい、難しいことはわかりやせんが、この会社の
人達は、日本人ですかい？男ってえものを忘れてやしやせんかい？」

「そういうことだな、八っあん。確かに男らしくないな。
男の風上にも置けないやつだな。」

「ご隠居もそうお思いですかい？
最近は男だか女だかわからねえ奴が、多ございやしょ？」

「確かにな」