2014年からずっとウクライナ国内に住み、現地の言葉も覚えてウクライナ/ドネツクのドキュメンタリーを撮影し続けてきた、アメリアの退役軍人パトリック・ランカスター(Patric・Lancaster)氏という、今どき珍しい本物のジャーナリストがいます。
*******************************
★地下シェルターの中で育ったドネツクの子供たち
こちらに、8年もの間、恐怖と理不尽な攻撃の中で地下シェルターにほぼ閉じこもった生活を余儀なくされてきた、ウクライナとの境界近くのドネツクのある村での生活を撮影したランカスター氏の動画をご紹介します。
ウクライナ軍による攻撃が始まった直後に生まれてからずっと、学校にも行けず、地下シェルターで暮らしてきた子供たちもいます。
2021年3月10日公開
生まれてからずっと地下シェルターで育った子供たち:ロシア・ウクライナ戦争
1:00 (パトリック・ランカスター氏) :「ドネツク共和国の中でもウクライナにごく近い村に来ました。
数時間前、このアパート周辺に爆撃が落とされています。
この村では2週間どころか、過去8年間の間、ずっと戦争が続いていたのです!
この村の様子を撮影しながら住民にインタビューをしたいと思います」
01:34 男性:「地雷が今日、一時間前にここと郵便局近くに落とされました。
これはウクライナ側からの攻撃だったと思います。こういった攻撃は毎日ありますが、彼らがなぜ攻撃するのかはわかりません」
04:27 年配の男性:「攻撃はもちろん、ウクライナ側からで、ウクライナ軍がやったのに間違いありません。たしかです。この辺りには軍事施設などはなく、ご覧の通り市民しかいません。」
04:58 若い男性:「最初の爆撃は午前11時ごろ、郵便局近くの子供の公園に落ちました。二発目はここです。私の友達がこのアパートに住んでいて、写真を見せてもらいました。他の爆撃は学校の近くに、もう一つはサッカー場に落ちました。
みんな怖がって、遠くに引っ越しています。ここに住むのはとても怖いですよ。誰がやったかはわかりませんが、ドネツク(政府)がやったとはとても考えられません。ウクライナでしょう」
1000 女性:「人間らしく扱ってもらいたいものですよ!今日、彼らが爆撃してきました。すべての窓が割れています!暖房も水道もありません。
ここには誰も入れず、住んでいる人もいません。もう4日間もですよ!
10:39 「ここは何も新しい標的というわけではありません。ウクライナからだと思いますが、この8年の間、ずっと私たちを苦しめてきました」
11:19 「ここでは常にプレッシャーの中で生きています。子供たちは学校に行けず、ずっと家にただじっと座っています。私もかろうじて働けているだけ。こんな状況に誰が暮らせるというのでしょうか」
11:43 パトリック氏「西側ではこれ(戦争状態)は2週間の間だけのことと考えていますが」
女性:「2014年からここはずっと戦争でしたよ!8年もこうやって暮らしているんです」(泣き出す女性)
19:20 若い男性と年配の女性:
「つまり、私たちは8年間も爆撃を受け続けているんです。沈黙し、我慢しています。
ウクライナでは、3日前に戦争が始まってパニックになっていますが、私たちにとっては(戦争は)8年間続いています」(怒りのこもった話し方で)
「ウクライナ(政府)は、向こう(ウクライナ領域内)で、ロシア軍が市民に攻撃を与えてるとは言ってますけど。。。お見せしたいものがあるので、ついてきてください」
女性によって地下の部屋へ案内される。
暗い地下の部屋の中には多くの人達が身を寄せ合って座っていて、子供も何人か見受けられる。
19:52 「子供たちはここで遊び、寝ています。8年間、こうして生きてきました。8年ですよ!地下に8年住んでいるんです」
ベッドやおもちゃを見せる女性。
20:42 (少女を指して)女性:「彼女は生まれた時からここに住んでいます。
2014年の7月19日に、私たちの村で戦争が始まりました。私の子供は6月26日に生まれています。爆撃が始まった時、娘は生後一か月にもなっていませんでした。
娘はこの部屋から離れることなく、ここ7か月の間はずっとここに居ます。戦時中の子供ですよ。
私たちが知る限りでは、今のペスキ(Peski)にウクライナの大隊はいますが、私たちのドネツクの(行政・軍)の人はいません。
パトリック:「ウクライナのゼレンスキー政権は民間人には爆撃はしていない、と言っていますが」
女性:「本当に?私たちが自分で攻撃をしているとでもいうのでしょうか。ゼレンスキーの言うことなんてどうでもいいです。状況はかなりまともに把握しているつもりです。(爆撃が)どこからきているのかは、わかっています」
(翻訳終了)
*******************************
ウクライナを支援されている方には、「いきなり侵攻を初めてた、狂気のロシア」というイメージをお持ちの方も多そうですが、実はその「侵攻」理由は十分に、何年にも渡り、何度もロシア側から説明がなされていました。
★プーチン大統領はこの問題を2014年から世界に訴え続けていた
2014年、プーチン大統領が突撃インタビューをしてきたBBC特派員に有無を言わさない勢いでやりこめていた動画が、最近また浮上していました。
【BitChute】
動画の中でBBC特派員は、ウクライナ東部について、質問(の体裁をとった糾弾)をしています。
BBC:「ウクライナ東部では、何千人ものウクライナ人が死んでいます。
あなたは何千人ものウクライナ人を殺害したことを後悔していますか?」
これに対し、プーチン大統領は次のように答えています。
プーチン大統領:
<fieldset>
「そこで起きている惨状の本質をご存じですか。
私の認識では、ウクライナの現政権はウクライナ東部に関する政治的な交渉に応じようとはしていません」
</fieldset>
<fieldset>
(ウクライナ東部への攻撃は)ウクライナ軍がこれらの地域の大都市や小さい町を包囲することによって起こされました。
彼ら(ウクライナ軍)が市街地や家を直接標的にし、爆撃を行っています。
ウクライナ東部にいる(ロシア)軍の目的は、(ウクライナ)軍およびミサイル発射装置を取り除くことで、彼ら(ウクライナ軍)がこれ以上、市街地に爆撃を行えないようにすることが(現地のロシア軍の)目的です。
これは欧州を含めたほとんどの国が、無視することを選んできた事実です」
</fieldset>
この動画の中のプーチン大統領の真摯な怒りを抑えた様子は、まるで覇王色の覇気がにじみ出てきそうな威圧感です。
問題の地域ではロシア系住民がウクライナ軍による甚大な被害を受け続けているのに、西側はその責任をすべてロシアに追わせ、ロシアがウクライナ軍の蛮行を阻止する邪魔ばかりしているのですから、その怒りももっともです。
2014年のプーチン大統領のこの発言は、上のドキュメンタリー動画と完全に一致する内容です。
西側では、ネオナチ問題は新聞でよく取り上げていましたが、この地域のウクライナ軍による爆撃についてはほとんど報道がされていませんでした。
*******************************
★そしてロシア「侵攻」直前にも訴えていた
そしてこちらが、ロシア「侵攻」直前の2022年2月18日の、ロシア側からの発表です。
<fieldset>
ロシアのラブロフ外相は18日、ウクライナ東部ドンバス地域で砲撃が急激に増加していることに警戒感を示すとともに、欧州安保協力機構(OSCE)の特別監視団がウクライナの停戦合意違反を見逃していると非難した。
ラブロフ外相は記者会見で「昨日と一昨日、ミンスク合意で禁止されている武器を使った砲撃が急増しているとの報告を非常に懸念している」と指摘した。
一方、ウクライナ軍は18日、ミンスク合意違反を否定。ロシア政府が情報戦を仕掛け、ウクライナが市民を攻撃しているという虚偽の情報を流していると非難した。
</fieldset>
もちろん、プーチン大統領の演説の中でも、これ以上なく明確にこの問題を提示しています。
ウクライナへの「侵攻」前のプーチン大統領の演説(書き起こし)
【演説全文】ウクライナ侵攻直前 プーチン大統領は何を語った? | NHKニュース【NHK】2月24日に突然、ロシアがウクライナを侵攻。その日、侵攻直前に、ロシアの国営テレビはプーチン大統領の国民向けの演説を放送…www3.nhk.or.jp
★「違法の兵器」による攻撃の最近の例
ちなみに2月にロシアが批判していた(ウクライナ軍による)「国際的に禁止されている武器の使用」についてですが、たとえばわずか数日前にもロシアが陥落させた後のドネツク市街地で、違法のクラスター弾が使用され、多数の死者を出していました。
https://youtu.be/ANNhDKGjNK8
3月14日 ドネツク中心部でのウクライナ軍のクラスター弾攻撃によって、多数の市民の死者
しかし、ロシアが陥落させた後の地域への攻撃の場合、それを「ロシアによる攻撃」とすることはさすがに不自然なためでしょう。最新の攻撃についてはほとんどまともに報道はされていない様子です。
ここで、嘘をついているのはいったい誰なのでしょうか。
動画にあるような、劣悪で危険な環境に暮らすドネツク地方の住民を保護し、安全な生活を保障したいという理由の一つとし、世界中を敵に回し、いわれのない批判を受け続けながらもウクライナに突き進んで、実際に着々と地域ごとに攻略していっているプーチンさんと、
根拠もなく、自国に関係もない批判をロシアに浴びせ、聞くに堪えない、人格を疑うような罵詈雑言を叫び、後先考えない政策で自国内の市民の生活を困窮に追いやり続けるような国のリーダーでは、
もはや比較の対象にすらなりません。
<転載終了>