私にとっては衝撃的な事件だった。もう2年も経つのだが、横浜市の大口病院で、入院患者の西川惣蔵さんと八巻信雄さんが相次いで中毒死し、2人の体内からはヂアミトールという消毒液に含まれる界面活性剤の成分が検出されたのである。明らかに殺人事件である。しかも、犯人は病院関係者以外に考えられない。にもかかわらず、なぜか捜査は難航した。2年近くもかかって、元看護婦の久保木愛弓容疑者が逮捕されたのである。彼女は事実を認めて、さらに、同じように20人以上を殺害したとほのめかしているという。大口病院は終末医療の病院である。だから、この病院で人生を終える方は多い。だから、本来なら、人生の最後の時をやすらかに過ごさせてあげたいという気持ちで、病院関係者はいたはずである。私は少なくともそう信じていたのである。私が訪ねた終末医療の病院には、どこもそのような雰囲気があった。だが、この大口病院は、元看護婦は自分の勤務の時に患者が死んだら、面倒なので、そうならないように殺したと供述しているという。何と言うことだ。人の人生をなんと思っているのか。涙が止まらない。(2018.07.08)