格差は市場を疲弊させる。

ヨーロッパの経済学者であるポール・デ・グラウウエは世界の経済システムは市場と政府の力のバランスの中にあると説明する。資本主義の中では、自由にしておくと市場の力が強まる。市場の弊害が大きくなると政府の介入が起きるのである。極端な例は共産主義革命だ。さて、現在社会に於いて、最も重要な問題の一つに格差問題がある。1978年から2016年の間に、世界的企業のCEOたちの役員報酬はインフレ率を勘案しても、937％も増えた。一方、労働者の報酬は11％しか増えていない。この間、CEOたちの労働生産性が飛躍的に高まったのかと言えば、そうではない。単に、自らの報酬を決める立場にいただけである。企業の基本的な生産性は労働者のモチベーションによって決まる。だから、現在に賃金格差は企業のマネージメントに大きな悪影響をもたらしていると言える。日産のゴーン会長が逮捕され、その報酬額や私的活用が明らかになり、日産側から非難が強まったのは、その理由である。企業の発展は労働者の内在的なモチベーッションが鍵で、幾ら外在的にお金で釣っても、外から優秀な人材を集めても、それだけでは限界がある。つまり、企業経営者は労働者の内在的なモチベーッションを高めることが重要だと氏は説く。（2月3日）

Y-FP Office Japan