東南アジア・ヴァーチャル・トラヴェル

空想旅行、つまり、旅行記や探検記、フィールド・ワーカーの本、歴史本、その他いろいろの感想・紹介・書評です。

加藤久美子,「シプソンパンナーの交易路」,1998

2006-12-16 21:56:27 | 移動するモノ・ヒト・アイディア
著者はシプソンパンナーの権力構造の研究成果が著名な文献学者。
中華人民共和国政府が雲南のタイ族居住地を解放した後、この地方の権力、農民支配、水利権利などの社会調査がおこなわれた。
この地方のタイ族社会を「奴隷制」とか「専制主義」ととらえた官製の研究報告が出版された。
著者の加藤久美子さんは、調査報告の中にかくされたデータを分析し、再構成し、シプソンパンナーの盆地社会の首長(ツァオムン)は、交易を基盤にした権力であり、土地や農民を支配する農耕を基盤とした権力ではない、という結論を導いた。
中華人民共和国の調査結果を使い、官製の報告書とはまったく異なる姿を描いた業績として名高いようだ(わたし自身は未読)。

そんな業績をもつ著者が、短期間の聞き取り調査をしたのが、本論。


コメントを投稿