東南アジア・ヴァーチャル・トラヴェル

空想旅行、つまり、旅行記や探検記、フィールド・ワーカーの本、歴史本、その他いろいろの感想・紹介・書評です。

寺田勇文 編,『東南アジアのキリスト教』,めこん,2002.

2008-08-11 20:09:10 | フィールド・ワーカーたちの物語
1998年に10回連続で開講された、上智大学コミュニティ・カレッジ「東南アジアのキリスト教」をもとにした企画。
文献からの研究報告もあるが、執筆者はすべて該当地域でのフィールド・ワークの経験の豊富な方々である。
その結果、キリスト教布教を未開社会の啓蒙ととらえるのではなく、現地社会の対応を含めて文化人類学的に考察する論考がそろった。

当然、キリスト教を全人類的な普遍的な価値とは捉えない。
そして一方、現地の人々を一方的に教化される弱い立場の人々とも捉えない。
そうではなく、異文化の衝突、相互の変容として見ている。

第1章 聖者の行進:聖週間儀礼から見たビサヤ民俗社会 川田牧人
第2章 イグレシア・ニ・クリスト:フィリピン生まれのキリスト教会 寺田勇文
第3章 タイ(シャム)におけるキリスト教 石井米雄
第4章 エーヤーワディ流域地方における王朝時代のキリスト教 伊東利勝
第5章 中国、ビルマ、タイ国境地帯の宣教活動と少数民族 豊田三佳
第6章 カンボジアの伝統社会とキリスト教 石澤良昭
第7章 ベトナムのカトリック:政治的状況と民衆の生活の形 萩原修子
第8章 マレーシア・カトリック教会におけるポスト・コロニアリズム 奥村みさ
第9章 フローレス島におけるカトリックへの「改宗」と実践 青木恵理子

以下、各章別にレビュー。


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