東南アジア・ヴァーチャル・トラヴェル

空想旅行、つまり、旅行記や探検記、フィールド・ワーカーの本、歴史本、その他いろいろの感想・紹介・書評です。

越智武臣,「解説」,『大航海時代叢書 第Ⅱ期 17 イギリスの航海と殖民1』

2006-06-14 02:01:32 | 翻訳史料をよむ
とても刺激的なエピソードが紹介されている。

史上3回目の世界一周航海である、イングランドのキャヴェンディッシュ隊の航海。
この途中、カリフォルニア半島先端サン・ルーカス岬沖で、キャヴェンディッシュ船団は、黄金7万ポンドを積むサンタ・アンナ号を拿捕。
マニラからアカプルコに向かっていたスペイン船である。
1587年のことである。

そして、この船にのっていたのが、二名の日本人青年である。
残念ながら、日本名は記録なし、英語の通称のみ残っている。
このふたり、日本語の読み書きができ、キャヴェンディッシュの興味をさそう。ふたりを乗り込ませたキャヴェンディッシュの船は、分捕った財宝とともに太平洋、インド洋をのりこえ翌年(1588)プリマス到着。
つまり、このふたりが、記録上、最初にイングランドに上陸した日本人である。(天正使節団はこの2年前、ただしもちろんイングランドなんぞに行くわけはない。)

ふたりの日本人は英語をおぼえ、その後、キャヴェンディッシュの最後の航海に同行する。当然、日本もしくは東アジアへの案内、通訳としての要員であったと思われる。
残念ながら、船隊は日本まで到達できなかった。大西洋のブラジル沖まで行った記録はあるが、その後は不明である。

このマニラ~アカプルコ航路も含め、当時の日本船・日本人の太平洋航海、北アメリカ太平洋岸への漂着について、カナダ・ブリティッシュ・コロンビア博物館のサイトに記事あり。

www.royalbcmuseum.bc.ca/hhistory/ japaneseshipwrecks/manila.html

ええと、それでですね、googleで"日本人" "ドレイク" "大航海時代" などで検索すると、松岡なつき著「FLESH&BLOOD」っていう、BL小説の関係が上位にくるんですね。
タイム・スリップでこのキャヴェンディッシュやドレイクの時代のイングランドにまぎれこんだ日本人の話のようです。
おもしろそうだが、全5冊、とても挑戦する気にはなりません。
ただ、この話、作者はこのふたりの日本人の実話を参考にしたのかな?
設定としては、まったく不自然ではなく、ありえる話である。
上記のことも、たまたま記録に残っただけで、そのほかにも、英語をしゃべる日本人少年(上の例も、20歳と17歳、数え歳だから、満年齢だともっと若い)がイングランドにいたなんて可能性は十分にあるわけだ。


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