その後

電話が終わって友人の部屋に戻ると友人は
「彼、なんだって？」
と聞いてきた。
「今日一緒にいた子は彼女じゃないから、って」
「それ本当だと思う？」
「うーん…相手は新婚さんだって言ってたし、
確かにこの前結婚式に呼ばれてたし、
こんな嘘ついても意味ないから本当だと思う。思うしかないなぁ」
ふーん、と言ってしばらく私を見ていた彼女は私に尋ねた。
「なんでわざわざ、彼女じゃないから、って電話して来るんだと思う？」
わかんない。わかんないよ…

私が頭を抱えると
「そうだよね。ややこしい人だね。でも、本当にどうでもいいならわざわざ電話してこないだろうね」

う…。

‘上手くいくかどうかはわかんないけど、
やっぱり桃香と彼は簡単には終わらないんじゃない？’

と友人が笑って言う。
この先どうなるかは、誰にもわからない。
きっと彼にも。

好きな人からの電話の内容

電話に出ると、好きな人は
「今日、一緒にいた子、感じ良さそうだったでしょ？」
と言った。
「ジロジロ見たら悪いと思って見てなかった」
と答えた。そして、つきあってんの？と聞くと彼は言った。
「つきあってるっていうか、彼女と結婚するんです」

どきん、と心臓が音を立てたような気がした。
でも私は言った。

「え？ホントに？ホントにホント？
おめでとー！やっと結婚してくれる相手が見つかったんだねぇ」

すると彼が笑いながら言った。
「そんな簡単に信じるなよ。やっぱバカでしょ？
結婚なんて嘘だよ。付き合ってもいないよ。
あの人はもう結婚してるの。友達の奥さんで新婚さんなんだよ。
たまたま店で会ったから、あの後でお茶に行っただけだよ」

………。
試された？
何で？
別に私に説明する必要なんてないじゃない。
放っておけば私は、勝手に納得して離れていくのに。

パワーをくれる友達

好きな人が女の子と一緒だったのを見て、ものすごくへこんで、
友達の中でも一番テンションの高い友達のところに遊びに行った。

失恋しちゃったみたいー、と言って
この前彼に言われたこと、
好きな人に偶然会ったこと、
その時彼が女の子と一緒だったこと、
全部話した。

もうわけわかんなくなったからやめる！と宣言したら
「やめちゃえ、やめちゃえ」
と笑いながら言った後、真顔になって
「でもさ、桃香と彼は腐れ縁で繋がっちゃってるから続くよ、きっと」
と言われた。
うーん…と言っていたら私の携帯が鳴った。
この着メロは彼のだ…と黙り込んで固まった私を見て、彼女は
「彼からでしょ」
と言う。
「話しておいで」
彼女が促す。
ごめんね、と言い、彼女の部屋を出ながら私は電話に出る。

…続きはまた後で。