◎末松太平事務所  (二・二六事件関係者の談話室)

末松太平(1905~1993)。
陸軍士官学校(39期)卒。陸軍大尉。二・二六事件に連座。禁錮4年&免官。

◎山口富永さんの話◎

2006年02月04日 | 末松建比古
今年の正月。山口富永さんから(久しぶりに)年賀状を戴いた。「お母上はお元気ですか」と書き添えてあった。

山口富永(ひさなが)氏。1924年、長野県大町市生れ。国学院大学進学を病のため中途で断念。大町国民学校勤務中召集。在京部隊に入隊後再び発病、箱根陸軍の療養所にて終戦。戦後一貫して政治、思想運動に挺身して現在に至る。
(著書「二・二六事件の偽史を撃つ」平成2年国民新聞社刊に記載された著者略歴)

末松太平が山口氏と知り合ったのは、晩年のこと。ある理由(ここでは書かない)によって、太平が“賢崇寺法要に行かなくなった”後のことである。
末松太平著「私の昭和史」は、高橋正衛氏の熱意に拠って“世に出た”のだが、晩年の末松は、高橋氏に絶縁を言い渡す。そして数年が経過した。
末松の死後に(火葬場との関係で)通夜及び葬儀までの間、遺体は千葉市登戸の自宅に寝かされていた。通夜の前日、高橋氏が来訪して「お父上に絶縁されたので、葬儀に顔を出せません。せめて、御遺体と対面させて下さい」と言われた。
私自身は、高橋氏に対し、悪い感情を抱いていないので、有難く対面していただいた。実は、クールな息子(私)は“死に顔は見たくない”と思っていたので、それまで“白い布”被せたままで顔を見ていなかった。高橋氏のお陰で(一緒に)遺体との御対面が果たせたことに感謝しなければならない。

末松太平と高橋正衛氏の、突然の絶縁。その原因をもたらしたのが、山口富永氏ということになる。

●山口富永氏著作「二・二六事件の偽史を撃つ」の一部。
昭和63年2月21日、NHKが放映した「二・二六事件/消された真実」の匂坂検察官資料に振り廻された騒ぎを機会に、私は二・二六事件に連座した末松太平氏を知った。知った経緯は省略するが、私はこの末松氏を通じて、末松氏のことばを借りれば、「真崎組閣説は、しかし今回に始まったことではない。そのことを、私は今回の匂坂騒ぎを機縁に知らされた。灯台下暗し、高橋正衛著、中公新書『二・二六』の初版本は贈呈されて我が蔵書の中にある。真崎組閣説の発祥は此の本にあり、延長されて今日に至ったというわけである」と、さらに「初版は昭和40年だから今年で24年の歳月を送り、すでに40版を重ねている…」というのである(『史』第70号)。
が、この高橋氏と私は、平成元年2月22日、末松氏の仲介の労によって、末松邸で対決する機会を得た。(中略)末松氏は、さらに『史』のなかで、このことについて「昨年8月山口は、真崎組閣説について真偽を正すべく、立会人をおいて高橋と対決しようと思うがと相談してきた。私は対決と聞いて、すぐ郷里の巌流島のことを思い浮かべた」と、仲介の労をとったことを述べ、「結論は簡単であった。あっけなく決まった。高橋は、真崎組閣の件は推察で、真実ではない、あやまります、といった」と。

その後の話を書いておく。
末松太平死去(1993年)直後の2月26日から、末松建比古は「賢崇寺」に参列することになる。法要終了後は、二階大広間で直会となる。
山口氏は、離れた席に高橋氏を発見すると、喧嘩を売りに行こうとする。仕方なく、私は高橋氏の隣りに坐って「ボディガード役」を務めることになる。
当時、山口氏は、相澤正彦氏(相澤中佐の御長男)を囲むグループにいた。私は相澤氏と親しく、直会終了後は蕎麦屋にお供するのが定番だった。
法要に集う方々は、主義主張も様々で、一触即発の気配もある。私は、自然に中立地帯の役割を果たすことになるのだが、やはり“末松太平氏の御長男”という威光(?)が有効だったようである。

高橋正衛氏は亡くなる前年まで、賢崇寺に現れた。直会では、酒好きの高橋老人のために「ワンカップの蓋を開けてあげる」のが、私の役割だった。
山口氏も、かなり以前から賢崇寺に現れなくなった。相澤正彦氏の葬儀にも顔を見せなかった。因みに、相澤氏の通夜と葬儀に参列した“二・二六関係者”は、私独りである。
相澤氏も、ある時期から、賢崇寺に現れなくなっていた。重病のためもあるが、それ以前から「考え方の違い」で法要に背を向けていた。相澤氏の訃報は、世話役諸氏(仏心会と慰霊像護持の会)には知らされなかったらしい。
正彦氏逝去の翌年から、相澤未亡人が賢崇寺に参列するようになった。世話役諸氏とは“お互いに距離感がある”ので、双方への気配りが、私の役割になっている。(末松)
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