Takepuのブログ

中国旅行記とか、日ごろ思ったことなどを書きたいと思います

リー・クアンユーによる中国の見方

2010-12-03 16:29:31 | 時事


ウィキリークスでなかなか中国問題についての公電がないと前に書いたが、見つけた。
シンガポールのリー・クアンユー(李光耀)顧問相(前上級相)が昨年6月4日、ジェームズ・スタインバーグ米国務副長官との会談の中で、胡錦濤総書記は習近平・国家副主席ではなく、共産党青年団出身で腹心の李克強・副首相を後継に据えたかったが、習副主席に他の指導部メンバーの支持があると分かったため、李副首相をあきらめ、習副主席を後継者にすることを受け入れたとの見方を示したという。このほか、習副主席は台湾問題については胡総書記の現実路線を踏襲するだろう、とも触れている。

公電の前半部分はまた、ほとんど北朝鮮についての話なので、奥まで読んでいかないと見つけにくい。

公電は、台湾について、陳水扁・前総統の時代は経済を弱体化させたが、馬英九総統は中国大陸との三通政策を拡大させ、景気を取り戻した、と評価している。北京側は江沢民・前総書記が中台関係について述べた8項目原則、いわゆる「江八点」に固執していたが、胡・現総書記はもっとフレキシブルだと見ている。江沢民氏は台湾問題解決をライフワークとしていたようだが、胡総書記は、より我慢強く、解決のための特定のスケジュールを決めていない。胡総書記は馬総統との間で、台湾側と「92年コンセンサス(九二共識)」に基づき、再統一問題には触れずに交渉を進めることが可能で、もし台湾が独立を謀ろうとするなら、米国とも対抗するに十分な1000機のミサイルで阻止すると見ている。
習近平副主席は、太子党に属し江氏の上海閥に近いといっても、今後数年の間に江氏の影響力はなくなり、現状のシステムを踏襲していくことになる、としている。
中国に、トウ小平氏のような絶大な権力者(ストロングマン)はもはや現れず、江氏は胡総書記を止めることは出来ず、胡総書記はしくじることはないだろう、と見ている。

・・・・と公電で興味を持つ部分はこんなところか。

リー・クアンユー氏がスタインバーグ氏と会談したとされる2009年6月4日は、「六四」「第二次天安門事件」20周年。中国の民主化などの話題には触れていない。このあと9月末に新疆ウイグル自治区でデモが発生。9月15日から18日には四中全会が開かれたが、当初予想されていた習副主席の中央軍事委員会副主席就任は持ち越しになった(2010年10月の五中全会で就任が決まる)。10月1日には中国建国60周年で大々的な軍事パレードが開かれ、江沢民氏が久しぶりに天安門の壇上で公の場に立った。が、映像を見る限り、健康状態の悪化は否めなかった。

まだ、習VS李の後継者争いが続き、習軍事委副主席就任が見送られた、との憶測が広がっていた時期での「習後継者決定」との見通しは、今にしてみれば達観か、とは思う。ただ、08年に総責任者として北京五輪を平和裏に終わらせた功績で習氏の評判が上がっており、四中全会のような判断にブレを生じさせるかもしれないファクターがあまり見られなかった時期とも言える。

ところで、ウィキリークスはまたつながらなくなったようだ。この手の話題もここまでか。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。