Takepuのブログ

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映画「唐山大地震」見た

2010-11-06 16:55:50 | 映画鑑賞

中国で大ヒット、アバターをしのぎ、中国映画史上最高の興行収入となったといわれる映画「唐山大地震」を見た。1976年7月28日午前3時過ぎ、中国河北省唐山市付近を震源とするM7・8の地震が襲い、24万人が死亡したとされる。
映画はこの本当にあった地震を題材に、地震発生のとき、子供だった男女の双子が瓦礫の下敷きになり、救出中に救助隊が「二人のうち一人しか助からない。どちらか選べ」と母親に無情な選択を強いる。母親は涙ながらに「男」と選択する。女の子の方は運び出され遺体として放置されていたが、奇跡的に蘇生し、解放軍の子供のない夫婦にもらわれる。そしてそれぞれの人生を生き、成長し、四川大地震の現場で偶然再会する。

この年は1月8日に当時、中国人民から最も敬愛されていた周恩来総理が死去、7月6日には朱徳・元帥(全人代常務委員長)が死去と、大きな事件が次々と起こった。地震後の9月9日には中国建国の父であり最高指導者の毛沢東が死に、中国国民を苦しめてきた四人組(江青、張春橋、姚文元、王洪文)が捕らえられ、1966年から10年間続いた文化大革命が終了した。映画の中でも毛沢東の葬儀は再現されている。

子供のうちどちらか一人しか助からない、どちらか選べ、というのは舞台回しとして、ちょっと残酷すぎる究極の選択だ。この当時の中国では後継ぎとしての男子を尊重する傾向があり、そのような考えからの選択なのだろう。その結果、救出の際に男の子は片腕を失う。

女の子の成長してからを演じた張静初は、釈由美子と相武紗季を足して二で割ったようなきれいでスリムな女性。大学で医学を学ぶが、すぐに上級生の変な男とくっつき、妊娠し不本意な退学をする。どうして、あんな情けない男とくっついて、人生を変えてしまうのか。中国の映画やテレビなどではこんなストーリーが多く見られる。

男の子の母は再婚もせず、片腕になった息子を育て、男の子は旅行会社の経営者になる。流行の業界の成功者になるところは「一杯のかけ蕎麦」に似ているね。ちょっと恣意的だ。

中国人の観客が号泣した映画。出来はいいしCGも迫力がある。特に前半部分はかなり力を入れているように見えるが、作り方に受け狙いの作為的な感じは否めない。後半の物語を終わらせるための舞台回しはちょっと急いで話を展開しているように見える。

それから監督の馮小剛(フォン・シャオガン)の作風、クセなのか、ところどころにエッチっぽい、っというか性的な表現がある。地震直前に双子の夫婦がトラックの中で事をいたすシーン、女の子が悪夢を見て目が覚めると、父親が後ろから抱きかかえ、妻に、もう大人の娘なのだから、そんなパンツ一丁で娘に触れるな、と諭されるシーン、大学の宿舎を父親がたずねると、上級生と事をいたしていた風を暗示するシーン。いわゆる観客サービスなのだろうか。ストーリー展開にはあまり関係ないとは思うが。その辺は伊丹十三監督にも似ている。