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**アカシアの木蔭で**

流れていく時間と逆らわずに流れていく自分を、ゆっくりペースで書いて行こうと思います

鬼の選択

2010年11月15日 | 病棟
70歳になったばかりの頑固爺が入院してました。
公園でうっかり転んだのを近所の人に見られたのが恥ずかしいという、
たったそれだけの理由でベッドから出なくなり、あれよあれよという間に筋肉は落ち
廃用症候群で痛みを訴えるは 誤嚥するは の状態になりました。
他には病気も認知症状も全く無く、頑固でわがままで依存的な性格が「 病」 でした。
勿論家族にとっては非常に厄介な存在になり、
妻の関節手術の間だけ預かるはずがズルズルと長期へと移行したのでした。

入院から入所へ変わり、爺は更に依存が強くなり
足の位置を変えたり食事をすることすら 自分でしなくなりました。
「足の位置をかえろ。・・・痛てえなあ 全く。もうちょっと丁寧にやれよ」
「食べろ食べろって急かすんじゃねえよ。待ってろ!!」
一口食べさせる度にギャッジベッドを上げ下げして時間を稼ぎます。
まるで 嫌がらせのように。
介助しなければ家族の持ってきたお菓子しか食べず
どんどん痩せていくので、仕方なく爺に手を掛けていたのでした。



「ねえ、問題は手が掛かる事じゃなくて 手を掛けちゃうことだよね?」
「私たち 爺が悪くなる手伝いをしているようなもんだよね?」
「早くリハビリを受ければ、機能回復の可能性は充分あると思う」
「でも、うちの病院にはPTもいないし スタッフも足りないから
 ストレッチを時々 無理矢理することぐらいしか出来ないよ」
「家族は転院を受け入れないよね。長期になってホッとしてるもん。
 この間なんて 早く死んでくれたほうがいいって話してたし」


何度となく 爺の看護の方向性について話し合い、迷って迷って決めました。
「爺からも家族からも苦情が出ても、鬼になろう!」です。


家族が来るたびに 爺はうちの病院の対象じゃないから
リハビリ病院を探して欲しいと繰り返し、
「親が何も出来なくなるのを望むのは 良いことではないよね?
早くリハビリを始めなくては 受けてくれる病院もなくなるよ」なんて
プレッシャーかけて脅迫まがいの話もしながら、
リハビリを受けてくれる病院を探しました。
そして最後には、追い出されるという受け取り方で不満を持ちつつ
転院されて行きました。
みんな、爺がどうかいい方向に向かいますようにと 願って見送りました。


先日 爺のご家族が病棟に来てくれました。
爺は体重も6キロ増え、厳しいリハビリに最初は嫌々
でも車椅子の自走が出来るようになった今は、
「仕方ねえなあ、リハビリ行ってくっから」と
言葉こそ渋々なのですが、頑張っているそうです。

「今回もね、ここに行くって話したら
 俺も車椅子で行こうかなってそわそわしちゃってね。
 鬼看護婦たちに会いに行きたいって。
 爺ちゃんは最初にここの病院に入院してよかったって
 今は家族で話してるんです。
 転院を勧めてくれた意味も 今はよく分かるし
 最初に言われた時に早く動いていれば良かったって
 ちょっと後悔してます。」


病棟の鬼たちは 次は爺が車椅子で来てくれるのを待ってるよと
伝言を託しました。







鈍感娘

2010年11月15日 | 生活
「あのさ、今度人気ゲームが発売になるんだけど
うっかり予約するの忘れちゃったんだ~。
あ~あ、並んでも初日には手に入らないかもって 友達に話してたの」
 
花ちゃんが夕飯食べながら話し出しました。
何だか少しプンプン怒ってる。

「そしたらさ、★★★が 俺も一緒に買いに行こうかなって言うの。
馬鹿じゃないのっ!★★★は東京のヤツなんだよ!
同じ店に一緒に並んだって人気ゲームが手に入る訳ないじゃない?
即、私は千葉の店に並ぶ、アンタは東京で並んでお互い状況を逐一連絡、
買えるようなら相手の分も手に入れて 後日清算 って言っといたよ。
ほんと 分かってない!要領 悪っ!」


・・・・・・・

「その男の子、ゲームオタク系なの?」
「ううん、見た目 エネオス君、中身ゴリ男。
 そんなにゲーム好きじゃ無さそうなんだけど
 人気ゲームだから興味持ったんじゃない?」

★★★君、ホントにそのゲーム欲しかったんだろうか?
分かってないのは もしかして 花ちゃんなんじゃないだろうか?
共学で多少ココロエのある母は ひっそりとため息をつきます。


パパゾウに顛末を話すと、
「ゴリ男くん玉砕、木っ葉みじん!」と ニヤリとしてました。

・・・花の18歳、こんなに疎くて大丈夫なんだろうか?
ゴリ男くん、花ちゃんには 超ストレートに、ね!