以下文は、昨今の内外メディア等々の報道等を参考にNGO活動と安全のバランスを自分なりに考えたものです。中村医師のアフガニスタンでの純粋な意思、善意は計り知れないものがあります。対し、これらに仇で返す人達、世界から善意を仇で返すことが無い時代は来るでしょうか・・・中村医師のご冥福を祈ります。
昨今の報道等では、中村医師は12月4日午前8時ごろ宿舎出発、約25キロ離れた用水施設等の工事現場に向かっていたようです。襲撃グループはカラシニコフ・自動小銃、拳銃で武装、2台の車に分乗、中村医師の車を追走し、前を遮った後、銃撃を加えたようです。最初にボディーガード4人殺害、運転手と助手席の中村医師に発砲したようです。負傷して中村医師が起き上がった時、更に襲撃グループはとどめを刺す銃弾を浴びせ現場から逃走しています。中村医師の通行ルートを知っていた計画性と、確実に中村医師の命を奪おうとしたことから殺意があったようです。犯人像は断定できないようですが地元か、近郊出身者であることは間違い無いとも言われています。襲撃グループはアフガン、パキスタンに見られる民族衣装・シャルワール・カミーズを着ており地元での主要言語であるパシュトー語で会話していたと言われています。ナンガルハル州政府は全員男性で5~7人位との見方を示しています。
気になる記事は、イギリスのBBC放送(電子版等)は州政府のミヤキル知事の事件後の発言として、中村医師の水関連の仕事に理由があると報じていたとも言われています。ミヤキル氏は襲撃グループの詳細については触れていないようですが犯人を示唆する発言と言われています。
アフガニスタンでNGO・人道支援で計り知れない大きな貢献をしてきた中村医師が亡くなって残念ですが、悔いが残るのは日本政府の再三の警告を真摯に受け取り、一時帰国、退避等すれば最悪は免れたかもしれません。中村医師へは今後も計り知れない貢献、活躍に大きな期待が持たれていました。本当に残念なことです。これまでの活動が滞る可能性があります。家族、支援団体、多くの日本人、アフガニスタン人が悲しんでいます。
アフガニスタンで国内線、国際線を手がけるカーム航空は12月5日、故・中村医師さんへの追悼を示すために同社の航空機の尾翼に中村さんの肖像画を掲げています。世界でこのような例はありません。如何にアフガニスタンで多くの人達に中村医師の活動が根づいていたかが分ります。
中村医師には、総理・個人では国民栄誉賞を与えたいかもしれませんが、公人としての総理とした場合は難しいと思います。中村医師への精度の高い情報をもとに外務省、政府の度重なる危険回避説得も功を奏しなかったようです。アフガニスタンは特に危険地域であり、外務省はカブールを除く全土での退避勧告を出し、いかなる目的でも渡航滞在を見送るよう要請していました・・・
国家は、自国民を守る大きな責務があります。NGO活動等のために政府はこれらに従事する国民を守るために危険情報、退避情報等を再三出していますが無視される場合が多々あるように思います。今回の中村医師の場合も同様になると思いますが、最終的には自己責任の範疇・・・
一部の論ではこれらの政府の危険情報、退避情報等を無視した場合でも、国家には国民を守る義務がある等々・・・これらは自分勝手な可笑しな論のように思います。
過去、NGO等に対し、危険情報等々を出していますが軽視、無視されているように思いますし、NGO活動中の死亡事故も政府等の危険情報等々を真摯に受け止めれば最悪を回避できた可能性が多々あるように思います。2008年、ペシャワール会のスタッフとして現地で復興支援に情熱を燃やした伊藤和也さん=当時(31)=が武装集団に拉致、殺害されています。同会は当時、中村医師を残して日本人スタッフを撤収させています。
英企業の年次報告書では、2018年に武装組織などに襲われた国連、赤十字、国際NGO職員、援助関係者は405人で131人が死亡、130人が誘拐されています。特にアフガニスタンは危険地域であり、外務省はカブールを除く全土での退避勧告を出し、いかなる目的でも渡航滞在を見送るよう要請していました。
事件後、政府等々は米軍のヘリに対し中村医師を病院への搬送を依頼しているようですが、米軍ヘリの出動にも地上からのヘリへの機銃掃射、携行ミサイル等の危険が溢れており米軍人にも大きな危険が伴います。米軍ヘリで搬送された中村医師は時すでに遅しで残念な結果となっています。
外務省は直接、中村医師に対して危険が迫っている旨の情報を伝えていたと言われています。
外務省幹部は中村医師に接触して危ないですと伝えていたようです。事件に遭ったのは非常に残念だと話しています。他方では、事件が起きたナンガルハル州の当局者は、約1年前に情報機関から故・中村医師の身に危険が迫っているとの情報が州当局に伝えられ、内務省がボディーガードを派遣して護衛に当たらせていたと言われています。同州のメヤヘイル知事は情報機関からは約1カ月前にも注意喚起があり、事件前日の12月3日に中村さん本人に襲撃の恐れがあると伝えたと語っています。地元州政府幹部は12月7日、中村さんを狙った襲撃計画あることを事件の数日前に本人に伝えていたと語っています。州政府は事件当日も警備要員を配置して守りを固めたが、銃撃を防げなかった・・・
マフムード・ミヤキル州知事ら複数の当局者によると、2008年に同会の伊藤和也さん(当時31才)が殺害された後も、中村さんを誘拐したり攻撃したりする計画の断片情報がたびたび寄せられていました。事件の約1カ月半前には州政府から、事件数日前には治安機関から中村さん本人に危険情報情を伝達したと言っています。州知事によると中村さんは警備員が付きまとうことを嫌がっていたようです。警備などをつけず自然体で地元のためになることをやり続けることが一番の安全策だという信念を持っていたと言われています。危険あると説得した結果、警備車両1台と警備要員4人を派遣していたようです。
アフガニスタン東部で福岡市のNGOペシャワール会現地代表で医師の中村哲さん(73)が殺害された事件を巡り、日本の外務省が襲撃計画に関する情報を11月中旬までに把握し、”一時帰国”していた中村さんに注意喚起をしていたと複数の日本政府関係者が明らかにしています。”地元当局も同様の情報を中村さんに伝達していた”と言われています。警戒を強化していたにもかかわらず、襲撃グループが周到な計画に沿って犯行に及んだと言われています。
中村医師のアフガニスタンでの善意溢れる人道支援が、無残にも仇で返されました・・・私達は今回の中村医師の事件を風化させてはなりません。NGOへの政府の危険情報、退避勧告等々の扱い方、安全確保、手順等の見直し、再確認等は極めて大切だと思います。
世界の歴史を顧みた場合でも現在同様、世界は良い国、良い人、善人ばかりではありません。善意が真逆の結果を招く場合もあると言う世界の現実、事実等を直視する勇気も私達には必要だと思う昨今です。
中村医師のご冥福をお祈りします。